炎と虎龍の答えと願い
『なんの…つもりだ我が依り代』
『ガイロ』が俺に問いかけてくる。
簡単な話だ…俺は再び自分の心の奥底に眠った。
『ガイロ』とは違い俺は自分の心の中も外も同時に存在させることができないから勿論、自分の体は今『ガイロ』に明け渡してる。
だから、『ガイロ』は戸惑っている。
「いまから、賭けをしようか…」
俺はそう一言だけ言う。
『賭け…だと?』
訝しげにそう聞き返してくる。
まぁ、当然だろうな…さっき無理矢理戦った後だ。
「あぁ、今から俺とお前で戦い…そして、勝った方が本物の華城 火鎚になる」
『それなら…』
「いや、今度こそしっかりとした決着を付けよう」
さっきのを俺は価値とは呼ばない。
それに、俺は答えを見つけた。
だから、そのために俺は決着をつけなくてはならない。
『面白い…さぁ、始めよう』
ー己の存在を賭けた最後の戦いをー
**勇馬
思った以上に熱い。
いや、さっきから炎が俺に迫ってきてるのを抑えてるだけだ。
それにしても熱がこんなにも伝わってくるなんて普通の人なら溶けたな。
そんな俺は呑気なことを考えながら向かってくる炎の魔人…『ガイロ』の攻撃を素手で防ぐ。
『何故だ!何故、お前には我の攻撃が通じない!』
そう叫びながら『ガイロ』はより激しく殴りかかってくる。
いや、通じて無いわけじゃないんだけどな…。
確かに『ガイロ』の炎は痛い。
でも、怪我をしてもすぐに怪我が治ってるのでそう見えるんだろう…。
きっと、そうだろう。
まぁ、この一週間で実力が上がったのもあるのだろうけど…。
「いやー、なんかいきなり強くなってるなぁ」
「あれは強くなったと言うより、理不尽になったと呼ばないか?」
なんか、陸也が失礼なことを言ってるような気がするけどまぁ、無視だ。
「でも、本当に手出しをしなくていいのか?」
「あぁ、大丈夫だ。
どうせだから、見てみたいんだよ火鎚の最後にたどり着いた答えを」
きっと、今の俺と同じように戦ってる。
いや、俺なんかよりずっと苦しい中で戦ってる。
リーダーたる俺がそれを受け止めないでどうする?
だから、もっと来い!
続いて『ガイロ』は近接戦を仕掛けてきた。
最初の手突を止める。
次に来る殴打、蹴り、手刀それらを一つずつ止める。
『くそっ!何故だ!何故』
より激しく炎までもが吹き出す。
流石は人災…尋常どころか異常なレベルの量と質の炎が俺を殺さんと飛んでくる。
その、真っ白な炎はまるでもう一つの太陽であると言えてしまうようにとんでもない質量を持っている。
まぁ、太陽がそんなに軽いわけないけどな。
そう油断してると確かに俺を殺し得る炎が少しずつ増えてきた。
それを見て俺は笑う。
何故なら、目の前にあるのは虹色に輝く炎の塊だった。
その炎の性質が色ごとに違うようで黒い炎に触れた瞬間、俺の腕が凍る。
漫画だと黒い炎って強力なイメージがあるけど…この炎は停滞をイメージされているのか…。
『我は…俺はなんで勝てないんだ!』
その瞬間、斬撃が飛んでくる。
『ガイロ』なら剣を使わない…要するにこれは…混ざり始めてるのか?
