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戦闘2

少し時間をかけました。

血が俺に降り注ぐ…。

俺の目の前で一人、また一人と命を散らしていく。


「ば、化け物が‼︎」


「くそ!何なんだよお前!死ね!死ねよ‼︎」


風、氷、炎、雷、水と俺に多彩な物が向かってくる。

俺は腕をただ振るうだけ。

それだけで全て消し飛ぶ。

彼らにとっては確かに俺は化け物だろう。

技法能力だけで見ても彼らの技量も技法値も軽く凌駕している。

それこそ、今のように自然と漏れている微々たる量である筈の技法値で相手の技法を打ち消すほどに…。


俺は剣をそっと下ろす。


そして、振るう!

それにより、血がまた飛び散り俺の体を濡らす。

何もこの二年、一部の記憶を思い出して浮かれていた訳ではなく。

俺でしか出来ない手段で肉体も技法も鍛えてきた。


それ故に、ただ技法という別の力を手にして浮かれた奴らに負けるはずなどない。

唯一あの中で負ける可能性があるのは俺達の予想が正しければ、朱嶺というやつに関しては話が変わる。

奴は良くも悪くも向上心があった。

更に予想が正しければ魔人に近付く為の力を取り込んでいる筈だから、今こうしている間にも刻一刻と強くなっている可能性がある。


「早く…何処に…」


俺は少し焦りながらも冷静さを失わないように心を落ち着けて走り出す。


******第三者*******


「今のところはこんなものかな?」


利差はそう呟いて武器を下ろす。

決して武装は解除せずに警戒は最大限にしながらも休憩を行なっていた。


そして、その周りには異常な光景が展開されていた。

現在は5月、異常気象などもあるが基本的に暖かくなっていく時期である。

そんな時期にあるにもかかわらず、大量の氷が辺りを包んでいた。

それは未だ使いこなせていないが確実に次世代の戦闘として使える類の戦いをしているのはまた別の話…。


しかし、そんな氷の世界で利差は二人の人の気配を感じていた。


(一般人が紛れ込んだ?いや、違うそれにしては迷いや戸惑いといった類の歩速ではない)


そう、それは自分たちが作戦を実行している以上から考えると…敵を示しているのだ。


利差はすぐに剣をしまい、二丁の拳銃を構える。


瞬間、それは起きた。


「それは‼︎」


突如として丸い幾何学的な模様が地面に描かれており、光り出したのだ。


「「俺(私)から命じ共鳴させる」」


利差は知っているその現象、その合言葉を…。


利差の知る限りそれを使えるまたは使う人間は二人しか知らない…いや、二人で一人の人間しか知らない。


粒子の集合…いや、二人の人間が媒体としたものは形を作り変えて一つの生き物となす。


「神話の再現…ケルベロス」


利差は呟く…自分の知る情報から目の前にいる異形の生き物を言い当てる。

三つの頭に犬…いや、狼の顔を持つ番犬と呼ばれる存在に酷似したものが利差の目の前にいた。

大きさとしては高さだけでも二メートルにも登る。


「流石は利差さんだね。

私達のことは言わなくても良いよね?」


利差は頷く。

何故ならばその二人について知っていたから。

役割としてはジャックや鈴利さんと同じ役職…能力研究の『六賢者』の二人、由無ユムと仁の二人である。


「へぇ、ということはこんな状況でもすぐに飲み込めたのか…」


仁の方が少し予想通りと言った顔で笑う。

仁は大体私達と同じくらい少年で茶色の髪が特徴的だった。


「感心するより前に行きますよ」


由無の方が無表情でそう言って次の陣を描き始める。

由無は仁と同じくらいの少女であり、二人は双子である。


そして、何よりも二人が特徴的なのは能力共鳴である。

これはお互いの技法などの能力に関しての性質がまったく違う事で共鳴が不可能だと思われていた。

しけし、それは間違いでお互いの能力を噛み合わせる事により何千倍にまでエネルギー量を高めたり、質を良くできる。


そして、二人は技法を使った人工固有能力の錬成用代償陣を使用して、自分の血などを使用して通常の固有能力に現れる錬成よりも限定的ではあるものの強力な錬金術を使用できる。

しかし、それはあくまで生命を作れるわけではない。

あくまで機械的なプログラムされた単純な獣にしか過ぎない。


(私が動けばケルベロスが動き出す。

でも、あの二人にこれ以上何かされるとまずい…)


