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炎の答え

**火鎚


俺は立ち上がる。

これが俺なりの落とし前のつけ方だ。



「依り代よ…我を殺すと言うのか?」



俺は静かに頷く。

それしか俺の選択肢は無い。


二つの魂が存在する俺が安定する道…それが片方の魂の消失以外ありえない。



「悪いな…『ガイロ』、決着をつけさせてもらうぞ」



俺は一瞬の瞑目の後、剣を取り出して切りかかる。

しかし、それは炎により阻まれる。

明らかに剣の方が優位性があるはずなのに炎がまるで壁のように硬い。



「無駄だ。

お前の剣も炎も我という存在の力だ。

所詮、依り代の炎は我の借り物に過ぎないのだ」



分かってる。

そんなことは誰よりも分かってる。

でも、俺はもう悩まない。



貪欲になろう。



今だけでも…




炎が切り裂かれる。



「なに!」



俺はそのまま『ガイロ』に特攻する。

しかし、それをも炎に阻まれる。

それをまた切り裂く。



『お前の目の前に阻まものがあるのなら切り裂こう…』



それは遠い昔の借り物…。

ありとあらゆる障害を切り裂く力…。



「借り物であろうと関係ない!俺はお前を倒して『答え』を見つける!」



炎が火鎚から吹き出す。

それは一瞬のうちで『ガイロ』の炎に呑まれる。


しかし、それは一瞬のこと…。



切り裂かれる。



炎が『ガイロ』に飛ぶ。

しかし、炎じゃ届かない。



それでも!



「届け!」



剣が『ガイロ』のその体に突き刺さる。

しかし、それは一瞬…傷は浅くとてもじゃないがダメージを与えたとは言えない。



足りない…なら!



炎がさらに吹き出す。

炎が刃と化す。

それは否応無く全てを切り裂き『ガイロ』に届く。


それでも…足りない。



「無駄だ。

所詮は借り物程度ではたかが知れてる」



目の前に現れる『ガイロ』の炎の剣が俺の刃を砕く。

ならばと剣でその炎の剣を切り裂く。



「もう一度!」



炎の刃が再び『ガイロ』に振り下ろす。

しかし、次は『ガイロ』の装甲を破ることができない。



「まだ、熱く!」



青い炎が『ガイロ』を飲み込もうと迫る。

しかし、炎が青くなった程度で揺らぐ程度なら『炎の魔人』の名折れである。


故に青い炎は一瞬で白い炎によって呑まれる。



「この程度で我が死ぬとでも?」


「思ってないさ…でも、ここで諦めれば俺は一生お前に勝てない!心が負ければそこで終わりなんだよ!

