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暴走1

無数に近い魔獣が跋扈する。

その大半がある場所に群がり、なにかを待っていた。


整形八面体の何かがその中心には浮かんでいた。

時折、強力なエネルギーを発して何かの前準備をしているように見えなくもない。


しかし、それは魔獣にとっても何か分かっていない。

純粋に糧となるエネルギーが発せられる。

ただそれだけの理由で集まっていた。


ピキッ


そして、整形八面体から音が聞こえる。

ひび割れ始めており、何かが現れようとしていた。


「構築完了…覇者の権能…正常値…」


少女の声が響き渡る。

そして、その声はたしかに中心となっている立体からの聞こえてきていた。

その時、本能でどれだけの魔獣が悟れていたのだろう?


いや、今となっては不毛な仮定である。


バリンッ


そして、割れた。

その瞬間に綺麗な黒髪が映る。

聖十院 雪菜が割れた中から現れたのだ。

その瞬間、雪菜はその場から消える。


比喩でも何でもなく消えたのだ。


次の瞬間には少し越えた先の場所におり、剣を抜いていた。


「あの時に逃がしたのは痛いかな…」


悔しそうに歯軋りを少し鳴らすがため息を少し吐いて仕方ないと割り切る。

雪菜自身あの少女を逃がすつもりは無かったが先程までのように魔獣に囲まれて追いかけられない状況を作られてしまったので少女を追いかけることを諦めていた。


「まぁ、今は魔獣の討伐が優先だね。

他にもあれがいないとは限らないから…」


雪菜は魔獣を食らっていたあの魔獣に対して酷く警戒していた。

今は皆帰が相手しているようだが、余程のことがない限りほかの魔獣を優先させることにしていた。


「さてと…次は向こうだ」


再び雪菜が消える。


先程まで囲っていた魔獣達はその間も動かなかったいや、動けなかった。


そう、もう既に…魔獣はチリとなって徐々に消えていってしまったのだ。


そして、雪菜が向かった先の魔獣もチリとなって消えていく。

そこで雪菜は少しよろめいた。


「やっぱり…代償は大きいよね…」


気が付けば雪菜の至る所から血が滲み出ていた。


雪菜が行ったことは簡単だった。


第七の属性『覇者』の使用だった。


これは空間、距離などの制約を一切を無くして攻撃できるものだった。


ただし、影響を与えるにはそれに応じた時間とその際の敵の位置の把握が必要である。

故にその制約をうまく軽減するために雪菜は覇者により作られた裏の世界を渡っているのだ。

その世界は距離そのものが無く、ただ何もない空間で座標だけを把握するそんな場所…、上も下も右も左も前も後ろも関係ないそんな世界だ。


それでも、無敵とは言えない。


そもそもが裏の世界と繋がった衝撃に体が耐え切れずに崩壊する可能性が高いのだ。

雪菜は障壁を使って軽減はしているが物理法則を完璧に無視するに至らない点も弱点とも言える。

それが雪菜の今の限界であり、『覇王』ではなく『覇者』というものに踏み込んだにしか過ぎない。


魔獣のすぐ目の前まで雪菜は詰め寄り、剣を振るう。

それにより、時間差ではあるが周りの魔獣も生き絶える。

障壁で個々と捕らえていく。

そして、再び切り裂く。

時折、刃が通らない相手もいるがその時は近付いて確実に弱点を狙う。


その瞬間、雪菜は感じた。

皆帰の気配が希薄になってきているのだ。

それに対して皆帰と相対していた魔獣の気配が色濃くなっていく。


「これは…」


雪菜は考えるよりも前に急いだ。

空間という制約を全力で超えて皆帰の元まで向かう。


******皆帰*******


突きつけられる角が俺の肩口に刺さる。


「捕まえた…」


俺はニヤリと笑い角を掴む。

鞭にしていた連接剣を剣の形へと変えて振り下ろす。

魔獣は咄嗟に首に向かった剣を無理矢理角を引き抜いてぶつける。

根元に深々と剣は入り、角を切り落とした。


しかし、魔獣はそれに動じずすぐに後退すると咆哮をあげる。


