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魔法少女

私こと聖十院 雪菜は現在夜の街の中で歩いていた。

とは言っても明かりは何一つなく、真っ暗な闇の中。


まぁ、コンビニがないし、夜に点ける電灯もないから当然か。


それはしっかりとした流通が存在しないからそうなっている。とも言えるが、違う。


「根本はコレを隠すためか」


ここ1週間、むしろ私はコレに出くわさなかったものだ。


「これに気づかないとか私も相当平和ボケしてるなぁ」


目の前にあるのは穴だった。

いや、正確に言うならよくアニメやゲームで見る時空の穴みたいなもの。

この穴という異物自体はおそらく昼間でも存在する。


ただそれを何者かが塞いでおり、感知できてないのだと思う。


そうやってその穴に触れようとした時。


「ダメー!!」


そんな叫び声に私は思わず体が跳ねる。


その声の主を見ると私の思考が止まる。


それはゴスロリ調の派手な服を見に纏った少女だった。

金色の派手な髪を二つ結びにして、なんかゴテゴテの金色の本を持っている。



「えーっとあなたは?」


私はようやくに声が出る。

彼女は何やら慌てた様子で本をめくっている。


「えーっとあった!スリープマジックオン!」


本を私に向けて何やら叫ぶ。

その瞬間、私の意識に空白ができる。


しかし、すぐにその感覚は消え私は彼女を見ていた。


「あ、あれ?」

「それであなたは?」

「えーっと…マジックオン!」


再び違和感に襲われるが先ほどと違い、意識に空白ができることはない。


間違いなく、彼女の力で干渉してきているのだろう。


「これが最後ね。あなたは?」

「ヒッ!わ、私はま、魔法少女カノ!」

「…は?」


思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。


何、こんな恥ずかしがりながら魔法少女?

舐めてんの?


「こ、この穴は危険です…ので…は、離れ…」

「…しなよ」

「へ?」


私の中から沸々と怒りが湧いてくる。

いや、分かる?