それが人災ってもんだろうが!」



人災とは人の思いにより生まれる存在…ならば人の思いによって変わるものだってある。

だから俺は諦めない。



炎が煌めく。



炎の一つ一つを丁寧に俺は操り向かう…何度だって…。




**



炎が辺りを蹂躙する。

そんな中で二つの人影が何度もぶつかり合う。



『いいぞ!お前が我にとって最大の天敵だ!』


「嬉しそうに…言ってんじゃねぇ!」



それは陸也と『ガイロ』であった。

炎と剣がぶつかる。


互いに一切引かずに勝機を見据える。


しかし、互いにその勝機を知っているのにもかかわらずそれを実行に移し切るに至らなかった。



陸也は考える。

時間を稼いで行けば火鎚が目覚めると…。


しかし、それと同時に『ガイロ』も考える。

陸也の時間稼ぎを潰す他ないと…しかし、普通の真っ向からの勝負ならまだしも英雄として立つ陸也にそんな隙なんてない。



「悪いな…決着…つけさせてもらうぞ」




『六色七斬流』一挙重斬の型『反転・念刃』



その瞬間、無数の刃が飛ぶ。

しかし、その刃のどれもが実態を持たない。

故に『ガイロ』はダメージを食らうことが無く無傷だった。

それによって『ガイロ』は気を緩める。


その瞬間、刃もなにもない場所が切り裂かれる。



『なにが…』



『ガイロ』の疑問…しかしそれを答えるほど陸也は優しくない。



そのまま、陸也は次の攻撃を仕掛けていく。

そこで『ガイロ』はさらに驚く。


それは先ほどの傷が一切治らないのだ。


人災は常人とは比べ物にならない肉体を持つ。

それは特に暴走時に顕著に現れる。


しかし、それにもかかわらず『ガイロ』傷が治らなかったのだ。

それは異常以外の何者でもない。



「どうやら、認識が出来なければ再生は出来ないみたいだな」



陸也がそう呟いた瞬間、『ガイロ』の傷が消える。

治るのではなく消えるのだ。

その代わりと言わんばかりに先ほどの実態のない斬撃を食らったであろう場所から斬られる。



『念刃』

この技は本来、虚像の斬撃を放ちその中に存在する見えない本物の斬撃を当てる技…。


しかし、それを『反転』させると話は変わる。

この技は刃月の使う『闇夜』の型に近いものに変わっている。



「さぁ、決めるぞ」


「舐めるなぁ!」



『ガイロ』にある傷は瞬く間に再生していく。

少し挑発するようにしていた陸也だが、想定内…いや、想定以上のことで僅かに舌打ちをする。


そう、勝てるヴィジョンを浮かべるための条件が揃わない想定の方に…。


しかし、それは唐突だった。



炎が『ガイロ』から発せられる中、別の炎が飛んできたのは…。



「何者だ!」



その攻撃は『ガイロ』に直撃する。

一瞬、ほんの一瞬だけ『ガイロ』の炎を相殺し切った。

そう、一瞬でも同格レベルの炎を放てる相手…。



「悪いけど…この戦いに横槍を入れさせてもらうよ。

僕としても君たちのお陰で『イフリート』を使うことができるのだから」



そう言って現れたのは炎を纏った千那だった。



「何者か知らんが…邪魔をするなら…」


「あれ、知らないなんてつれないないなぁ」



その瞬間には『ガイロ』の後ろに回り込んだ千那は剣を振るう。

甲高い音がなる。

僅かに反応していた『ガイロ』がギリギリガードする。

しかし、僅かにその装甲を溶かされていた。

それに気づいた『ガイロ』は僅かに警戒する。



「何者だ?」


「わからないなら思い出して見なよ」



そう言って切りかかる千那。

言い方からしてまるで『ガイロ』のことを知っているようで陸也の中に疑問が生まれる。



「ほら、陸也も戦って…助けたいんでしょ?」



しかし、そんな疑問もその一言でどうでもよくなる。

助けたい…そんな感情…それが陸也という英雄の行動原理であり一つに集約された『信念』だった。



「うっせぇよ!おっさんのケンカに割り込んだ後悔させてやるよ」


「それは楽しみだね」



陸也と千那…その二人が『ガイロ』と戦う。

千那が攻撃を防ぎいなして陸也が隙を見て強力な攻撃を放つ。



「ちっ、鬱陶しい!」


「その鬱陶しい奴に押されてる奴は誰かね?」


「そうだよ、僕から見たら君も十分鬱陶しいよ」



その瞬間、決まる。

炎が辺りに噴出される。

そう、二人は間違えていたのだ。

人災という恐ろしさを…。


単独で何人もの英雄を殺してきた人災の実力を…。


二人は一瞬で炎に呑まれる。


圧倒的な存在…人類が簡単には対処できない存在…そう、英雄ですら完全対処が不可能とされた敵を倒すには力が足りな過ぎるのだ。



この二人が全盛期であるならまだしも、現在の二人には勝ち目はない。

そして、宿主である火鎚の体を下手に傷つけるわけにいないのもこの状況の原因となっている。



「さぁ、決着を…」



陸也は構える。

しかし、次の攻撃は来ることが無かった。



「ぐぁぁぁぁぁぁ!

何故だ!なぜ!お前が…お前が我を…」



次の瞬間には少しずつ魔人である象徴たる装甲が砕けていく姿で苦しみ『ガイロ』の姿が陸也達の目に映る。



**火鎚



「なんだ…なんなんだそれは!」



俺は炎を操る。

それは様々な色をした七色の炎…。



俺の才能の具現したもの…。




「終わりだ『ガイロ』」



その瞬間、真っ白な空間が砕け散る。

炎が消え…光が消え…やがて思い瞼を開いていく。



そして、目を開くと目の前に二人の人が見えた。

一人は陸也…もう一人は千那と言っただろうか?



「ただ今…決着を…つけた」



俺は笑ってそう言う。

しかし、二人の表情が和らぐことはない。



それもそうだろう…。


俺は自分の体を見る。

それは徐々に消えるかのように薄くなっていってるのだ。



「火鎚…一体…」


「いや、ただ…スッキリしただけだよ」


俺は消える。

俺は死ぬ。

もう、転生することはないだろう。


そう、俺は本当の意味でこの世から退場する。



そう思うと感慨深いが自分で決めたことだ。



「君は本当に後悔しないんだね?」


「あぁ、ないよ」



もう、こんなに生きたんだ…あるはずが無い。

そう、無いと信じるしか無い。

それしか道が無いのだから。


故にこれしか…



「そっか、それが本当か問うてみようか…丁度、夜が明けるからね」



その瞬間、風が吹き抜ける。

そして、衝撃が走る。

思いっきり顔を殴られて吹き飛ばされる。


俺は立ち上がり殴った正体を見る。



「火鎚…一つ問う。

あの言葉…『諦めるな』あの言葉は嘘だったのか?」



俺は目を見開く。

あぁ、そうか…そうだったのか…



「お前に救われた身として聞く。

本当にその選択で納得してんのか!お前が本当にそれがしたいのか!やりたいようにしろ!まずは生きるのを大事にしろ!死ぬなら…本当の意味で後悔しなくなってから死ね」



あぁ、あるよ…たくさん。


お前を残して死ぬことだけじゃない…まだまだある。


そうか、あの日の少年はお前だったのか…『勇馬』。



「それなら、足掻けよ。

あの日の俺と同じように…」



そう、俺は…『答え』を見つけた。

あ、雪虎の話書いてない。


というか、最近は友情ものになってるような気が…まぁ、気のせいだと信じよう。

さぁ、ここからは雪虎、火鎚編の多分クライマックス!


次も呼んでください!

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