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僕があの日に描いた夢は

作者: 羽宮悠夜

書きたかった世界はどんな場所だっただろう。

僕の中にしか存在しない世界。

夢という言葉の姿、そして形。


そこには君がいるはずだった。

そしてそこはたくさんの願いで満ちていた。


僕の願いとは何だっただろう。

一番輝いている願いは何だっただろう。


君に愛されること?

君が幸せでいること?

どちらでもない。


僕の側に君がいて、君の側に僕がいることだ。


手を繋がなくていい。夕焼けの片隅に紛れていなくていい。何なら声が聞こえなくてもいい。


――「大切な人」という言葉が指していたもの


漠然とした答えでいいなら、その関係がいつまでも続いて行くことだ。

恋人や婚約者なんて名前もいらない。


「大切な人だった」といわなくていい世界。

それは、「大切な人だ」といい続けられる世界。


僕はまだここにいる。




……。


そうして気づくんだ。

僕は2015年8月14日から何も変わっていないということに。




僕はまだ諦めずに君を探しているんだ。

僕に裏切られて、僕に傷つけられて、僕が怖くて向き合えない君のことを。

君はあの日の君を思い出さない。あの日の僕を思い出さない。僕を信じない。それを僕は知っていても。

君は僕を望まない。側にいたいなんて思っていない。大切だなんて思っていない。

後悔なんてしないし、期待されるのも嫌。


わかってる。わかってるんだよ。君からもらった言葉の全てをね。

でも残念ながら、あれから5年後が経った今の僕は、君の思惑通りどこも変わっていない。

理由はひとつ、それだけでいい。




君のことが大切だから。



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ここで小説を書くのはこれが最後になるだろうか。

ここで……?

「この人生に於いて"僕"の言葉で書くのは」

といったほうが近いかもしれない。

君から返信が……問いかけの小説でもあれば、まだ書くことはあるかもしれない。

それはそうとしても、僕が秘めていた想いはこれで全部だと思っている。

何か付け加えるにしても、蛇に足を生やす程度にしかならないはずだ。

僕が君に伝えきれなかった言葉、想い、願い、夢。これは……愛とでも呼べばいいのかな。

ひとつも伝わらなくても僕はもう十分満足だよ。

残りの人生の全てを費やして、君を忘れるための努力をするだけなのだから。

恋人を何人作ったって、一緒にいて、話して楽しい友人を何人見つけたって無駄なのだから、あとはもう時間くらいしかないんだ。


この夜が明けたら、隣に君がいますように。


ありがとう。

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