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炎と虎龍の軌跡 成り果てた先

平成最後の…って、言ってもね…

延々と流れ続ける過去の記憶…。


そう、俺はこうして人災になった。


炎は自分であり、自分は炎である。

憎しみも何も湧かない…。




だから、見つけよう。





今の自分に必要な『答え』を…




俺は再び長い眠りに身を投じる。

長い、長い過去の夢に…





**




俺は守りたかった…。


何を…と言われればただの傲慢な英雄でありたいという勝手な願い。


でも、それでもあのお姫様達の笑顔が俺の中にずっと残り続けていた。


それは今、再会しても声をかけることもできない俺への皮肉だろうか…



守と誓った…守ろうと思った。



しかし、すぐ近くには俺よりもすごい奴がごまんといる。

だから、焦ってしまう。



だからだろうか?



今、俺がずっとこの過去を見続けているのは…


何を言いたいのだろうか俺にはまだわからない…


でも、見つけなくてはならない。


俺の本当の『願い』を…


故に俺は夢の中でも戦いに身を投じる。




**




ユキトラは目撃してしまった。

目の前で『ヒールハウス』の少女を救おうと必死に瓦礫をどかそうとしている瞬間を…




(そんなこと、あんたがやらなくてもいい!

なんで。自分の命を大事にしないんだ!

あんたの命は安く無いんだよ!あんたは姫様だろ!)




目の前の光景にユキトラはいろんな感情が湧き出す…。

守れない自分…偽善でも何でもなくふと、それに憧れてしまった。



しかし、その感動も一瞬…。



姫様の上にある建物が瓦礫となって落ちてくる。

ユキトラの位置からして間に合わない。


咄嗟に叫ぼうとする。


しかし、足が動かない。



(動け!あの人を守らなくてはいけないんだ!動け!何で…こんな時に動かないんだよ!)



長い戦いによる疲労がここで現れた。

無理もない、時間を稼ぐためにひたすらに戦い続けて生き残ったのだ。


その結果がこの有様だった。




(いやだ。いやだ…いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ…)