全く、予想を超えてきやがる…
俺も剣を顕現させて剣で打ち合う。
一つの技量は最初の方はお粗末だったがどんどんと洗練されて行き、俺が押され始める。
『まだ…まだだ』
「何がまだなんだ?」
『何かが…何かが足りない…』
こいつは徐々に何かを考え始める。
しかし、攻撃は一向に緩むことはなかった。
「あぁ、そうだ…考えろ…そうして見つけろ…」
『あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!』
その瞬間、何かが抜けたように壊れ始める。
炎が俺を飲み込む。
「「勇馬!」」
しかし、すぐに俺は炎から出て二人のところに歩く。
「二人とも、ここからは手伝ってくれ」
「分かった」
「全く、一応敵なんだけどね」
「二人ともありがとう…ここからが本番だ」
俺たち3人は互いの得物を取り出して一つの人災の前に立つ。
そう、あの日のように…。
**交錯
「結局、俺の答えはなんなのか」
「願いは結局わかりはしなかった」
「「でも、確かにあの日見つけたものがあった」」
「答えは何かと自問しながら」
「俺の探してるものを探りながら」
「「結局は何も出なかった」」
「「でも、確かに俺は望んだ」」
「何が何でも生きたいと」
「何があっても守ると」
「思えば簡単なことだったのかもしれない」
「ありふれたものだったのだろう」
「「見つけるのが難しいくらいに」」
ーだから俺は
**火鎚
何度だって立ち上がる。
勝てないのは初めから分かってた…勝てるわけがないことも…それでも俺は賭ける。
自分の答えを信じて倒れるわけにいかない。
『何度やろうと無駄だ』
「それは…どうかな」
剣を振るう。
しかし、その剣は簡単に折れる。
それでいい…それでもいい…
俺の中に炎が駆け巡る。
『何を…』
炎が俺の中で鼓動する。
しかし、やはりより強い炎で押しつぶされる。
それでも立ち上がる。
先程から警戒はされてるが今の俺にはこれしかないのだ。
『何故、何度も立ち上がる!何故!何故だ!お前はもう、限界のはずだ!』
「そうかもな…」
『なら、何故そうまでして!』
「そこに答えがあるのにそれをしないなんてカッコ悪いだろ?」
当然のことだ。
分かりきったこと、それをやるのに躊躇いなんてあるわけがない。
まぁ、もう一つ…あるけどな。
**雪虎
「うおぉぉぉぉぉ!」
剣同士がぶつかり合う。
しかし、力が強いはずの俺の方が何故か吹き飛ばされる。
それでも何度も試す。
気が済まないからではない。
ようやく分かったような気がしたんだ!
だから、止められない。
「暴走…いや、違うのう」
爺さんが悩む。
それもそうだろう。
今までと比べて理性的に俺が動いてる。
それも暴走に近い状態で…。
今だって何度も意識が飛びかける。
でも、それでいい…それでいいんだ!
俺が欲しいのは違ったんだ。
力じゃなかった…強さじゃなかった。
俺が本当に欲しいのはそんなちゃちなものじゃない。
そんな上辺だらけのくだらないものなんて捨ててしまえ。
剣が重く…早くなっていく。
その感覚だけをひたすら意識として根付いていく。
**
ようやく…ようやく光が見え始める。
(許されるなんて…思っていない)
(あの日に戻っても救えるとは思ってない)
しかし、二人はそれぞれの答えと願いを見つける。
長い長い罪の意識という檻の中で二人は過ごしてきていた。
『なんでだ!なんでお前はそこまでする!』
「お主は何故、何度も失敗すると分かってながら向かってくるのかのう」
『ガイロ』と爺さんの問い。
二人は笑う…多分…きっと、あいつなら言うだろうなと二人は考える。
「「わがままだよ!どうしようもなく救えねぇようなわがままだ!!」」
必然…偶然?
二人の言葉は遠くでありながら重なる。
虹色の炎が…一つの体が弾丸のように…
炎と…木刀と
ぶつかる。
そこで笑みが聞こえる。
「そうか、それがお前の答えか…」
「合格だ…雪虎」
その瞬間、光が照らされたような気がした。
**火鎚
『見事だ…我が依り代…これで我と火鎚は…一つとなる』
『ガイロ』は少しずつ消えていく。
そんな中なのにもかかわらず満足そうな表情だった。
しかし、しかしだ…それは間違いなのだ。
「却下だ…」
『なら、我を消すのか?」
「違うな…俺と共に歩むんだよ。
俺の唯一の剣として…」
『…』
「嫌なら、このまま一つになるけど…」
別に強制する気は無い。
でも、できればそうして欲しい。
それはただの俺のわがままだ。
『いや、それで構わん…むしろお願いするくらいだ』
「そうか、なら良かった…なら、お前はもう『ガイロ』なんかじゃない。
お前は…」
俺は一息いれる。
思わず笑みがこぼれる。
そうして初めて気がつく。
俺はこの結果を望んでいたんだ。
こいつも俺も消えない未来を…。
だから、俺の思いとこいつの炎を乗せて…
『永炎』
その瞬間、目の前が真っ白になる。
そうして、視界が砕けていき目の前には勇馬…陸也、千那はいない…でも、目の前には皆帰やみんながいた。
俺はそれを見て笑ってこう言う。
「ただいま!」
『お帰り、火鎚』
そうして俺はゆっくりとかを失うのだった。
ようやく…ようやく俺は帰ってきたんだ…俺の俺たちの帰る場所に…。
今回は短めですがラストだから許して!
この後はエピローグとショートを挟んだのち、新編です!
さて、次の話はどんな話でしょうか?
では、次回も読んでください!
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