利差は思考の末に銃を構える。

その瞬間にケルベロスが飛び掛かってくる。

先ほどの魔獣達と比べると速い、そして力強いことが伺える。

利差は一歩後ろに下がる。


ケルベロスはそれを知ってか知らずか突進を行う。


「やはり、突進からですか」


利差はその様子を見て淡々と呟く。

この状況で余裕として言っているのでは無く彼女はあくまで思考の末の結果である。

そして、まず一発と発泡を行う。


ケルベロスの反応は早く、首の一本を少し傾けて避ける。

利差はそれを見てまた一発と放つがやはり避けられる。

そして、ケルベロスが利差に噛みつきにかかる。

そのタイミングを利差は真上に跳ぶ。


「確かに反応速度は高いそうですけど、ゼロ距離なら?」


瞬間、利差は二つの拳銃を構えており、その銃口はケルベロスの端の二つの首を捉えていた。

そして、轟く数発の銃声は見事にケルベロスの頭を砕き、氷漬けにした。


そして、氷漬けにされた頭は地面とくっついており、ケルベロスは身動きを取れなくなる。

そこに利差の二つの拳銃を突きつける。


「一つなら避けれても、二つなら?」


利差はそう言うと生物的に感じられなくてもケルベロスが僅かに絶望的表情を浮かべたような気がした。

しかし、それを気にせずに無慈悲に利差は発泡する。


「意外と早く終わったようだけど、こちらの準備は…」


パンッ


仁が大仰に言っている最中に銃声が轟く。

しかし、その弾丸は二人にはいかなかった。


「どこを狙って…なるほど」


やれやれと肩すくめようとした仁だがすぐに気がつき利差を見る。


「なるほど、普通の弾じゃ無理でも、ある程度の大きさのある程度の速さなら、貫通では無くて吹き飛ばすことが可能ということね」


由無が現状を見て呟く。

そう、そこには陣を吹き飛ばした氷の塊があったのだ。


「でも、俺達が二人ということは変わらないよ」


仁がそう言った瞬間、動き出す。

利差は銃を構えて二人の足下に撃つ。

それにより、二人の前に氷が展開されて動きを止めた。


グワンッ


その瞬間、一つの音が轟く。

それに対して一番早く動き出したのは仁だった。

手の甲に予め用意されていた陣を使用して地面を隆起させる。

それと同時に技法を扱い隆起させて作った壁を強化した。


ズドンッ


そんな音が響かせて壁を破壊する。


「なっ!」


利差は驚きの声を上げるがすぐに正気になり、銃を構える。

しかし、撃つ瞬間に由無が動き出して利差に攻撃を仕掛ける。

利差は後ろに下がり攻撃を避けて様子見に徹し始める。


(流石にあれを止められるとは思ってなかった。

完全な死角からの攻撃…それに今撃っても軽く避けられる)


利差には確かな焦りが生まれていた。

しかし、余裕はまだありつぎの作戦を立て始める。


「由無、今のは紗雪の攻撃だ!

転移陣を使って連れ出して…流石にあんな遠くからの狙撃だと分が悪い」


その瞬間、利差の動きが止まった。

先ほどの攻撃、場所などを一瞬で特定されたのだ。

しかし、止まったのは一瞬だった。

すぐに邪魔をするべく銃を構える。


カンッ


しかし、それを防ぐべく仁が剣を持って利差の銃を弾いた。

利差は咄嗟に何も持っていない手をすぐに剣に手をかける。

そして、邪魔されないように銃で剣を弾く。

すぐに体制を変えて由無を狙う。

しかし、そこには既に由無の存在は無かった。


「油断していていいのか?」


その声とともにいつの間にか利差ね後ろに回っていた仁の斬撃が行われる。

それに対し利差は剣で防ぐ。


しかし、利差は体制が悪く不利な状況である。


(このままでは負ける…)


