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エピローグ 願いと二次災害

「…だよ!どうしてなんだよ!」



ユキトラが小さな声で呟く。

話を聞いて信じられなかった信じたくなかった。


この男はあろうことか俺に力を貸せと言ったのだ。

人災である俺にだ。



「気持ちは分かる。

別に協力しなくても構わないんだ。

ただ、俺はお前がすごく眩しいんだよ…必死に自分のしたいことを貫けるところとかな」



違う、たしかに俺はやりたいようにしてる。

でも、違うんだ。

俺は逃げたんだ。

辛いことから…自分のやって来た行いを棚に上げて来た。

こうして、ボロボロになって負けたから分かる。


俺はただ、楽な方に逃げたんだ。



そんな俺を察したのか男は何も言わない。

でも、突然顔が笑う。



「なら、それはお前は嫌々誰かを守っていたのか?」


「…」



俺は答えられない。

逃げた…だからといって俺はそれをしたくなかったのか?

俺は何をしたかったんだ?



「質問を変えよう。

お前のこの姿は何だ?」


「それは…人災…」



俺はここから先を言えなかった。

襟首を掴まれ木に叩きつけられる。



「もう一度聞く…お前の姿は何だ?」


「…」



わからない…何を言いたいんだ…。



「お前の願ったものはなんだと聞いてるんだよ!

お前がなんでその姿になったか、お前が何を理想としたのかと聞いてんだよ!」


「…俺は…俺は…」



俺は何を願ったんだ…俺は…



何をしたかったんだ?



そう、簡単なことだった。

単純明快で難しいことだった。


そう、そうだったはずだ。


なのに、なんで分からないんだ?