ー護れないのは嫌だ…誓ったのに…守れないのかよ




走馬灯のような瞬間…その一瞬で涙すら枯れてしまうほどの後悔…と諦め。


しかし、それを一蹴される。



炎が辺りを過ぎる。



それにより、瓦礫だけが綺麗に吹き飛ぶ。

質量を持った強力な炎が正確に瓦礫だけを捉えたのだ。



その瞬間、ユキトラの何かが壊れた。



そう、見たのだ。

反射的にその存在を…




炎を放った少年の姿を…



明らかに目には正気を失っている。

しかし、そこには確かな守という意思が見て取れた。

そして、左半身は黒い鎧のような骨格によって包まれた少年…



そう、ヒヅチが瓦礫を吹き飛ばしたのである。

『ガイロ』に身を売ってまで…。



それを見たユキトラは憧れてしまった…その意思に…嫉妬してしまった…その力に…。



その瞬間、繋がる。



未完成だった芽生えていた…その力が…




『守護』




「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」




叫びはやがて獣の咆哮のようなものに変わっていく。

ユキトラの心が折れる。

欲してしまった分不相応な力に心がまず耐えきれなかった。



この街の守りの伝説に酷く似た存在…炎の存在『ガイロ』を退けたとされる獣…。




『守護虎龍』



それに似た特徴をユキトラはその身に表す。



願望…守りたいという願いによってユキトラの力が構成されていく。



ユキトラに意思はなく『ガイロ(・・・)』に襲いかかる。



ヒヅチもまた天敵と言わんばかりに過剰に炎を垂れ流して迎え撃つ。


そこに周りの被害なんてものを気にしたものではなかった。



そう、この国の最後は人災の大群による制圧ではなかった。



皮肉なことにその街の人間の争いによって滅んだのだった。




**ヒヅチ



後悔しかない…この手で友人を手にかけた。

記憶は無い…炎の魔人に支配されていた…いや、それは逃げだ。



「くそっ!何で…何でこんなことになったんだよ!」



俺はひとり街のど真ん中で叫ぶ。


涙なんて出やしない。

とっくに枯れている。


憎しみも何よりも後悔しか後には残らなかった。



『本当に人災が生き残ってるとはな』



声が聞こえる。

俺が後ろを振り返る瞬間には襲われた。


その瞬間、理解する自分がどんな存在だったのか…。



『人災』



それは英雄の標的。



目の前にいるのは国の外では有名な英雄。



『管理の英雄』



死にたく無い。

その瞬間、炎が吹き荒れる。



だめだ…それだけは…




『さぁ、願いを叶えよう』




理性が再び失われる。




**ユキトラ



『GAAAAA!!』



獣の咆哮が聞こえる…いや、聞こえるわけでは無いのか。



この声は俺のものだ。

そう、俺は何をしてるのだろうか?



確か…人災の群れによって…そして、しんがりを務めて…そして…そして…


頭が真っ白になる。


思い出したく無い。

頭がいたい。嫌だ…辛い…逃げたい…。


しかし、次の瞬間、そんなことはどうでもよくなった。

ここがどこかなんて関係ない。

何があったかなんて関係ない。



目の前の道で運送を生業とするものが魔獣に襲われている。




その瞬間、救うという答え以外あり得なかった。



俺は飛び出して魔獣達を蹴散らす。

後から何体も出てくるが一匹残らず殺す。


一切の躊躇いもなく全力で…。



そして、全てが終わった頃に襲われた人に振り返る。

そして、「大丈夫ですか」と聞こうとした瞬間だった。



「ひぃ!近づくな!化け物!だ、だれか…誰かいないのか!」



俺は言葉を失う…なぜ、疑問が湧く前に言い知れない恐怖が俺を襲う。

そして、自分の姿を俺は知ってしまった。



全身、龍のような鱗に覆われ、虎のような牙と爪そして、瞳…そう、形こそ人間であるが俺は限りなく人間に離れてしまっていたのだ。


頭が真っ白になる。


何が正しくて何がいけないのか分からなくなる。


再び、俺は獣のような咆哮をあげる。



そうして理性を失いながらもこの場から逃げるように…いや、実際逃げたのだった。




**ヒヅチ




あれから数年の時が経つ。


俺はあれ以来人里から離れてずっと一人で暮らしていた。

別に選り好みさえしなければ人災となった今、そこらの毒になら大丈夫だから今更飢え死ぬようなことはない。



しかし、実際、ずっと一人だったかと言われれば否と答える。

時折、英雄が来て俺を殺そうと襲いかかってくる。


俺はその度に理性を失い、英雄達を焼き殺す。


そんな暮らしがずっと続いている。




しかし、この時、立て続けに普段とは違うことが起きたのだ。



人が近づいてくる。



俺は警戒を露わにしならがらも交渉は出来ないかと話す準備をする。



しかし、出て来たのは一人の少年だった。



「え?」



俺は思わず警戒を解いて声を漏らす。

しかし、すぐに子供だからと言って警戒を解くのはいけないと思い気を張り詰める。


そして、少年は俺に気づいたようでじっと見つめてくる。



そして、呟かれる。




「何であんたは生きてるんだ?」



今度こそ俺は警戒も何もなかった。

完璧な確実に俺の心を突く刃…。



「なぁ、答えてくれ…『炎の人災』…お前はそれだけ絶望してなんで生きようとしてられるんだよ!」



しかし、次の言葉違った。



そう、少年と俺は似てるのだ。

生きることに絶望したその姿…かつての自分と重ねてしまう。



俺だって生きることは辛い…しかし…



「ふざけてんのかよ!」



自然と声が出ていた。

そして、少年の襟首を掴んで持ち上げる。



「生きるのが辛い?あぁ、そうさ!辛いさ!でもよ、そこで生きるのを諦めたらこの先の未来が無いんだよ!それを託してくれた未来を潰すんだよ!俺が犠牲にしちまったあいつらに顔向けできねぇんだよ!だから、人災なんてものを背負っても例え許されなくても生きなくちゃいけないんだよ!これ以上、だれも殺したくねぇよ!でも、それしかねぇんだよ!お前が何絶望してるか知らねえよ!でも、それで諦めるより未来を見ろよ!お前の未来は誰のためにあるんだよ!お前の未来は何で存在するんだよ!お前が何の為に生きてるかしらねぇが…無いなら無いなり足掻いて見ろよ!そうすれば…そうすれば…違う未来だって見えるんだよ!」



俺はありったけ叫ぶ。

誰にも理解されないような叫びを…誰かに理解してもらおうなんて思ってはいない。

むしろ誰にも理解されなくていい…でも、この少年は何故か目を見開く。



「わからない…なんだよ…なんだよ…くそっ!