俺はすぐに後ろへ飛ぶが次に来る衝撃を僅かに弱めたにしか過ぎなかった。


俺は空中で吹き飛び近くの木に身を叩きつけられる。


すぐに体制を立て直して鞭状に変えた連接剣を振るう。

雷が龍の形に纏い魔獣を襲う。

それに対して魔獣は軽々と空中を舞って避ける。


「チッ、雪菜とか雪夜は空中戦をよく行ってるけど、俺は地上戦専門なんだよ!」


俺はそう言ってすぐに連接剣により魔獣の上を覆う。

瞬間、剣から雷が放たれて魔獣に直撃する。


「グルァァァ!」


魔獣にも痛覚があるのか、絶叫を上げてよろめく。


「効いてる…でも…」


油断できないそう言おうとした瞬間、剣が砕かれる。

やはりと言うべきか格がまず違う。


魔獣の角が切り落とされた筈の額から透明な能力でできた角ができていた。


これは俺達の武器の顕現と同じだ。

そもそも、武器の権限は俺達の能力が関係している。


まず、固有能力により自身の能力として使えるものを能力とされている。


次に霊格と技法だ。

霊格は武器の強さなどの評価を決めるものであり、格が強い方が勝つと言う当たり前なものである。

そして、技法は媒体としての機能を示している。


俺の場合は霊格の存在を知らなかったのもあり、武器の強さはそこまで無い。

そして、俺は固有能力の特殊さ故に媒体としての機能が大きい。

おまけに自身の能力の強化系として…。


「流石に辛いな…やったことがないけど…」


武器を再構成する。

俺達は剣の形状を変えることは出来ないいや、正確にはこの武器が自分にとって一番馴染んでしまうのだ。


まぁ、静域さん曰く、俺達は昔この武器を取り込み自らに刻み込んだそうだ。


故にこれ以上にない適正があり、自身の最強の武器である。

しかし、それでも本来の力には程遠い…俺は任意で霊格を多く込めて武器を顕現する。


作り上げた瞬間、明らかに今までとは違う力を感じる。


「はは、霊格を知らなかったのは損してたかな?」


俺は自嘲気味に笑うと剣を構える。


ドクン


瞬間、心臓が脈打ち警報を鳴らしているようだった。


逃げろと勝てないと本能が訴えかけて来る。


それを俺は気にしない。

いや、正確には気にするよりも逃げられないと悟ったからだ。

瞬間、とんでもない速さで連接剣が辺りを展開させられる。

今まで以上に自由に動かせる…勝てなくてもいい。

時間を稼ぐ!


魔獣は動き出す。


連接剣の通ってない部分を空中であろうが地上であろうが走り突き進んでくる。


その瞬間、長く長く伸びた剣が戻り始める。


先端部分がではなく、中間部分から魔獣に襲いかかりながら動く。


しかし、甲高い音と共に俺の剣は弾かれた。


「くそっ」


俺は焦って全方位から動き回る刃を徐々に襲わせていく。


一つの咆哮でその策も砕かれた。


剣が砕け散る瞬間を俺は見ていた。

威風堂々と焦ることもなく、魔獣は咆哮を一度行っただけだ。

それだけで俺の剣は砕け散った。

先程までとは比べ物にならない硬度があるにも関わらずにだ…。


ー格が違い過ぎるー


それでも俺は諦めきれない。

再び剣を顕現させようとするがそれも叶わなかった。


「くそっ…たれ」


俺の両腕は吹き飛ばされて俺は倒れる。

これを治すことができるのは雪菜か静域さんくらいのものだろう…。


俺は地を這い蹲りながらも魔獣を睨む。


しかし、魔獣はまるっきり動かなくなった俺に興味を無くしたのかその場を去っていく。


意識が遠く…遠く…


******雪菜*******


「皆帰!」


私は森の中、一人で倒れている皆帰を見つけて駆け寄る。

皆帰の両腕は失っており、下手すれば死に至る可能性があった。


私はすぐに皆帰の様子を見てから治癒を開始する。


「久々にこれを使うから心配だけど」


私はすぐに固有能力『守護の癒し』を使用する。

時間はかかるが死んでいなければ部位欠損だろうと重い病だろうと治すことができる。


仲間の生存が第一…それでも何故、魔獣はトドメを刺さなかった。

必要無かった?それなら何故…いや待て…もう、目的は達した?


