荒廃都市の戦い 1日目
さて、これが前回の答えだ!
ズドンッ!
と大きな音がする。
別に何かを吹き飛ばした訳でもないのに大袈裟に開く頑丈な扉を見て俺たちはほんの少し驚いたものの外に出る。
すると、暗雲が立ち込めている空がまず目に入った。
そう、これは火鎚の件が終わる一週間前から起きた俺こと勇馬、刃月、加藤さん、斎藤さんと健斗達の戦いである。
**1日目
俺たちが外に出るちょっと前のことだ。
「とりあえず、幸いにもこの辺りは安全みたいだし情報の確認だけしておこう」
俺がそうやって確認を取るとみんなが頷いてくれる。
こういった確認は正直助かる。
安全の方はこのコンテナが丈夫なのがある訳だが、刃月の持ち前の気配を探る技術や加藤さんの固有能力のおかげでなんとかなってる。
そして、俺と刃月は決めてからすぐに連れていかれた訳で多少の事前説明を受けていても情報が少なすぎる。
俺たちは手頃な食料などの物資が入った箱を机にして資料を広げた。
俺たち五人は資料に書かれてる文字を一言一句見逃すまいと真剣に確認していく。
そして、資料を確認してから少し経った頃に俺は軽い今回の目的と作戦について話すことにした。
「さて、みんな資料を見たから知ってると思うが今回俺たちの作戦を行う場所は約二月以上前まで普通の都市だった場所だ。
今は特効薬の無い病が流行ってるということで隔離された一つの街だな」
「少々、首都から離れていてこれといった特産や交易場所という訳でも無いから都市というには難しいと思うが?」
「刃月…発言は最もだが余計な言葉だ。
今、関係するのはここが人の住む隔離された街ということだ」
そう、作戦においてこれが重要事項である。
一般人の目撃者または被害など起きてはならないのだ。
しかし、そこに関しては何の問題もない。
「確か、現在原因不明の凶暴化現象により住民の姿が変貌して暴れ回ってるという話だったよな?」
「そう、斎藤さん。
それによって俺たちは住民に対する被害などはあまり考えなくて良くなった。
しかし、これについても問題が浮上してしまってる。
新人である健斗はそれについて分かるか?」
俺が唐突に話を振ることによって健斗は多少動揺するものの流石は大人といった感じの落ち着きで答えてくれる。
「えっと…この場合だと、元住民に襲われた時の対応ですか?」
「そ、それが今一番の問題であり俺たちを動きにくくする問題になってる。
特に今回の事件の収束のために向かった能力者までもが凶暴化してるからな、殺害許可は一応降りている」
「なら、なぜそのような…っっ!」
俺に質問の意図を投げかけるがすぐにその意図に気がつく健斗。
こう見えて彼は頭が切れるのだろう。
「気づいたみたいだな。
健斗…お前に人を殺す覚悟はあるか?」
「…」
俺たちの視線が健斗に刺さる。
無言…無理もないだろう。
今回はいくら化け物のような見た目になってるとは言えでも正真正銘、人を殺すことになるのだ。
そして、例え一般人の凶暴化が無力化できても能力者の凶暴化も無力化できるとは限らない。
他にも痛覚が無かったり気をなかなか失わない可能性だって否定できない。
そうなったら俺たちは元人間であろうと何であろうと殺さなくてはならないのだ。
そして、この問題は仕事柄延々と付き纏う問題だ。
今は人間じゃないと我慢ができても覚悟がなければそのうち壊れる。
「…舐めないでください」
ようやく紡がれる健斗の言葉は覚悟の決まった俺たちに正面からぶつかってくるような一言だった。
「そんなこと、この仕事で加藤さん達と同じ部署に入ってからずっと考えてきて言われてきたことです!
覚悟ならとっくの昔にできてます!」
「そうか、なら言うことない」
俺はそれを聞いて安心しながら返事をする一つ警告をする。
「ただ、俺たちは正義の味方じゃない。
その認識は間違うな…変な正義感を出して救えない命と救える命の秤を間違えるな…特に今回は凶暴化した存在は遠慮せずに殺せ」
俺の言葉に刃月以外の人間全員が息を飲む。
俺だって、殺すとなったら何も思わない訳ではない…でも、それを間違えたらより大変な事態になる。
「さぁ、お前達!
