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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【鼓動編】 第2章 首都星ゼウス
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19 休暇の終わり

 ◇ ◇ ◇

 カサンドラシステムは宇宙怪獣が現れる時空の裂け目、ホールの出現を予知する装置である。このシステムは人類の勢力圏内にある宙域に設置された無数の観測装置によって構成されている。

 もちろん、人類がもっとも繁栄しているオリュンポス星団内でも、この装置は運用されており、常時ホール出現の前兆である時空の歪みが起きていないか、監視を行っていた。



【オリュンポス恒星系第一惑星ゼウス】


 宇宙怪獣出現予知対策本部は、銀河連合軍のカサンドラシステム運用を統括する組織である。

 この組織内に設置された、オリュンポス星団監視部の係員が星団内にホール出現の予知ありと確認したのは、統一時間4月13日の9時47分のことだった。


 緊張の色が係員の顔に走るが、その表情はすぐに安堵へと変わる。

 カサンドラシステムが検知した、ホールの予想サイズが1と出たのだ。

 最も小さな直径のホールである。


 宇宙怪獣が出てきたとしても、その数は多くて十数体であり、またそのカテゴリーも1から2と大きな脅威にはなりえない。


 これなら小型の駆逐艦を一隻派遣すれば、すぐに片が付くだろう。

 そんなことを考え、情報を本部へと送った時だった。


 再びカサンドラシステムからホール出現予知の報せが入った。

 近い宙域で2つのホールが同時に現れるとは珍しいことである。

 彼がホールの直径を確認しようとした、その時だった。


 星団内にあるカサンドラシステムが、次々とホール出現の予知情報をもたらした。彼ははじめ、システムのエラーが起きたのではないかと疑った。

 しかし、どの観測装置にも異常はない。システムはそれぞればらばらのホール出現予測地点を送ってきたため、報告が正しいものであると認識したのだ。


 同時に、彼は今自分たち人類の身に起きようとしている脅威に顔を青ざめさせた。これらの情報が全て正しいというのなら、一体いくつのホールが現れようとしているのだろうか…


 今もホールの出現予知は彼の元へと届け続けられている。

 すぐさま彼は、事態を上長へと報告するとホールの出現ポイントをまとめはじめた。


 ◇ ◇ ◇


 統一時間4月13日 9時55分。

 ホール多数出現の報告は、シリウスの表彰式典会場まで届けられていた。

 事態は至急、銀河連合軍宇宙艦隊司令長官であるグラン元帥の判断を仰がなければならないほどに切迫していたのだった。


「小型のホールが多数出現?」


「はい、その数、少なくとも253以上…」


「すまない、もう一度言ってくれるか?」


「はい、ホールの数は少なくとも253…いえ、最新の情報ですと289以上と予知されています」


「それは、間違いないのか?」


 無言で頷く副官の表情を、グランは数秒間凝視した。

 その後、深くため息を着いた彼はオリュンポス星団内に存在する戦力を確認するよう、指示を出した。


「せっかくの式だったんじゃが…こんな事態ではどうしようもないからの…マディ艦長を呼んでくれ」


 数分後、彼の元に訪れたマディに対して、グランは現在起きている出来事を告げた。

 グランの話を聞いたマディは数秒間、呆然としていたが…


「我々も、すぐに宇宙港へと戻ります」


 すぐに気を取り直し、グランへと敬礼するのだった。


 突然の式典中止は、会場に訪れた全ての人間を混乱させた。

 だが、会場全体がざわめく中、ステージへと上がったグランが事情を説明すると、その動揺はさらに大きなものになった。


「小型とは言えホールが200個以上も同時に…そんなことってあるのかよ!?」


「システムが壊れてるだけじゃないのか!?」


 会場はそのような叫びで埋め尽くされていた。

 しかし、ステージ上に設置された巨大ホログラムモニターに状況を知らせる映像が流れた瞬間、会場の空気が変わった。


 モニターには、彼らがいるオリュンポス恒星系の宙域図が描かれていた。

 そしてその至るところに、ホールの出現を示すマークが付けられていたのだった。


「諸君、これが現実だ。ホールは事実として現れておる」


 式典の中止に興奮していた乗員たちは、一気に冷静さを取り戻した。


「君たちには本当にすまないことをしたと思っているが、これは明らかに人類の脅威なんじゃ。ドラゴン型を倒してまだ数日と経っていない君たちに、このことを告げるのはわしとしても心苦しいが…どうか、今すぐ戦いに出てほしい」


 頭を下げたグランに野次を飛ばす人間は、もう誰もいなかった。

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