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隔離された町

私こと聖十院 雪菜は今、とある家で激辛ラーメンをご馳走になっていた。


ズルズルズル


「くっ、店とかにはない美味しさとか一体どれだけの拘りが…」

「今までにないくらいの悔しさ混じりの声なんだけど…」


目の前に座るのは赤と黒の髪が入り混じった女性、天条 代代かえよは涙流しながらラーメンを食べる私に遠い目になってツッコミを入れていた。


「私は辛いのが好き。そこにそれ以上の解答はない」

「…うん、そっか。まぁ、いっか」


彼女はなんか、気まずそうにしてるけどそれは無視。

でも、なんか少し懐かしそうな寂しそうな目をしてる気がする。

とは言え、私は彼女に聞きたいことがたくさんある。


「そういえば、天条…って初めて聞くんだよねー。もしかして…」

「あーその話?今しちゃうか、まぁいいけどさ。十条 雪菜ちゃん」

「…」


なるほど、私の家についても把握はしていると。

私が生まれ変わる際は全て聖十院だった訳ではない。

しかし、それでも私はその系列の家に絶対転生してきていた。


それが…


「君達は表で牛耳る本条家とその東西南北四家。裏で本条家の監視をする信条家と一から十の家について知ってるよね?」

「当然、今、私が十家の当主としている訳だからね」

「そこは私は知らないね外についてはわからないのだから。けどだからこそ、私の「条」の字が気になるだろう?」


私は確かにと考える。

実際、私の知る情報は完璧じゃない。

精々知るなら、十条は執行を仕事しており、そこに本条や信条は関係ない。


だからこそ十条は他家の情報を集める。


それが内でも外でも関係ない。


故に


「天条と言う家は私達とは関係ない家。調べてないと思ってた?」


私は堂々と言い放つ。

本条家や信条家の一部は何度か枝分かれしていることもあり、唐突に枝分かれした家から特別な存在が生まれることがある。


故に見逃しがないように十条家は細かく記録を取っている。


だが


「だろうね、だって天条家の始まりから末代まで私しかいないんだから」


……



「は?」


彼女の一言に私の思考が飛ぶのだった。




そうして、久々の彼女との邂逅から一月が経っていた。

私は今、セーラー服を着て学校に来ていた。


「雪菜ちゃんって今まで親に軟禁されて暮らしてたんだって?」

「うわぁ、大変そう。今までよく無事だったね」


とか、なんとか変な設定で私はこの学校にいた。

まぁ、私のような歳の子が学校に通ってないのは問題があるらしいし仕方ない。


「そういえば、昨日のテレビ見た?」

「テレビ…えーっと、…とかでもやってた?」


ふふふ、私が最近の話題をリサーチしてないと思っていたか。

古い世代に囚われているおばさんとか過去に言われてから私は今時の話題を取り入れることを欠かさない。


「え?」


空気が凍った。

私はそれを一瞬理解できなかった。


「えーっとそんな番組やってたっけ?」


その一言に私は気づく。

そうだった。



ここはそう言う場所だった。


「ごめん見栄張っちゃった。私あんまりテレビとか見ないんだ」

「そうだよね。いつも似たようなものしかやってないし」


私は彼女達の言葉にどう反応するのが正しいのか分からない。


そう、ここでの当たり前は私の知っている当たり前ではない。


そんなことを私は忘れていた。


私にとって今してる周りのテレビの話題がわからない。


「あれ、大丈夫?雪菜ちゃん」

「大丈夫だよ、ごめんね私がテレビを見てないばかりで雰囲気暗くしちゃって」

「大丈夫だよ」

「そうそう、そういえば数日前のテレビに謎の歌番があったと言う噂あったよね」


私はただ周りに合わせることしか出来ない。



そうして、放課後となり私はクラスメイトと歩く。


「ここが商店街だぜ!」

「ここがいい品揃えなんだよね」

「おう坊主達。今日は何のお使いだ?」


毎日、クラスメイトのグループでここに行くことが普通になってるみたい。

みんな商店街の大人達に話しかけてご飯を買っている。


そんな中で動かない子もいた。


「君は買わないの?」

「え?あー私は院長が買ってくるからいつも眺めているだけなんだ」

「院長…それって天条さん?」

「うん、それで、ここの商店街は農業区で育った野菜や畜産区の肉などを直ぐに仕入れてるから良いんだって言ってたから今日も買ってたと思うよ」

「そっか、私は一人暮らしだから買い置きしてあるんだよね」

「買い置きなんて珍しいね」

「まぁ、それで慣れてたからね」


不思議そうに見てくるけど私はそれを無視する。

というか、余計なことを話した。

これ以上の問答は疑いを作る。


「ごめん用事を思い出しから先に帰るね」


私はそう言って歩く。

町の中を真っ直ぐ、歩く。


だが、気がつけば私は同じ場所にいる。


ただただ真っ直ぐ歩いた道のりはどこにも続いていない。


「さて、状況は理解できた。私はここで何をすればいいの?」


私は呟く。

それは独り言ではなく、目的があり、相手がいる。


そして、その相手は気が付けば私の目の前で腕を組んで壁に寄りかかっていた。


天条 代代


「まずは君の見解をいや、君の推測を聞こうか」


彼女の問いに関する答えは私は既に持っている。

何の恥じることもなく。


私は口を開く。


「ここは隔離されている、日本から?いや、この世界そのものから」

「それで?」

「今この世界はとても不安定でいつ壊れてしまうか分からない。この状態をどうにかしたい…違う?」


コレが私の見解。

私は今日、この辺りを探索していて、分かっこと。

ここは全てこの中で完結している。


そして、外との情報を完全に遮断しており外の番組などは一つもない。


しかし、最近、外の電波を受信したりと問題が起き始めている。


その証拠に


「私がここにいることがその証明だと思う」


私がこの隔離した場所に入れてしまっていること、それがこの隔離が解け始めている証明。


そして、それに対して彼女は




パチパチパチ



拍手を始めた。


そして、


「よくここまで考えたが違うよ」

「え?」

「そもそもここは内側から外側に向かうのを防ぐための結界。特定の手順さえ踏めば外から中に侵入が簡単だ、まぁ、今回のと前回のを踏まえて鍵を作ったのだけどね」


彼女はさも当然かのように語り、そして最後に…、


「君にはこの世界に入り込んでしまったゴミ掃除をしてもらいたい」 

「…ゴミ?いやいや、ちょっと待って私には別の」

「あぁ、黒い影ね。それは追っても意味はないものだ」


意味がない?

どういうこと?この人は黒い影が何か知ってる?


「おっと、そろそろ夕飯を作る時間だ、私は帰るよ。あー忘れるところだったこれを後で確認して」


そう言って私に紙切れを押し付けると彼女は去っていく。

私は何かな納得の行かない状況ではあるが、その紙を見て自分のすべきことを認識する。


「さてと、聖十院…いや、十条 雪菜の仕事を始めるかな」

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