ふざけんなよ!俺にばっかりなんでこんなもの見えるんだよ!」



少年は頭を抱えて泣き出す。

よく見ると大人のような雰囲気を帯びていて気づかなかったが少年は7歳くらいの見た目だった。

そう、そんな少年が何かを背負うように泣き出しているのだ…。



何故だろう…



何でだろう…




「なら、諦めるなよ…」



気づけば言っていた言葉…。

何を言いたいのか俺には分からない。

でも、言葉は止まらない。



「お前が何を抱えてるのか分からない…でも、納得がいかないならやれよ…やりたいようにしろよ」



なぜか少年が抱えているのがわかってきたのだ。

それをしたいのに出来ない苦しみ…。

それが罪だという意識…でも、今の俺にとっては関係ない。

存在そのものが俺は罪だ。

でも、俺だって生きたいから生きるのだ。



「死ぬなら、それからでいいじゃないか。

諦めるなよ…まずは生きることを大事にしろよ」



少年は俺を見つめる。

よく見て見ると頰は殆ど濡れていない。

でも、目は真っ赤だった。

これまでもずっと泣いてきたのだろう。

体はやつれておりガリガリと細くなっている体。


きっと、少年はずっと飲まず食わずの環境だったのだろう。



「なぁ…」


「なんだ…」



少年が口を開く。

俺は自然と答える。



「なら、お前はどうしたら…救えるんだ?」



ようやく分かった…。

彼のしたいことが…。



あぁ、こんな奴もこんな世界にいるんだな。



まだ子供だ。


でも、こんな奴がもっといてくれたらどんなにいい世界なんだろうな。



こいつは初めから俺が人災だったことなんて承知の上なんだ。

それでいて、関係ないんだ。

こいつにとっては人災も何も…。



だって、こいつは人災を救おうとする馬鹿なんだから…。


俺は笑う。



「さぁな。でも、案外…簡単なことかもしれないな」



少年はじっと俺を見る。

そして、そこで初めて笑顔を見せる。



「そうか…ありがとう。

俺は決めた…」


「お、おい!一人じゃ…」



それだけ言うと少年は去っていく。

俺は止めようとするがそれを聞かずに歩いて行ってしまった。


俺はため息を吐いて仕方ないと追いかけようとした時だった。



「ようやく見つけたぜ『炎の魔人』さんよ」



その瞬間、俺の理性は飛ぶ。



**ユキトラ



一体、あれから何年たったのだろう。

結局、人里からあまり離れることができずに点々と場所を移しながら誰を助けている。


しかし、いつだって俺の姿を見て怯えてお礼も言わずに逃げれるかむしろ攻撃されることだってあった。



別にもう慣れたしどうだってよかった。


ただ、誰かを助けたという自己満足に浸れていればそれだけで十分だった。



しかし、ここしばらくはそういったことをする暇なんてなかった。



なぜなら、英雄が俺を殺そうと派遣されてきたからだ。

極力人を殺さないようにしてるが英雄相手だと強すぎて気絶させるだけなんて処置も取れない…いや、下手すればこちらが殺される。


故に全力で逃げるか、相手を殺す覚悟で戦うかの二択だった。



「やぁ、君が『虎龍』なのかな?」



突然、目の前に少女が現れる。

その瞬間、俺は警戒をする。



そして…



「安心して、僕一人だよ」



少女が俺が警戒しようとした瞬間に言う。

しかし、俺は容易に信じられなかった。


今まで、英雄は基本的に俺を殺すのに七、八人くらい必要と判断してるようで毎回囲まれている。



「まぁ、落ち着いて話し合おうよ」



少女からの提案…。


しかし、ユキトラは今までの経験より知ってる。

大抵の場合、英雄達はそれを裏切り油断させて一気に殺そうとしてくると…。


故に俺は少女が次の動きをする前に爪を振り下ろす。



しかし、それは途中で阻まれる。