「最初に戻れ…お前はそれを成す力がある。

あとはお前の願いのままに動け『守護者』」



心何故か刺さる。

それはなかなか取れないつっかえとなる。



「お前ならきっと見つけられる。

俺とお前はどこか似てるから…」



**雪虎



僅かぶれる。

流れ落ちる水を一瞬だけ弾く。



「今のはかなりいい感じだぞ雪虎」



俺の意識の外からそんな声が聞こえてくる。

声の主は明日美で今現在俺の修行を見てくれている師匠だったりする。


そして、現在俺は滝行を行なっていた。

なぜ、そんなことしてるかと言うと精神統一とかそういったものではない。

ここに流れてる水は特殊に加工してるようで水と共にそのものが垂れ流してるエネルギーをより多く吸収して持って行ってしまうらしい。


俺はそのエネルギーを持っていかれる以上のエネルギーを常に垂れ流しにしなくてはいけないらしい。



明日美曰く、俺の暴走の原因は自分の器以上のエネルギーを無理やり自分の器の中に押し込めようとしているからだそうだ。

それ故に俺が本気を出そうとすると抑えようとした部分と反発してその結果暴走という事態が起きるらしい。

そのせいで俺は無意識のうちに放出エネルギー量を減らしている。



言葉で言われるのはいいが中々理解のいかないものだ。



「おーい、もう少し練り直せ」



俺はそう言われてエネルギー放出量を増やす。

しかし、早々に改善されるわけもなくすぐに同じレベルに落ちてしまう。

それでも明日美は見てるだけで何も言ってこない。



そういえば俺の願いかぁ…



未だその答えは出ていない。

でも、敢えて言うならなんだろう。



「なぁ、俺の願いって何だろうな?」



明日美に聞こえるか聞こえないかの声で呟くがどうやら、聞こえていたようですぐに答えてくれる。


「ただのわがまま、ただ…」


「ただ?」


「あいつと同じで馬鹿みたいだけど好感が持てるものだ。

というか、お前の願いなんて深く考えるな…単純明快で夢物語みたいなものでいいんだよ」



俺は滝行をしながら考える。

自分の願いを…夢物語のようなものでいいか。



そう考えると笑ってしまう。

たしかにわがままだ。


誰もが幸せなんて言わない。

でも、誰もが理不尽な中で死なない世界。

いや、違うな。


そんなの建前だ。

俺は英雄…いや、守護者のように誰かを守りたい。

ただ、それだけなんだ。



その瞬間、何かが吹っ切れたようにエネルギーが溢れ出す。


そう、今までのつっかえが取れたようにすんなりと力が溢れる。



「ようやく…か」



明日美はそう呟くのを聞こえた気がした。



**三者



「…えぐっ、うわぁぁぁ!」



森の中で幼い少女の泣き声が聞こえる。

その声の主は男女四人組に運ばれており、一見すると誘拐されたように見える。

しかし、それは違った。

そう、少女が泣いてるのは姉とこの四人と同じ身近な騎士を失ったことに他ならない。

そうして、しばらく進むと四人組は止まる。



「妹姫様、お静かになさってください」



ライトがそう言うが一向に泣き止む気配がない。

それもそうであろう姉に似て聡明であったが少女は未だ6歳の少女である。

泣き止むはずもなく、泣き続けた。


それにライト自身も心の中ではひどく荒れていた…いや、ライトだけではないこの場に全員が荒れていた。

姉姫を助けられず、ずっと一緒にいた仲間を殿にして見捨てた。



後悔がないわけがない。



そして、幸か不幸かその気持ちを誰かにぶつけることができない上に辺りには人災が散った後で力が拡散されていた。



故にそれが起きてしまった。



突如として、妹姫様の体少しだけ成長する。

そして、明らかに背丈に合わない長い紅色の髪…そして、それはライトにも向かっていた。

恨みや後悔、ありとあらゆる感情と兄としての責任…故に自然とほかの兄弟である三人のエネルギーがライトに向かう。


そして、彼も変化する。

光り輝き、それは時に真っ赤になりまるで怒っているような輝きだった。



「殺す…私からお姉ちゃんを奪った…お姉ちゃんを奪った人災を皆殺しにする!」


「お伴します…こちらも恨みを晴らすために…妹姫様」


そう、この時に生まれた。

人災殺しの『紅の破壊姫』が生まれた瞬間だった。



**



二人の少女がボロボロな状態で倒れていた。

それは『ヒールハウス』のミエと姉姫だった。

所々、焼け焦げてとてもではないがどちらも助かるような状態ではなかった。


そんな状態の少女達を見つけた存在がいた。

黒…いや、白い羽の翼を広げた少女はその二人の前に立ち見下ろしていた。



その時だった。



「…だれか…いるのですか?」



今にも消えそうな問いかけが意識だけを取り戻したのであろうミエが言う。



「あぁ、いる」



翼を持つ少女がそう言うと安心したようにミエは笑う。



「よかった…」


「すまないが、二人は助からない…しかし、一人を助けることができる」



翼を持つ少女がそう言うとミエは驚いたように目を開く。

しかしすぐに笑う。



「なら、私は…いいです。

彼女を助けてください」


「…本当にそれでいいのだな」


「はい、私は彼を…救うことが…できませんでした。