少なくとも、私は過去に感動したことがある。


故に


「もっと堂々としなよ!魔法少女名乗ってるんでしょ!?なら、堂々とその姿に恥ずかしがらずに堂々と名乗りなさい!」

「へ?ちょっ、いきなりそ、そんなこと…」

「オドオドしない!魔法少女はその存在がいるから大丈夫!そんな安心感を与えるために可愛く!そして、堂々と、強く!人々に希望を与えるようにして!」

「この人怖い!」

「第一…」


そうして暫く私は魔法少女について語り…語り尽くし、そして私は


「ふぅもうこんな時間…」

「うぅ、怖かったよぉ〜」


時計を見て失敗したと思う。

気がつけば夜中の0時ほどになっていて、正直、2時間もお説教をするとは思ってなかった。


「それで、この穴について分かる?」

「ヒッ!」


カノに穴について聞くが、怯えられて話にならない。


「まじめに話してくれないとその穴に入るのだけど?」

「そ、それはダメです!」

「なら、その理由は?」

「危険だから…」

「どう危険なのか分からないのだけど?」

「うぅ、」


彼女と話していても話になりそうになく私はどうしようかと途方に暮れていた時だった。


「私の可愛い魔法少女を虐めないでくれるかな?」


私の後ろからそんな言葉聞こえてくる。

それも聞いたことのある声で。


「虐めてない、というかやはりあなたが関係してるよね代代」


声の主は天条 代代。

彼女はいつものように素敵な笑みを浮かべてながら立っていた。


「では、改めて自己紹介しようか、私は守護者、『魔女』と呼ばれし者。天条 代代だ」


その一言に私は顔を引き攣っていたと思う。

でも…よくわからない存在というのが少しだけ分かった気がする。


『魔女』、その名を持つものなんてこの世にごまんといる。

だけど、彼女の持つ意味は違うように思える。


そして、その中でわずかに、嘘が混じっているような気がする。


私にはそんな嘘を見分ける力はないけど、なんとなくそんな感じがする。


まぁ、今はそんなことより。


「急に自己紹介なんてどうしたの?」

「この穴を知るなら私についてしっかりと教えてあげた方がいいと思ってね。ただ、君に私の自己紹介の意味を図れるとは思ってはいないさ」


完全に馬鹿にされてるような気がする。

しかし否定要素がどこにもない。


だから、そこを突っ込む必要はない。


「てことは教えてくれると?」

「あぁ」

「え?院長!?」


カノが代代の言葉に驚く。


「彼女は特別な人間…いや、人間と言ってもいいのか怪しい存在だ」

「それは馬鹿にしてるのかな?」

「私は事実を並べただけで君達が人間とは思っていないよ」


何を当然のことをと疑問を呈するように首を傾げて話す代代に私は少しムッとする。


が、彼女はそんなもの気にせずに話を続ける。


「なんとなく言いたいことは分かります。でも、人外じみた存在だからと言って無関係の人間を…」

「彼女が本当に無関係なら私は何も言わなかったよ君の言葉に」

「そ、それは」


カノは私に怯えるような様子であり、私は思わずため息を吐く。


「いい加減話を進めない?」

「そうだね、んじゃ穴の中に入ろうか」

「で、ではダンジョ…」

「カノ、今しなくていい」


何やら代代が止めてて嫌な予感するけど目の前にあるものについて知れる。

私は迷わずに我先にと入る。


すると…


頭が痛い。


平衡感覚が狂い、上下左右の感覚が失われて吐き気くる。


「なるほど…定義のない世界ね」


この世界は私の力にある異空間と同じ類のもの。

ただただ空間がこじ開けられており、最低限の定義もないゆえにその場にいる人間を蝕む世界。


私はそれを『定義のない世界』と呼び、『虚無の世界』と呼んだ存在もいた世界。


「私が主人だ」


その一言、たったそれだけのことが私にとって重要なこと。


暗く歪んだ世界は正常な暗く色のない世界に変わり、私は自分が入ってきた穴を認識できるようになる。

そして、平衡感覚も戻り、立つという感覚が存在する。


「君ならこんな世界を支配できるわけか」


そんな状態になるとと共に入ってくる代代。


「始めから知ってたよね?」

「うん、私は君から見たこの世界を知りたかったからね」


そう言われて私は改めてこの世界を見渡す。

奥には何かが蠢いている。


「あれは…」

「気づいたようだね。あれがこの穴を作ったもの。あれに意志や意識は今のところなく。生命を喰らうもの。言ってしまえば君達が霊鬼や、魔獣と呼ぶ存在の群体さ」


内容自体は理解をしきれない。

でも、言いたいことはわかった。


要するにアレは私たちの敵である。ただ、そんな当たり前のこと。


「でも、アレをどうやって排除するの?定義ない世界だと、攻撃なんてできないけど」


定義のない世界にはありとあらゆる法則がない。

私の力で今、『立つ』という法則が存在するが、それを拡張していくことが私の力ではできない。


「そこはこっちでなんとかできるよ。カノ」

「はい!マジックオン!ダンジョンメイカー」


カノが代代に言われ本を構えて叫ぶ。


その瞬間、中心にあった群体が動き始める。


その群体は純粋なエネルギーとなり霧散していき、真っ黒な霧が私たちを包む。


目の前が見えなくなり、二人の姿を見失う。


そうしてる間に私の立てた法則は消えていき、地面の感覚が生まれる。

今までになかった重みが私を襲い、気がつけば…


私は通路の上に立っていた。


近くには二人もいる。


「なるほど、だからダンジョン…ね」

「は、はい!ダンジョンを作ることによって群体を分散、そして、一つの形に変えて奥にいる核となる魔人を倒すことによって穴をとじることができます!」

「あのーカノ、私が説明したかったのだけど…」

「いえ、私もなんとなく状況が理解できたので」


カノそう言って私の前に立つ。


「暇の時でいいので今後お手伝いをお願いしてもいいですか?」


頭を下げてくる。

正直、そんなことされると弱いから困るんだよなぁ。

チラッと代代を見る。


彼女もそのつもりだったみたいで静観してる。


「分かった。でも、私の仕事のない時だけだからね」

「ありがとうございます」


パァッと彼女の顔に花が咲く。

素直な子…


「それじゃ、行こっか」

「はい!気をつけてください。ダンジョンに成りきれなかった魔獣が彷徨いているので」

「分かってるよ」


私は先に進み始める。

代代は「んじゃ私はもうお役御免だし帰るね」と言って早々に離脱していった。


「流石にあの量だっただけあって硬いなぁ」


私は魔獣を切り裂いて進んでいくが今まで相手してきた魔獣と比べ小さく弱いが、その硬さ今までにないものだった。


「マジックオン!ファイヤー!」


あの子は本を使って簡単に倒せている。

てか、私が最初見た時よりもエネルギーの量と質が良い?


