プロローグ
この世界は。地上一階層に創られた、人間の住む街。
【地繋ぎの街】と呼ばれ、全世界の人間が住む場所である。地上一階層。その言葉で察する者は察しただろう。この世界は、迷宮として出来ている。昔々、その昔に神が作った世界樹。その一番上が今の池上一階層である。そして、下に進めば、進む程に強くなる人外の化け物達。無論、地繋ぎの街だけでは、発展しない。そして、世界樹の下に行けば行く程、素晴らしい可能性を秘めた素材がある。だからこそ、世界樹の真奥を目指すのは最早皆が望んでいたのだ。
白髪緋眼で、整った顔立ちの好青年が歩く。その青年は、今日から、晴れて世界樹調査員となる事が出来る!ととても良い笑顔で歩いていたのである。この世界では、素材集めにより、生計を立てる者も珍しくない。特に強大な力を持つ、調査員の中で、分かれている階級の一番上。そんな者達クラスならば、素材集めで生計を立てるどころか、素材集めに勤しむだけで、豪勢な暮らしが出来る程なのである。そんなとてもやり甲斐のある仕事である。
そして、数々の試練を受けた後、しっかりと調査員になる事が出来たようである。
そこでの自己紹介や、様々な大事な情報を聞いてゆこう。
先ず、自己紹介である。
「僕の名は、シルゼ•ノヴァアクシオン!十五歳!使用可能権能は、【強欲】です!」
まず、名前。これは流石に誰でもわかると思いたい。シルが名前である。そして、使用可能権能。またの名を、権能と呼ぶ、あらゆる人間が持つ能力のことである。つまり、シルゼは【強欲】という権能を持っている。という事なのだ。次に、
「成程。シルさんですね。分かりました。では、この、魔宝具“実力検知”を持ってください。」
と審査官に促されるままにシルゼが持つ。すると、みるみるうちにカードに文字がつけられてゆく。そして、その内容がこれだ。
シルゼ•ノヴァアクシオン
年齢十五歳
攻撃 5
防御 5
速度 5
魔力 10
魔攻 2
魔防 2
となっている。これはあくまでも、強さの指標に過ぎない。権能もあるし、練度と呼ばれる、技量を見る事もある。その為、あくまでシルという人物がどれくらいの身体能力数値かを測るだけのものである。話し終わった後のシルゼの憂鬱そうな顔である。まぁ、多分何とかなるのだろう。そして、行き当たりばったりで、迷宮に潜り込んだのであった――
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