大好きだった…あの人…苦しんでたのに」



ミエは泣きながらそう呟く。

翼を持つ少女は何も言わない。



「でも…私は嬉しかった…もう満足したんです…たった…一回…多分…無意識でも…あの人に大切な友人…と」


「…そうか…なら、もう一度聞く…本当にいいのだな?」


「はい」



ミエのその言葉を聞いた翼を持つ少女は翼を広げて笑う。



「君の想いは聞き届けた。

君の願いの通り…彼女を助けよう…私のこの存在を賭けて『剥離』」



その瞬間、ミエの悲鳴が響き渡る。

そうして、気がつけば無傷の姉姫と傷だらけでもう生き絶えてしまったミアがいた。



「すまない…君の英断のお陰で私は迷わずに救える命を救えたよ」



そう呟いたのは翼を持つ少女だった。

その表情はどこか寂しそうで涙を流していた。



「すまない…私が二人を救う力があったらよかったのだが…」



そうして、もう一度謝るのだった。



**??



また自分は生まれた。

誰もが考える。

苦しい時に救ってくれる存在を…。


しかし、そんな存在はいない…そう、いないのだ。

故に自分は存在しない。

故に自分は曖昧なままだった。


しかし、この時は違った。



「神様も下手くそもないんだったら、もういっそ俺を救うと思って殺してくれよ!」



一人の青年がそう叫ぶ。

そこには何人もの絶望した人がいた。

故にそれが起爆剤となったのかどんどんといっそ殺してくれと叫び始める。


世界の理不尽に対する罵詈雑言。


誰もが大切なものを失い、体はボロボロでこのままでは生きられず…このまま苦しい思いをするのが目に見えていた。

故の死にたいと言う願望。


しかし、誰もが自分から死ななかった。


そのせいだ。

自分に形が生まれてしまった。


そう、彼らを救うには殺すしかない。

救うには殺すしかない。

殺すことが救いになる。



そう、苦しい時に救ってくれる。

それが自分。



気がつけば辺りは血の海だった。



自分の手には一本の剣が握られている。

そして理解する。

自分が彼らを救った(殺した)のだと。


自分はその為に生まれた。

誰かを救う為に…それが自分…。


救いを呼ぶ声が聞こえる。

救わなきゃ…。


そうして、自分は…いや、僕は間違った『救い』で生まれてしまった。



**



幸凱 千那は目を覚ます。

懐かしい夢を見たせいか千那の寝覚めは最悪でため息を吐いていた。



「ごめんね…僕は君の願いを叶えられない…だって僕もあの日に生まれたのだから…」



誰に言うでもなく千那はそう言うとゆっくり伸びをして立ち上がり、いつも通りの会議室に入る。

すると、既に千那以外の人は揃っていた。

普段は半数くらいが遅刻ギリギリなのに自分より早いことに疑問に思った。



「ようやく来たか…幸凱 千那」



朱嶺が下卑た目で千那を見る。

千那としては少々距離を取りたいところだが、この雰囲気の異常さに感づき無視する。



「さて、幸凱 千那。

君の処分が決まった」



その瞬間、弾丸の壁が千那に迫る。

それに対してすぐに千那は避ける。



「どう言うことかな?」


「とぼけるな、君がスパイということはもう既に掴んでいる」



シャルロットの言葉に千那はなるほどと思う。

しかし、千那にとってはこれは予定通りのことだった。

まず、逃走する為にすぐに部屋から出て走る。

それに対して追いかけてくる影があった。



「いやぁ、ヘレネアちゃんとスピード勝負は分が悪いかな?」


「言ってなさい!」



そうやって千那が軽口をこぼすがそれに対してヘレネアは挑発に思えたらしく怒って飛びかかってくる。

しかし、すぐに鈍い音がなってヘレネアは倒れる。



「まぁ、いくら速くてもくる場所がわかればどうということはないんだけどね」



そう言って千那は外に出る。

そして、すぐの場所に待っていたのはライトだった。



「悪いが逃すわけにいかないんだ」



ライトはそう言って臨戦態勢に入った瞬間…。



『六色七斬流』『一挙重斬』の型抜刀『重線』



一瞬の納刀状態の構えから一瞬の数線の斬撃が容赦なくライトを切り裂く。



「まさか…俺が一瞬で…」



そうして、千那は逃げ出そうとするが『自動能力』によって退路を塞がれる。

そして、既に椎名と椿、タツミが千那を取り囲んで構えていた。

しかし、それでも千那は笑う。



「『心ノ幻想』『フェニックス』」



そう言うとともに炎の翼を纏い空飛び立つ。

それを追いかけるなり追撃なりをするが一切千那に当たらずに千那はそのまま飛び去っていく。



「チッ、逃したか」



朱嶺は忌々しそうに千那が消えた空を見つめるのだった。

とりあえず、次回はおまけです!

因みに人災になったものは人災になった時の姿から老けない。

要するに不老です。


ここまで読んでいただきありがとうございました!

まだまだこれからよろしくお願いされていただけると嬉しいです。


少々、ミスがありました。


銀髪 → 紅色



これは色々とあって起きたミスですごめんなさい。

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