利差がいない日常
悩みながら書いてたらもうこんなに…。
忙しい中でどうやったら更新が安定するようになるのだろう…。
目を覚ますとそこは俺の部屋だった。
意識が朦朧とした中、俺は周りを見渡す。
近くには誰もいなく俺は一人のようだ。
俺は起き上がろうとした時に気が付いた。
布団の中に何かいる?
サラサラして柔らかくて少し暖かい…まるで人肌のような…。
そこまで思考を巡らせた時、俺は急いで布団をめくった。
そこには銀色の髪の幼い少女の姿が目に映った。
「お前は…華?」
「うぅん…、うーん…呼んだ?」
名前を呼ばれてか元からなのかどうやら目を覚ましたようでモゾモゾと俺の体に抱きつきながら伸びをして僅かながら返答を返した。
「お前、なんでここに?」
「えー…と…確か一昨日くらいに…勇馬が意識がない状態で運ばれて来たから…心配でつい…」
「えーと、それって『つい』って言うことなのか?
って、一昨日だと!?」
「…?」
俺がいきなり叫んだことに華は首を傾げる。
だが、俺にとってはそれどころではない…、俺は一昨日の記憶が那奈と別れてから朦朧としていて思い出せない。
いや、そうだ…。
「華、利差は?」
その質問に対して明確に華は戸惑うことなく目を逸らした。
「勇馬…やっぱり知らない?」
「何をだ?」
「なら…いいよ…」
華はそう言うと華はベッドから出て去ろうとした瞬間だった。
突然、俺の部屋のドアが開かれて世那が現れる。
「やっぱりここにいたのね…華」
「姉さん、勇馬が起きた」
「え、あ、おはよう勇馬…とりあえず学校があるから準備して話は移動しながらしたりするから」
世那はそう言うと俺の部屋から出た。
華はなぜかその場に残り、ジッと俺を見ていた。
「どうした?」
「勇馬…私はあまり悩まなくていいと思う…やりたいように…」
「それは…」
どういうことだと続けようとしたが雰囲気的にその言葉を言えなかった。
「それと、どうだった?
私に抱きつかれた感覚は…」
その瞬間、俺は苦笑いしかできなかった。
こう見えても華はユンと同い年で一つ年下なんだが、何故か今は幼い容姿の筈なのに俺と同じかそれ以上の年齢に感じた。
いや、前世があるからその辺は間違っていないか…。
「答えて…」
無駄に威圧感があり、ドアの前に立たれているため逃げることも出来ない。
仕方ない、正直に答えるか…。
「サラサラしていてなんと言うか柔らかい感覚で悪くなかった…」
「…そう、よかった」
俺の言葉に満足したのか華は上機嫌そうに部屋を出る。
俺としては無茶苦茶恥ずかしくて出てくれたことは助かった。
「一昨日か…」
何があったか今の会話の間である程度の事を思い出した。
しかし、途中で気絶して利差がどうなったか思い出せていない。
視界が歪む…。
それと同時に頭痛や動悸や息切れをする。
「これは…貧血か…はぁ、思った以上に血が戻ってないな…」
そんな中で俺はなんとか制服を手にとって着替える。
「そうか…」
利差があの後どうなったか歩きながら聞いた俺はなんとも言えない感覚に陥っていた。
皆帰もどこか苛立ちがあるようで先程から説明しながら変に足や手に力が入っていた。
「そもそもが、何故利差がこんな行動に移ったのかが問題だな…」
「だが、刃月君…そんなことはすぐにわかることじゃないと思うんだけど…」
刃月の言葉に対して世那は首を振る。
そう、簡単には事情は分からない…しかし、それに関しては俺と雪菜…それと那奈もある程度察しはついているがお互いに見合わせて何も言わなかった。
特に雪菜が原初について語るのを嫌がっている。
故に俺からは何も言えなかった…。
「勇馬…あの時なんであそこにいたんだ?」
火鎚からの質問に俺は正直に答えた。
祠を見つけたこと…そこにあの少女がいたこと…そして、俺が明確に彼らに対して敵対したこと…。
「そうか…やっぱり敵対関係になったか…。
ならさ…俺から一つあるんだ。
俺が言うのも身勝手だ…それに今のお前を混乱させてしまう…でも、言わせてくれ。
しばらく、お前は…」
「あいつらと戦おうとするな」
火鎚の言葉は俺の予想を大きく裏切っていた。
情報収集などのあいつらに関わること全般がダメだと言われた…。
火鎚の言葉の意図に対して俺は理解できなかった。
なぜ、今現在、明確な敵であるあいつらと戦おうとする事を禁止したのか…なぜ、あいつは身勝手で混乱させると言う言葉を使ったのか…。
その後、俺達の会話は途切れてしまった。
****************
授業の合間の休みの時間となり、俺はなんとも言えない感覚に囚われていた。
することがない…いや、正確にはどうすればいいか分からない状態でと言える。
「よう、北条…どうした?」
そんな時、俺に話しかけてきた奴がいた。
そいつを見るとまぁ、普通とは少し違うが普通の少年だった。
「誰だ?」
「酷くね…まぁ、仕方ないか…あの時、俺達は何もできなかったからな…友人失格か」
その言葉と共に俺はその少年に対して僅かに思い出した。
俺がいじめられている時、何もしていなかったが進んでいじめてきたりはせずに中立を貫いていた。
まぁ、妥当で正しい判断だと今の俺なら言える。
「今日はどうしたんだ?
普段なら他のクラスや雪夜達と話してるのに…」
「それは、少しな…」
俺はつい目を逸らしてしまう。
何というか、バツが悪いというか…。
「なぁ、もしも…自分の信頼してる人間がおかしな事を言ったらどう思う?」
「何だ?
