魔法少女と覇者の王1
忙しくなる予定はなかったのにも関わらず忙しさがエスカレートしていく…不思議ですね。
今年はおそらく新しい環境に適応するために去年と同じく執筆が全然できないと思います。
私こと聖十院 雪菜の生活は大きく変わっていった。
真面目に学校に通い、裏では代代の情報から手に入れた本条家のスパイの監視と暗殺。
情報の齟齬がないか害はないかハッキリと確認するまでは基本的に暗殺をするのは間違いなく本条家の人間であること、そして思想が本条 響鬼と似ていることを条件としている。
まぁまだ色々と条件し付けはしているが正直危険と判断した存在と一括りに纏めている。
そして、最後に不定期に発生する魔法少女の手伝い。
カノの話により分かってきたことはカノ以外にも魔法少女は4人おり、カノはその中でも落ちこぼれと呼ばれている。
そして、5人の魔法少女でそれぞれ地区を担当していて、カノの地区は特別狭い上に他の魔法少女が介入することが多いらしい。
かれこれ一月は手伝っているけど他の魔法少女と会ってはいない。
が、今日は何やら魔法少女間の会議があるそうで
「この数式を当てはめると…」
今、授業中なのだが、私もカノも集中できていなかった。
「では、カノさん」
「は、はい!な、なんでしょうか!?」
「あのーこの問題を…」
「え、えーとわかりません」
「カノさん、何があったかはわかりませんが授業に集中するように…では、雪菜さんお願いします」
「あ、はい。45.5です」
「よくできました。しかし、雪菜さんも集中できてなかったので気をつけるように」
「申し訳ありません」
「いえ、ではこの問題ができた人は?それと分からなかった人はいませんか?」
そうして授業が進んでいく。
カノは焦ったようにノートをとっている。
私は数学ならなんとかなるので焦る必要はないが、本当に今日の会議は大丈夫なのだろうか?
なんか、必要以上に緊張してるような…
**
昼休みとなる4限目のチャイムが鳴り私ことカノは息を呑む。
また、あの憂鬱な時間が始まる。
激しくなる動悸と呼吸を抑えながら席を立つ。
前を向き足を動かし始める。
足は重く、心の中で私は会議の場に出向くことを拒否していた。
でも、私はやらなくてはならない。
生徒会室の前に立つ。
そこには私以外の魔法少女がもういるはずだ。
震える手で部屋に入る。
そこにいたのは4人の少女達だった。
2人で一緒に私を見る赤と青の髪の少女。
イオとアイ。
エメラルドと形容できるような綺麗で長い髪を揺らしながら朗らかな表情で私を見る少女。
アオイ
そして、生徒会室の1番奥。
生徒会長の席に座る、黒髪でキリッとした表情…いや、ちょっと怖い威圧感を持つ少女。
ミオ
「全員これで揃ったようだな。私が話したところで何も意味はない。アオイ、いつも通り進行をしてくれ」
「分かりました。それでは今月の皆さんの迷宮攻略量はイオ、アイペアで25件。先月と比べて10件ほど少ないですね」
「まぁ、今月はおまけがなかったからね」
「そ、余ってる他地区が少なかった」
余ってるやおまけは私の迷宮だ。
基本的に私1人で迷宮を攻略が出来ずに普段から救援を要請してるため、2人は主に私の余り物で件数が増えている。
「私の方では38件。先月と比べると1件少ないですね。次にカノさん。あなたは10件ですね。先月と比べて2倍、となっており今月は救援なしなので成長しましたね」
「あ、ありがとうございます」
アオイに褒められてわたしは少し嬉しくなるが、雪菜さんがいなかったら今だに攻略なんてできない。
「そして最後にミオは128件となっております。先月と比べて20件ほど増えてますね」
「…」
ミオは何も言わない。
アオイはいつものことだと反応はせずに本題を切り出す。
「本日の議題は最近、急激に迷宮発生事例が増えてます。それを踏まえた管理地域の割り振りについてですね」
「私達はもう少し増やして欲しいかなーカノの方の救援がなくなって手持ち無沙汰だし」
「イオに同意」
「先ほども言ったように迷宮発生事案が増えてるので不容易に管理地域を増やすわけにいかないですね」
2人の意見に少し悩みながらも否定の言葉を口にするアオイ。
ミオは興味なさそうにこの話し合いを聞いていた。
いや、私を見てる?