「まったく、もう少し理性的だって聞いていたんだけどな…」



少女はそう言う。

そう、俺の爪は気付けば取り出していた少女の剣によって受け止められていたのだ。



「仕方ない、とりあえず一発締めようか」



次の攻撃をしようとした瞬間聞こえる。


衝撃が走る。

人災になってから自分の認識できない攻撃は基本的に無かった。

しかし、これは違った。


純粋な体術が人災になった俺を上まったのだ。



しかし、俺は止まらない。


ならばと、何度も仕掛ける。

しかし、少女はそれら全てをしっかりと受け止めた上で反撃してくる。



ふと、不思議な感覚に囚われる。

普段ならここで理性を失くす。

しかし、ここでは一切理性がなくならない。


何故か目の前の少女に勝ちたいと思うがふつうの英雄とは違うような気がした。


だから、どこまでも戦えた。



「思った以上にやるね君!」


「うるせぇ!お前もこんなに歯ごたえのあるやつなんて久しぶりだぞ!」



そう、ふと懐かしく感じた。

いつも仕事をサボって模擬戦をしていた同僚を…。


いつもいつも決着はなあなあで終わるがそれでいいと思えるような戦い。



そう、俺は英雄になりたかった…。

きっと、だから俺は俺の英雄像を守るために理性を失って今までの英雄は戦っていたのだろう。



でも、違う。

でも、食い違う。



「それなら…救ってくれてもいいじゃないか!」



理性は失わない。

でも、心の中にずっとあった本音が漏れていく。



「何であの時…俺が人災になった時いなかったんだよ!何で、だれも俺を救ってくれないんだよ!救ってくれるから英雄じゃないのかよ!誰かを守りたい…そう思って人災になっちゃいけないのかよ!その結果、化け物になったならだれか救ってくれよ!わがままな願いだってわかってるよ!でも、何で誰も目の前にある小さな命を救おうとしないんだよ!何でお前達は姫さん達を救ってくれなかったんだよ!何で俺の国を見捨てたんだよ!ふざけんなよ!こんなの出来っこない無茶願いだってわかってるよ!それでも、お前達は何で…なんで、俺達人災を救おうとしないんだよ!わかんねぇよ!それが無理でもなんの罪もない人間がなんで救われないんだよ!目の前で死にそうな人間をどうして救ってくれないんだよ!もう嫌なんだよ!助けても救っても恐れられて、怯えられて、逃げれて、俺じゃ救えないんだよ!俺じゃ人を救えないんだよ!」



そんな本音を叫びながらありったけ暴れる。

少女はそれでも引かない。

それでも少女は立ち続ける。


理性はまだ残ってる…いや、正確には残ってはいない。


人災ではなく本能で俺は戦い続ける。


そして、次の瞬間少女は再び口を開く。



「ごめんね」



その一言…。

なぜかその言葉に異様に腹が立った。



「謝るくらいなら誰でもいいから本当の意味で助けろよ!」



ここで初めて少女は剣ではなく素手で俺の攻撃を受け止めた。

簡単に血は流れる。



「君の気持ちはよく分かる…僕も救われた側だからね…だから、今だけは休んで…君を助けさせて見せるから」



少女はそう言うと俺は意識を失う。

最後の言葉の意味を考えながら…

さて、平成最後のなんて話題は出しません。

そう、例え前書きで出ててもしませんししてません。


というか思った以上に過去が長い。まだ、続く。

おかしいな?もう少し早く終わる予定なのに書きたいことが多過ぎて…。


誰だよ!次が最後とかぬかしたやつ!



って自分か…



さて、ここまで読んでいただきありがとうございます!

後書きは基本愚痴なので無視して構いません。

おもしろいと思っていただけたなら幸いです!

では、また次回に…ブクマ、評価よろしく!

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