瞬間、とんでもないエネルギーが地脈を通じて流れる。

その先には魔獣がいることに気が付いた。


「まさか…」


やっと繋がった。

これなら、あの魔獣を優先すればよかった。

だって、あれは敵の実験の一つとして放り込まれた魔獣なのだから…。


今すぐに止めに行きたい気持ちを抑える。

今は皆帰の方が危険だ。

それに地脈に流れたエネルギーからして相手にできるのは私達とは違いある程度の力の解放が行われている静域さん達または勇馬の全力くらいだろう。


瞬間、膨大なエネルギーが発せられる。

木々をなぎ倒し、飛び上がる小さな物体がエネルギーを大量に吸収して巨大な魔獣と化す。


「なに…あれ?」


逃げなきゃ、どこか遠くにあれには勝てない。

逃げないと…でも勇馬や皆帰がまだここに…。


とりあえず皆帰だけでも連れてダメだ。

私が今、一人で考えてはいけない。

近くで力を浴びすぎた。

まともな思考判断が取れてない…そんなのは分かっている。


ただ、最終的に逃げるしか思い浮かばない。


「と、とりあえず皆帰!起きて…腕をあとちょっと治すだけであんたの数が完治するから、皆帰!起きて!」


背負って逃げるのも無理がある。

そして、今低下している判断能力を補うために皆帰の存在が不可欠だった。


しかし、それがあんなことになるとは思いもしなかった。


瞬間、皆帰から今まで感じたことがないような強くて格の高いエネルギーを感じた。


******皆帰*******


俺は夢を見ていた…遠い遠い夢を?


俺は初めての生を知った時に転生の輪との繋がりを感じていた。

しかし、それと同時に俺は失望した。

俺は異物だと思った。

何故かは分からないなんでか分からない。


しかし、俺は少し前の記憶を知っていた。

どこか自分とは違う記憶を…。


あの日をいつでも思い出せた。


「俺は…死ぬのか…」


あの日の俺の言葉だった。

そんな時だった。

一人の男が俺が目の前に現れた。


「あなたにもし次があるとしたらそれを望みますか?」


何を言ってるいるのか分からない。

でも、俺はそれを了承した。

なにかを為さなくてはならない…何かをしなくちゃいけない…それだけは覚えている。


「そうですか…ですがあなたはここで一度死にます…そして、あなた自身は…」


その後のことはなにも覚えていない。

ただ、とてつもない覚悟と強さが欲しいと貪欲に願ったことだけは今でも覚えている。


ーお前は求めてしまうのか?俺の力をー


夢の中で何かがそう囁いてくる。

力は欲しい…それはそうだろう…だって約束一つ守れないような力なんていらないからな…。


ーそうか…悲しいな…俺と同じ道を歩むとは…最大限の配慮はしよう…できれば絶望しないで生きてくれー


勝手なことを抜かす夢だ…俺は絶望なんてしないよ…だって最高の仲間がいるんだそれなのに絶望なんて…いや、一つするとしたらこのまま死ぬことだ。


嫌だ…約束を守らないと…。


瞬間、声が聞こえた。


「皆帰!起きて!」


そう聞こえた瞬間、俺の中の何かが目覚めた。


*******雪菜******


皆帰から何かが迸る。

今までとは違う…。


「おかしい」


首を振る…。


皆帰の腕が元通りになっている。

異常だと分かる…それでもまだ序の口だった。


皆帰から迸る属性が異常なのだ。


皆帰達『純粋のエレメンツ』と呼ばれる皆帰、紗雪、利差、雪夜、火鎚、雪虎の6名の称号がある。

それはそれぞれに専門の属性があり、それしか使えないのだ。


その中でも火鎚は雷しか使えない筈なのだ。

あくまで電撃であって直接、炎や水、氷、風、土を操ることは出来ない筈なのだ。

なのに、彼は全ての属性を纏っている。


瞬間、皆帰は立ち上がる。

巨大なエネルギーを放ったのは魔獣と同タイミングだった。


その瞬間に見たのはいくつものに刃を分裂させて飛ばす皆帰の剣の姿だった。

それは龍の姿になり、空を飛び回る。

そして、皆帰は走り出す。

その後に見たものは魔獣がいとも簡単に殺される瞬間だった。


「と、とりあえず急いで勇馬のところに…」


私は急いで走り出す。

さて、謎は深まるばかりな中次は何が起こるのか…。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたなら幸いです。

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