「アオイ、そんなの今まで通りでいいでしょ?」
「え、でも、ミオさん…」
「そもそも、ミオは1人でこの街の5割を担当してるっておかしいでしょ!」
「1人だけ貢献度を独占してるのはずるい」
貢献度という言葉に私は眉を顰める。
それもそのはずだ。
魔法少女というのは選ばれた存在なんて言うが実際違う。
「それなら私の貢献度を使って君達が褒美を貰えるようにしよう。私にとってこんなもの要らないからね」
だが、ミオは違う。
彼女だけは私たちが魔法少女になって叶えたい願いとは違う。
そして、それは私も同じだ。
天条 代代が出した報酬は少なくともあの2人にとっては素晴らしいものだった。
それは…
「ふざけないでくれる?あんたの施しなんて受けないといつも言ってるでしょ」
赤髪の方、イオが不機嫌そうに言う。
それはアイの方も同じようでミオを睨んでいた。
「いつも聞くが拒否する理由がどこにある?君たちはこの街から出ることを望んでいる。反対に私は魔法少女として生き魔法少女として死ぬことを覚悟している。この町で果てることを望んでいる。なら、私にはこの報酬は要らない。私が魔法少女やってるのは報酬のためではない。この街とともに果て、この町を守るために私は魔法少女をやり続けている。ただ、逃げたいだけの君たちは私にとっては邪魔だといつも言ってるはずだ。どうせ10年もすれば総入れ替えになってるわけだからな」
彼女は自分の意見をぶつける。
だが、それだけじゃないような気がした。
確かに私が魔法少女になってずっと同じことを言っていた。
でも、何か違う気がする。
彼女は…何かを焦ってるようにも見える。
「さて、いつものように無駄な時間を過ごしたな」
彼女はそれだけ言うと立ち上がる。
そして、わたしを見る。
「カノ、君はもう来なくていい」
「え?」
「君は部外者を巻き込んでいるそうじゃないか?」
その言葉に思い当たる節はある。
おそらく雪菜さんのことだろう。
「彼女は今回、あの人から」
「どうでもいいよ。私が言いたいのはアイツの命令であろうがなんであろうが、この町出身ですら無い部外者に関わらせる時点でアウトなんだ」
「「「っっ!!」」」
ミオの言葉に3人が反応する。
しかし、私は何も言えない。
「これはこの街の問題でずっと昔からやってきたこと。部外者を巻き込むな。これは|この町(私たち)のすべきこと」
そう言って、ミオは教室から出ていってしまう。
3人も私に何か聞いていたが、今の私にとって、何かを考える余裕なんてない。
確かにその通りだ。
私は彼女を受け入れるべきではなかったし、彼女に頼むべきではなかった。
彼女は別のやるべきことがあってここに来ていた。
なら、私は…
キーンコーンカーンコーン
チャイムが虚しく鳴り私は呆然としたままその日を過ごすことになるのだった。
***
私は天条 代代が運営する孤児院に来ていた。
なぜかカノは私に余所余所しく、何があったかは分からなかった。
だが、何が起きていたのかは実際知っている。
ダメとはわかっているものの、盗み聞きはして何に彼女が悩んでいるのかも知っている。
しかし、それ以上に知りたいことができた。
「ようやく時間が空いたわね代代」
「いやーこう見えても人気者でね。それで何かあったのかい?」
「えぇ、私が聞きたいのは一つ」
私があることを聞こうとした。
だが、彼女は私の言葉を遮る。
「一つだけ良いことを教えてあげよう。君がここに過ごしたのは3年前…そう認識してることで合ってるかな?」
「そうだけど…」
「この街ではその3年は36年なんだよ」
「は?」
「ここは色々な力を混じらせ、世界を隔離し、結果的に時間の流れが全く異なってしまったんだよ」
「待って…なら私があの過ごした1週間は」
「もう、36年も前の話だね」
「なら、私が見た…」
私は考える。
想像しなかった結果に少し焦りが出てきている。
「考えるといいさ。ここは君が思ってるような世界ではない。そして、君と私が救える人間に限りがある。だから彼女は意地を張ってるんだよ。ここが消えないように」
私はその言葉の意味がわからなかった。
多分、この町には私にはわからないことが沢山あるのだと思う。
この町で本条家の間者らしきものは実際極小数しか見つかっていなかった。
それも脅威ではない存在ばかり、故に最近では特に私のすべきことは無くなっていた。
「なら一つ聞いていい?なんで、36年前にここにいたお姉さんが未だに魔法少女をやっているの?」
「さぁ、それは本当に君にとって3年前に見た少女かな?」
彼女はきっと何も語らないだろう。
でも疑問はいくつも湧いて出てくる。
そもそも、こんな狭い町で…
どうして孤児院という概念が成立してるのだろうか?
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