あの炎、変な経由で出してる気もするし気になる事が多いなこの子は。


そうして私たちは一通り出てきた魔獣を倒しながら前へと進んでいく。


「にしてもカノの魔法凄いね」

「いえ、そんなことはないですよ」

「いやいや、エネルギーの質…そして密度がいいんだよ」

「質と、密度…ですか?」

「そ、私たちの使う技法という力だけではなく大抵の能力のエネルギーは質、量、密度が密接に関係してる」


そう説明しながら私は魔力、技法、霊格にそれぞれ、紫、赤、青と色を付けて見せる。


「質はエネルギー使用の効率化を図り少ない力で大きな力で行えることを増やす。でも、同じ量で質をいくら変えても根本的に行えることが増えるだけで根本的な威力は変わらない」


私はそう言って炎の槍と炎の玉を作り魔獣に放つ。


槍は勢いよく飛んで魔獣を貫くが玉の方は遅くそして、魔獣を倒し切ることはなかった。


「なるほど、質が上がることにより、繊細なコントロールが可能なんですね」

「これは量を増やせば似たようなことはできなくはないよ、そして、密度は強度のこと。正確に言うと干渉耐性。同じようにエネルギー同士がぶつかった際に掻き消されないかを決める要素」


私は片手にそれぞれエネルギーの玉を投げて互いにぶつける。

すると、片方がかき消されて残った一つが逆の手にぶつかる。


「注意してほしいのはあくまでもこれはエネルギーに対する耐性であって強い力ではない密度が高い分エネルギーは消費されるのにね。そして、量が強さそのもの、密度と似てるように見えるけど質量が強さになるわけじゃなくて純粋な量が強さになる」


私に向かってきている魔獣をエネルギーの玉で倒す。


「量は強さ、質は操作性、密度は耐性。この三つの要素を理解すればどんな能力者も格段に強くなれる」


私はそう言って締めくくる。気がつけば、目の前には巨大な門がありいかにもボス部屋みたいなノリの場所だった。


ちょうどよく私たちはその場に座り休憩をする。


「まぁ、今の話はあくまでも技法と魔法の話で霊格って力はまた別の法則があるんだけどね」

「そうなんですか?」

「まぁ、力の役割と性質が根本的に違うからさっきの法則とは違うんだよね」


そう言って私は締めくくる。



「そうなりますと私の力はなんでしょうか?」


カノは首を傾げながら聞いてくる。

それはおそらく、魔法か技法か、霊格かと言う話だろう。


「知らない」

「…そうですか」

「見てて思ったけど根本的には代代から貰った力でしょ?」

「は、はい」

「それは少し複雑な経路で行くからなんとも言えない」

「なるほど、要するに…どういうことですか?」


まぁ、分からないのも無理はないし、私も完璧に理解できてるいるとは言えない。

ただ一つ言えることは


「あなたの持つ力は加護と呼ばれる力。根本的な力としては分からないけど、そう言った上位者が下位者に力を与えるものだから、あなたの能力を知ってるのは代代のみ」

「なるほど、なんか難しい話だね」

「ここら辺は出来ることが増えてから知るといいよ」


そうして話をそこそこに私たちは休憩を終えて扉の前に立つ。


恐る恐るとカノは扉に触れている。

その体はとても怯えてるようで震えていた。


「一度も私は自分の手でダンジョンを乗り越えられたことがないんです」

「大丈夫、今回は私がいるから」

「なんででしょうか、たった一時間程度の関係なのに、信じられる気がします」


そう言って彼女は笑う。


それと共に扉が開かれる。


その先にいる存在は…



魔獣だった。



私はカノと一緒に部屋に入り魔獣と戦う。


たしかにボスと呼ばれるだけはあり、中々に攻撃は通り辛いが負ける未来は見えない。


そうして私とカノはボスを倒し終える。


「すごい、こんなにあっさり」

「そう、このレベルなら人為的に発生させてくる組織もいるけど…」


私はこの前の陰陽師の一件を思い出しながら言うと「はへー」と彼女はビビっていた。


どうやら、ボスを倒し終えるとこのダンジョンは消えるようで大きな空間の歪みが私たちを飲み込もうと広がってきていた。


「あれは?」

「出口です」

「へー」


私は興味津々にそれに近づき、気がつけば…




あれ、私の部屋で朝?


寝てたのは間違いないけど、場所は代代の家か。


「やぁ、帰ってきたようで何よりだよ」

「まさか、出口が直接ベッドな上に寝かされるとは思わなかったけどね」

「あのダンジョンを生成する時、本人が終えた後に帰ろうとする場所を選別して飛ばすようにしてるからね。昼間とかなら学校とかに飛ばされるから注意してね。あと寝てたのは君の油断だよ」


うっ、私の油断かぁ、否定できないから困る。

てか、そういう理由か。


「それで今後私はあの子に協力してほしいと?」

「あぁ、君の目的である影の調査。そして、本条家の密偵についつは私の方でも情報を集めることが対価でならどうだい?」

「…分かった。貴方に聞いた方が早い内容も多いだろうしお願いします」


そうして、私は魔法少女と協力していくことになるのだった。

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