ゲームを始める前の話
いつも通り親友の部屋でだらだらと過ごしていた。
「ハルってさーホント育成ゲーム好きだよねー。いまだに、たま◯っちやってる人初めて見たw」
ちょっと小馬鹿にした口調で話してくるのは親友の鮎川 夏樹(通称ナツ)だ。ママ同士仲良しで幼稚園から幼馴染。
「毎日欠かさずにエサあげたり、お世話してるとさ愛着湧いちゃってもう家族の一員みたいだよ」
「そういうとこホントに真面目だよねー。そこがハルの良いところでもあるだけどね!」
「んっ?いきなりなに??なんかまた変なことお願いしようしてるでしょ??」
「流石!心の友!ハルは私のことなんでもわかるんだね!」
「10年以上の付き合いなんだから当たり前じゃん。で、どうしたの?」
「最近流行りのVRゲームやらない?私も初めてだし1人でプレイするのは心細いんだよね。おすすめはね!NARO ・LABYRINTH(ナロ・ラビリンス通称なび)ってゲームなんだ!どうかな??」
なつきは両手を握ってじっとこっち見つめている。
「はぁ〜そのゲームってさ剣とか魔法とかあってモンスター倒すやつでしょ?私は戦闘なんてできないし、バトル系アクション系のセンス0なの知ってるでしょ?」
「大丈夫!バトルは私がするからハルは後衛でサポートしてくれたら問題ないって、ハルの好きな育成ゲームと似てるとこだってあるんだよ。召喚師や魔物使いってJOBがあってモンスターの育成もできるんだからっ!」
目がキラキラしてる…これはもう無理だな。幼馴染の直感で逃げられない運命を悟った。
「でもさ…ハード持ってないし。私ゲーム機買うお金もないよ。VRギアめっちゃ高いじゃん」
「ハル!これなーんだ!w」
「えっ?VRギア!しかも2つもって…」
最初っからゲームする気満々じゃん…。
「お兄いが社会人になってゲーム卒業したんだよー。だからもうやらないと思ってさ!借りてきちゃった!」
「はぁ〜っ。わかったわかった。じゃあいま暇だし一緒にゲームしよっか。」
ハルはため息をついて渋々ゲームをすることを決意した。
「やったぁー!ハルならそう言ってくれると信じていたよ。じゃあVRギアセットするからちょっと待っててねーw」
今日から初のVRゲームかー。戦闘苦手なのにモンスターとどう戦えばいいんだろう。ジョブは召喚師か魔物使いにしてモンスターに戦ってもらうのが無難だよなー。
「準備終わったよー♪2人同時でせーのっ!で起動しようよ!」
「OK!じゃあせーの。」
ポチっ。電源ボタンを押した瞬間に目の前が光に包まれた。
1番最初に現れた文字はNARO ・LABYRINTH。私のはじめての冒険がはじまる瞬間であった。