メイン目標は何だったか覚えてるか?」
俺は仕切り直すように手を叩いてそう聞く。
すると、刃月が資料に目を通しながら話し出す。
「今回はこの現象をどうにかして止めて最低でもこれ以上広がらないようにする。
または…というよりできれば原因究明と原因を握りつぶしてこの場所を安全な場所にすることだな」
「そうだ。
そして、原因究明と握り潰す目処は多少は立ってるみたいだが…どうやら、本当にそれがあるか怪しいらしくてな」
「確か、原因である一番最初の被害者であるマッドサイエンティストの研究所に資料があるはずだと書かれてるな」
斎藤さんの言うことはしっかりと資料に書かれてる。
しかし…
「でも、ここに研究所がこの街のどこにあるかわからない上に第一被害者ということは今回の現象についての資料を作れてない可能性もあると言うことになりますね」
加藤さんの言葉に俺は絶望に叩き伏せられる。
そう、どう見ても積んでいるのだ。
研究所を見つけても資料がなければ積む…この街を救うことは難しい。
だから、最低条件がこれ以上広めないようにすると言うことだ。
「まぁ、そういうことだと。
しかし、今俺たちの第一目標は研究所に行くしかないと言うことだ」
俺がそう言うと全員が食料などを纏めていく。
どうやら、これ以上は言わなくても分かるようで準備すると俺たちは資料などを丁寧にしまって出口の前に立つ。
俺たちが今いるのはコンテナのようなものでそれが突き刺さるような形である。
しかし、扉はいろんな想定で出られるようにされてるらしくしっかりとドアは開きそうだ。
そして、ここで冒頭に戻ろう。
目の前には暗雲が立ち込めた空が広がっている。
それは火の手が上がったであろう煙や破壊された粉塵が舞ったことによりできたのだろう。
更にあたりの気候も良くないらしく僅かに風が乱れている。
そして、ふとあたりを見渡すとコンテナに付いていたパラシュートに目が映る。
「あー、丈夫な素材でできてるから地上からの攻撃かと思ったけどひょっとしたらこの環境のせいで簡単に穴が空いたのかもな…」
俺がそう言うと刃月は考えたように顎に手を当てるがすぐに止め、辺りの警戒をする。
表情そのものは布で見えないが刃月の雰囲気そのものは真剣のようで俺はすぐに意識を切り替えて軽く全員を纏める。
「さてと、ここからは加藤さんあんたの先導で頼む。
あんたの能力は追跡用であるが別に探索に向いてない訳ではないむしろ、この中では一番探索に持ってこいだ」
「わかりました。
では、多少無理して能力を使うので戦闘はお願いします」
そうして、俺たちは歩き出す。
周りには何かがある様子もない…いや、無理もないかおそらく本能的に落下地点から離れたのだろう。
進んでいくが荒れた街並みが広がるだけで特に進展はない。
俺たちの落下地点は多少クレーターみたいになっていたからかなり開放的だったが少しでも入れ組んだところを歩けばいくつかの建物が崩落してるのにも関わらず路は狭く開放的とは程遠かった。
「こういうのは一つずつ調べた方がいいのかな?」
「そうだな、明らかに関係してるとは思えない建物はいいだろう…時間もない訳だしな」
俺の言葉に斎藤さんは冷静にそう答える。
それもそうか、とりあえず今はどうにかして情報を集めるしかない。
あれ、そういえばさっきから健斗が何も喋ってないな。
「健斗、どうかしたのか?」
「あ、す…すいません…おぇぇぇぇ!」
俺は後ろの方で歩いていた健斗に話しかける。
その瞬間、健斗は謝るとともに嘔吐をした。
すぐに気がついたようで前の三人は止まって様子を見る。
俺は原因を考えながらも健斗の背中をさする。
「大丈夫か?」
「は、はい…にしても皆さん大丈夫何ですか?」
『?』
俺含めて全員が健斗の言葉に首をかしげる。
そして、各々が何かあるのかと確かめる。
すると、何かに気づいたようで加藤さん、斎藤さん、刃月が口を開く。
「少し息苦しいな…なんというか圧迫されてるというか…」
「そういえば、さっきから固有能力の通りが悪いですね」
「なんというか…能力の何かは分からないのだが濃度が高そうだ」
三人の言葉に俺はよくよく感じてみると分かる。
たしかに何らかのエネルギーの濃度が高い。
これは…霊格?いや、それにしては違うな。
でも、おそらく健斗の体調の悪さはこれが原因だろう。
とは言ってもこれと言ってどうにか出来るとは思えないがおそらく今回の件に関係してるのかもしれない。
「全くこんなに早くヒントが出るとはな…。
とりあえず、ほら」
俺はため息を吐きながら健斗に手を差し出す。
正直、客観的にみると大の大人が中学生というガキに手を貸してもらっているという絵面だ。
「えっと、ありがとうございます。
って、あれ?体が軽く…」
そうして、起こすとともに免疫力が低いようなので多少のクッションみたいなのを健斗に纏わせるように技法と霊格を流す。
それが良かったようで健斗は先程より元気なって立ち上がる。
「とりあえず、今俺たちはどこにいるかだな…」