それは…勿論、何か自分に伝えたいことがあると裏を取る…または意味をよく考える」
「そうか…」
やはり、分からない…意味も意図も…何故、火鎚は俺に制限をしたのか…何故、あの言葉を言ったのか…。
「まぁ、他には言った本人に聞くしか無いんじゃないのか?」
それに関してはもう聞いたが答えてくれなかった。
それと例の如く教室どころか学校にすら火鎚はいなかった。
「ありがとな…」
「いいってことよ…まぁ、この程度じゃ償いにもならないけどな…」
男子はどこか嬉しそうに頷く。
ああ、忘れてたな…そうか、俺がある意味ではずっと求めていたものは今この手にあったんだな…。
「?どうしたんだ、急に遠い目をして」
「いや、何でも…ただ…普通を忘れていたな俺は…」
俺は何か引っかかりを覚えてそう言う。
自分の持てないもの…それを彼は持っている。
羨ましくもある…でも、何処かできっと彼等を守りたいとも考えている。
「何当たり前のこと言ってんだ?」
「そうだな…だからよ…俺の普通の要になってくれないか?」
「はぁ、そうだな…お前がこんなにも何か追い詰められたような感覚はひょっとして今日、冬華さんが来てないのが関係してるのか?」
「そうだが…何か知ってるのか?」
「いや、ちょっと今日の朝見かけただけだ…」
男子はそう言うと俺からそっぽ向いて歩き出す。
「あ、そうだ…さっきの答えだが…乗るよ。
何のことだか分からないがお前が困ってるなら今度こそ助けたいと思ってるんだ…頼ってくれ!
それと、俺の名前忘れてるだろ?
井吹 俊介だ覚えとけ!」
そう言って去っていく井吹を見て俺は泣きそうになっていた。
酷く、嬉しくて…何か壊れそうな感覚が俺にあった。
「ああ、ありがと…やっぱり俺はダメだな…」
その後、俺は落ち着いて授業を受けて放課後の体育祭の練習の時間となっていた。
放課後、大縄を俺達のクラスはやっていた。
「ねぇ、男子!ちゃんとやってよ!」
そんな野太い声が縄に誰かが引っかかると共に聞こえてくる。
そう、男子?の声である。
「ほら、男子早く整列して!練習できない」
練習を再開をしようとする時に再び声が聞こえる。
二度目だが男子?の声である。
「いくわよー!せーの‼︎」
また同じ人の掛け声によって練習が再開される。
何度も言うが男子?である。
「なぁ、雪夜…あんなキャラ濃い奴うちのクラスにいたっけ?」
俺は隣で飛んでいる雪夜に密かに話しかける。
「一応いたぞ…授業中に当たった時なんかもあんな感じだぞ…というか、お前はいい加減に授業中に寝るな」
俺は頰を掻いてバツが悪そうに笑うが直す気は一向に無い。
「北条!ちょっとこっちに来い!」
丁度、誰かが縄に引っかかった時だった。
突然、俺を呼ぶ声が聞こえて周りを見渡す。
そして、俺の視界に映ったのは予想外な人物だった。
「相模先生…今日はちゃんと練習してますよ」
俺は相模先生のところまで来てそう言うと違うと返して来た。
「なら、何の用事で…」
「要件は冬華についてだ」
何か先生は神妙そうな顔で言う。
「えっと…利差がどうかしたんですか?」
「本来、聞くべきではないのだが聞かせてくれ…冬華は昔になにがあった?」
俺は黙る。
この質問はある程度なら誤魔化しながら答えることができる。
でも、その答えに先生が納得するかが問題だ…。
「先生…何で利差のことが聞きたいんですか?」
「っっ!」
思った以上に俺も利差の事を気にかかっていたようで殺気など色々と漏れていたことに今気がついた。
それに対して先生はすくみ上っていた。
「…理由はそれだよ…勇馬…君もだ………何て…眼してんだよ…」
「は?」
俺には全く分からない…何をこの人は言っているのか…。
俺の殺気は弱まったようでさっきより先生は苦しそうでは無かった。
「まるで何かに絶望し切った後の…」
「黙れ!」
瞬間、俺は怒鳴っていた。
「お前に何がわかる!」
俺は何を言ってるんだ?
ふとした疑問が浮かんだ。
しかし、一度口に出した言葉は止まる事を知らなかった。
「誰からも親でさえもあいつを冷遇して来た!
お前もあれかよ!あいつが悪いと言うのか!」
だから…俺何を言っている?
冷遇?誰が?あいつは…誰?
何だ…これは…。
「ふざけんなよ!あいつは俺なんか比にならないくらい優しくて、真面目でうざったいくらいのお人好しだったあいつが何で忌子だよ!」
そうか…だんだん分かってきた。
そう、俺は…。
「何で…あいつがあそこまで絶望するまで誰もが否定したんだよ…」
それが…
「俺は許せない!」
気が付けば俺の瞳から涙溢れていた。
やっと分かった…やっと…
「思い…出した…」
俺はその記憶を確かめるように手を握る。
そうだ、それが利差との出会いだったんだ…。
「お前…一体」
先生が呆然としてる中、俺は走り出していた。
「先生、用事を思い出したんで帰ります!」
「ちょっ、北条!」
先生が後ろで何か言っていたが今は気にしてる場合では無い。
探さなきゃ…あいつを…絶対にもう絶望させない。
全てでは無い…でも、ほんの僅かに思い出した利差に関する記憶が俺の足を動かす。
次回は少し勇馬からの視点を外します。
読んでいただきありがとうございます。
また読んでくれると嬉しいです。
面白いと思って頂けなら幸いです。
それではまた…




