自己紹介パート2と新しい生活の一歩
前回の続きです。
するとそこには中高生くらいの茶髪で黒目の男が入ってきた。
「ん、もう自己紹介とか始めているのか?
全員どうだ?
静域兄さんにはもう許可を取ってあるし俺はどちらでもいいぞ」
と言うと男は椅子に座る。
「おう、そうだな。
自己紹介を忘れるところだった。
俺の名前は紀伊羅 静育だよろしくな」
「はい、俺は北条 勇馬と言います。
よろしくお願いします」
「そうかしこまるな。
俺自身最年長だがまだ敬われる様な年でも人柄じゃないよ」
「はぁ」
良い人であるのは確かだ。
「おーい、俺達は無視か?」
少し困った声が聞こえたから振り向くと黒髪黒目の男の子と黒髪黒目のサイドテールの女の子がいた。
さっき静育さんが入ったせいで自己紹介していない人だ。
「とりあえず、自己紹介をしよう。
俺の名前は大空 空よろしくな勇馬」
「私の名前は時雨 悠乃よろしね勇馬君」
「よろしく、空、悠乃」
二人はフフッと笑うと満足そうに椅子に座る。
「これで全員終わったか?
雪虎がいないがいつものことだろ」
全員が頷く。
どうやらあれは通常みたいなものの様だ。
「んじゃ、勇馬をここに置くのに反対の奴はいるか?」
誰一人して反対な人はいなくそのまま話が進む。
「んじゃ、勇馬お前はこれからここで置くことに決定だ」
「ありがとうございます」
俺は心底からお礼を言った。
「んじゃ、この施設の説明をするか」
俺以外の全員頷くとまずは皆帰が喋り始める。
「ここは孤児院みたいなところでな、俺達全員孤児なんだ。
そして、ここは孤児院というより寮とか共同生活の類だと思ってくれ。
実際保護者が滅多に帰ってこないからな」
要するにここは正式な孤児院とかではなくある一定の人を預かって生活させている場所なのか?
そして、保護者は滅多に帰ってこない。
次にセツヤが話し始める。
「因みにお前のケガを治したのは俺達の保護者である、紀伊羅 静域だ。
他にも保護者にあたる人はいるがこの人が一番この場所に戻ってくることが多いな」
要するに保護者代表が静域という人ということか。
待てよ、俺のケガは何一つ跡が残らず少し痛むくらいまで治っているがおかしいな?
「安心しろお前は正常だよ。
事実お前が眠ったのも1日くらいだ。
静域兄さんはどんな病気もケガも直す奇跡の医術師と一部では有名な人でな、かなりの神出鬼没な人だ」
静育さんが静域という人の備考を教えてくれる。
なんか、話聞いているとその静域という人がかなりの化け物に聞こえる。
全員一旦一区切りを着くかの様に息を吐く。
「この施設は大まかに全部で10個のルールが尊守される。
一、中学生までの外出は9時までとする」
皆帰がまとめに入り一つ目のルールを言う。
「二、チャンバラやじゃれ合いはともかく施設内のケンカは絶対に起こさない」
紗雪が便乗する様に二つ目。
「三、基本的には全会一致で物事を決めろ」
雪夜が少し笑いながら三つ目を言う。
「四、家事は当番制に」
利差が嬉しそうに四つ目。
「五、遊びに行く際はしっかりと誰かに連絡」
火鎚は溜息を吐きながら五つ目。
「六、物作りをする時はしっかりと許可を取る」
刃月が目を逸らしなが六つ目。
「七、イジメや差別をしない」
ユンが当然と言わんばかりに七つ目。
「八、一人で物事をあまり考え込まない」
空が窓の外を見ながら八つ目。
「九、規則正しい生活を送る」
悠乃がそっぽ向きながら九つ目。
「十、以上のルールを持って年齢差関係無く仲良く暮らしましょう」
静育が大きく宣言する様に十つ目が言い終わる。
『これからよろしくな(ね)勇馬!』
全員が同時に言ってきたのに対して俺は少し嬉しくなりながら返す。
「あぁ、よろしくみんな!」
まだプロローグみたいな場面ですのでしばらくは話の本筋には入りません。
2018.5.26より多少の書き換えと改行を加えました。