俺は軽く空を見上げるが先程までの場所はコンテナが突き抜けた影響で日が差し込んでいたようで今は厚い暗雲に覆われて光が無い。
正直、夜なんじゃないかと疑うくらいに暗くなっていた。
「一応、懐中電灯は持ってきてますけど使いますか?」
一度止まったことにより状況を冷静に見れたのか加藤さんがそんな提案してくる。
「俺はともかく他はどうだ?」
「俺は元々、光のない場所の方が動きやすい」
「こっちは特に問題なしだ」
「自分は少しキツイです」
俺、刃月、斎藤さん、健斗の順番に答える。
俺と刃月は元よりこういった空間に対する順応性がある。
斎藤さんと加藤さんはおそらく疾風の方針で強制的に暗闇の中でも行動できるように訓練を受けたのだろう。
そして、健斗はまだレギュラー入りして間もないようでこういった環境での行動するのは少々キツイようだ。
多少の議論をしつつも俺たちはこうして休憩を挟む。
その後、懐中電灯は結局付けて探索を続けていた。
すると、何かが近づく気配がする。
俺たちは光を消して構える。
数はおそらく8くらいだろう。
武器などはなさそうでゆっくりとこちらを囲うように進んでくる。
俺たちは無言でそれぞれの武器を構える。
俺と刃月は剣を、加藤さんと斎藤さんはリボルバー式の銃を、健斗は俺がこの前渡した銃を。
そして、敵意を露わにして攻撃してくる瞬間に動いたのは俺と刃月だった。
一閃。
剣を振るい敵の腕を切り飛ばす。
しかし、ここで違和感を感じる。
血は吹き出して俺に降りかかる。
そこに違和感はない。
切った腕はしっかりと切れて吹き飛んでいる。
だが、そこには生物としてなによりもあるはずのものがない…。
叫び声が聞こえない
その瞬間、目の前にいる敵が俺へと切られていない手を伸ばしてくる。
しかし、俺は冷静に剣を振るう。
足を切って手を伸ばすことすらさせない。
それでもやはりおかしかった。
苦しむ様子もなく敵は多少もがいた後に俺を殺そうとつかもうとしてくる。
「チッ!」
思わず舌打ちをしてしまう。
そして、その時には敵の首は落ちていた。
単純にイラっとした。
ゆえの行動…。
「全く、胸糞悪い。
本当に殺さなくちゃいけないみたいだ」
そう、先程までの敵は服を着て死んだような最早ゾンビなどの人間とは思えない異形な顔…所々異常発達や痩せ細っているところが見られる肉体…そう、この街の住人だったものなのだ。
どうやら、残りも同じようで多少なりとも健斗はショックを受けているようだ。
俺が見た感じだと痛覚は完全に遮断をされてるようだ中途半端に生かそうとすれば痛い目を見そうだ。
「勇馬、どうやらこれはかなり趣味が悪そうだ」
「そうだな…これはいくらなんでも…いや、これは一種の薬物だな…」
「言い得て妙だ。
これを見た後だと反論する気もないな」
刃月とそう言葉を交わして考察していく。
体感時間でもそろそろ夜なので俺たちは手頃な建物に入って話し合う。
そうして、俺と刃月が出した考察は…
おそらく人間の特殊環境による異常進化を遂げさせている。
そして、その進化にはおそらくなんらかのエネルギーを使用している。
それが精神に異常をきたして結果として理性を失い暴れまわるだけの存在になった。
そして、進化も個人差があり発達することもあれば逆に退化したり削ぎ落とされたりしていることが多い。
今回殺した八人の体から見ると内臓は退化させて肺などの機関や足や腕を進化させて必要な栄養量や栄養素を変えている。
まぁ、実際そこは分からないが普通の人より燃費の良い体になってることは確からしい。
後共通することは全員神経のあたりが麻痺して麻薬のような症状も出ている。
肉体の崩壊は無いが精神の一部が壊れてるそうだ。
「ううむ、原因も分からないが先に全滅した能力者も感染したという話だし、おそらく生きた状態でも危なそうだな」
「しかし、俺たちは半日はここにいるが全滅した能力者は半日には半数以上が感染してそのまま全滅したそうだが…」
「多分、そこは俺たちの漏れ出してる微量のエネルギーなどが一定値を超えて抵抗できのだと思うけど…それが技法なのか霊格なのか健斗で試せばいいのだけどもしそれで失敗した時が怖いから少しずつ調べてくしか無いよな」
俺はそう言って毛布を敷いただけの床に寝そべる。
「そうだな、焦りたくもなるが研究でもなんでも少しずつやってかないと見逃すからな」
刃月はそう言って俺と同じように横になる。
そして、じきに俺たちは規則正しい寝息を立てて寝るのだった。
まぁ、夜の警戒のローテンションで起こされたけどな…
1日目終
正解はおっさん達でした!
合ってる人はいたかな?(いや、いるのか?)
いやー、この小説のハーレムタグとか詐欺だよね〜(まず存在したっけ?)。
やる気はあるんです。
しかし、自然とこっちの方が書きやすい(なら書くな!)
今回はネタバレというか一週間前の火鎚の時の出来事なので七日間のお話です。
早く終われるかな?(いや、無いな)
というか、これどこぞのゾンビゲーみたいな…
ここまで読んでいただきありがとうございました!
是非、評価ブクマ、次回更新されたら読むをお願いします!




