終章 南の勇者・ルクレイシアの日記
夢みたい!
嘘みたいな出来事があったので、日記にちゃんと書いておこうと思います。
今日、エイブラムから、銀の指輪を貰いました。
結婚しよう、だって!
うわぁ、うわぁ! 思い出しただけでも照れちゃう! あ、ライラが呆れてる。ひどいなぁ、もう!
わたし、料理とか、全然出来ないよ! って言ったら、2人で料理人のオーガストに習おう、だって!
そっかー、そっかぁー。わたしも、家庭を持つ日が来たんだ。嬉しいな。わたしは孤児で、魔物を殺すくらいしか能がなくて、お父さんも、お母さんも、知らないけど。
でも、わたしはエイブラムと家族になれるんだ! 凄い! エイブラムの綺麗なお母さまが、義理のお母さまになるんだ! 可愛いエメリーンが、わたしの義理の妹になっちゃうんだ! うわぁ、うわぁ! うれしいな! いつか、お姉さま、って呼んでくれたら、嬉しいな!
南の勇者一行は解散になっちゃうけど、でも、みんなには次の職場をきちっと紹介しないとね。
パトリックは、まだ冒険者を続けるかな? ライラに告白すれば、良いのにな。おせっかいかな。冒険者を続けるなら、西の勇者に紹介状を書こう。
ハワードも、まだまだ伸びしろがあるんだから、魔術師を続けるといいな。でも、冒険者じゃなくて、研究畑も向いてるかもな。魔術師同盟の研究所にも、わたしは伝手があるから、どっちが良いか、聞いてみよう。
ザカリーは、そろそろ冒険者引退かな。奥さまとお子さんと、のんびり過ごせるだけの援助はしよう。オーガストは、自分の料理店を持ちたいんだ、って言っていたことがあるから、やっぱり、援助しよう。わたしには、お金は、たくさんあるわけだし。
そうだ、メイナード! メイナードは、小さな妹さんもいるし、今からでもきちんと学校に行けばいいのにな。そうするかな? それとも、別の冒険者パーティで荷運びを続けるって言うかな。どっちでも選べるように、手伝おう。
トリスタン。目をきらきらさせて、わたしの仲間になりたいって言ってきたけど、今度の冒険が最後になっちゃうから、南の勇者一行の、最後のメンバーになっちゃうね。冒険を続けられなくて、ごめんね。それこそ、西の勇者に紹介状を書くから許してね。
それから、それから……あぁ、色々、考えなくちゃ!
みんなの人生は、まだまだ、これからなんだから!
あぁ、今度の迷宮探索が、最後だね。
ながーい間、放置されて、すっごく大きくなっちゃった迷宮らしいけど。でも、わたし達なら、何とかなるよね! 南の勇者一行だし! ふふーん!
なーんて、調子に乗るのは良くないね。
浮かれて、舞い上がって、奈落の底に突き落とされないように、気をつけなくちゃ。
あぁ、でも、とっても幸せ!
みんなの人生も、まだまだ、これからもきらきらするといいな!
さぁ、もう寝よう。
明日も、良い日でありますように。