利差がそう考えた瞬間だった。


シュッ


と利差の首の横を通り過ぎて仁に一本の矢が飛んでいく。

仁は咄嗟に矢を避けて一歩引く。


利差は仁に対しての警戒を解かずにチラリと後ろを見ると弓で由無の攻撃を受けながら矢を引く紗雪の姿があった。


「紗雪!」


利差は叫ぶ。

それだけで紗雪は理解したのか三本の矢をつがえる。


由無はそれに対してすぐに反応して退がる。

しかし、紗雪は由無に対して矢を放つことは無かった。


パンッ


と乾いた銃声が響く。

それは由無に向かって発せられて、矢は仁に向かって発せられていた。


「なっ」

「チッ」


二人は驚きの声を上げながらもギリギリで避ける。

その間に利差と紗雪は合流してお互いに背中合わせの状態で構える。


「利差…」


「わかってる紗雪…」


二人はそう言って大技を放つ。

轟音が響き渡り、地面は抉れて凍りついている。

しかし、由無と仁はそれすらも避ける。


「これで定石に入った…」


利差が言葉を走った時、大技で出来た煙が消えて四人の姿が現れる。

由無と仁は横並びに両手に武器を構えている。

そして、紗雪と利差は縦に並び利差は前で剣と銃を構えて、紗雪は弓を構えている。


そして、お互いにニヤリと笑いぶつかり合う。


******雪虎*******


俺はポツリと立ち止まっていた。

何かに見られている。

そんな感覚があったからだ。


「ライト…か?」


誰に向けたのかも分からない俺の呟きはたしかに響いた。

それと共に後ろから一人の人間の拍手の音が聞こえる。


「流石は純粋のエレメンツと言ったところか…」


後ろから聞こえる拍手と同時に男の声が聞こえる。

俺はゆっくりと後ろを向くと一人の男がいた。

茶髪で短い髪と服装には似合わない大き目の盾と一本の剣…。

その男を俺は知っている。


「俺の役職よりも前に何でお前がここにいる…ライト」


「それは同期と戦えるいい機会だからさ」


同期…たしかにこの男は遥かに俺より年上だが、昔は俺とこいつは同期だった。

随分と昔の話だがな…。


「チッ、裏切りか…」


「そうとも言うかもな」


その瞬間、違和感を感じた。

それはなんの違和感なのかはあまり分かっていないが、ライトらしくないと思えた。


しかし、今はそんなことを感がている時ではない。

ここから先は語る言葉すらいらない。

語るのは剣で充分だ。


この感性に関してはうちのやつらの誰にも理解はされてはいないがな…。


俺は動き出す。

それと同時にライトも動き出す。


俺の一撃は盾で軽く受け止められる。

しかし、それは分かりきっていることだ。

俺はすぐに下がり、ライトの迎撃を防ぐ。

隙あらばとお互いに切り込む。

守り、切り、そしてまた守る。

一歩も譲る気は無い。

先に下がった方が負けだ。

単純なぶつかり合い。


「へぇ、攻撃が少しは重くなったな雪虎」


「テメェこそ、練度が上がってるぞライト」


お互いにぶつかり、打ち合い続ける。


ガキンッ


俺の渾身一撃と渾身の迎撃がぶつかる。

お互いにその力に耐えきれず吹き飛ばされる。


「フハハ」


「フフ」


「「ハハハハハ」」


お互いに狂ったように笑う。

ここで受けた痛みもこの一進一退の攻防も…狂えるほど俺達には楽しいことだ。

お互いに踏み込む。

呆気ない程の破壊を齎す攻撃でぶつかり合う。

純粋な戦いとして俺達は笑いながら殺し合う。


******刃月*******


俺の目の前にあるのは無数の死体…。

闇に溶け込み俺は獲物を待つ。

無数の暗殺や殺し…それらの技術の集積体が俺だと認識している。

誰もが違うと言っても俺は血塗られた剣を振るうことしか出来ない。


「闇を制して、生を喰らうと言ったところかね?」


突然の声に俺は視線を合わせる。

そこにはひたすら黒い少女が立っていた。

服装的にはお嬢様だろうか?

しかし、黒い髪にその黒いドレスは異様としか表現できない。


「誰だ…」


「さぁ、私は誰かね?」


からかうようにその少女は口を開く。

そして、気が付けば少女の手には漆黒の剣が握られていた。

その剣は刃の部分が欠けている部分があり、酷く不格好ながらも綺麗と言えた。


「黒羽…それが私の剣だ。

覚えておくといい…」


少女の言葉を聞きながらも俺は一切の警戒は解かない。

この状況で簡単に援軍は来ない…ならばこの少女は十中八九…敵だ。


「怖くも冷たい殺気だな…」


その評価はどんなに正しくても皮肉でも俺にとっては嬉しい。

俺は影であれ。

それをみに染みている俺にとっては褒め言葉だ。


「さて、始めるとしようか…」


瞬間、黒い茨が現れる。

いや、正確には違う。

これは…斬撃でできた残像…いや、残存…。

振るった衝撃を残している状態だ。

触れたら俺が切られる。


「それが…どうした?」


俺は剣を振るう。

鞘に収めた瞬間には黒い茨は綺麗に断ち切られていた。

そして、少女に向かって剣を振るう。

しかし、少女は動かない。


(諦めたのか…)


そんな思考が俺の油断を生んでいた。

いや、罠だと気付かなかった…それは平和な時代にたるんでいたのもあった…。

それでも、一番はその能力について知らないことが大きかった。


ガガガガガガ


俺の剣は弾かれる。

幾度にも渡る衝撃が剣に走る。

少女は何もしていない…いや、正確にはもうしていた。


「茨が質量を持つだけだと思っていたのかな?

それなら、見えない茨で君を捉えるさ…。

これは布石だよ…追撃の為のね…」


理解が追い付かない…それでも、自分の剣から一瞬だけ、別の技法が感じた…。


「第七の属性…」


それしか考えられない違っても危険であることは確かだ。


「さて、君はどれくらい耐えられるかな?

『六色七斬流』『追撃』の型『重ね切り』」


その言葉に俺驚愕する…それでも考えるのは後だ。

今は自分の全てをぶつけなくてはならない強者を見ること以外考えない。


俺は闇であり影である。


自らの力でねじ伏せる。


俺は動き出す…。


お互いの殺気が交差する。

剣を抜くのは同時だった。


******ユン******


魔獣たちの数は減り出して俺は暫しの休憩を取っていた。

どうやら、この地区がかなり余分なエネルギーが回っていたらしく、やけに上位個体が多かった。

しかし、それも減り出してみるみると弱い個体の集まりが沢山できていた。


しかし、こちらの殲滅速度の方が早く、こうして暇な時間が出来る始末である。


「後…十分で開始した方がいいか…」


俺は周りにある殺気を感じ取りながら考察していく…。


その瞬間だった。


その殺気は一つ残らず消えて、自分に突き刺さるのは一つの殺気だった。


「ユン、堂々と休憩か?

偉くなったものだな…」


その声には聞き覚えがあった。

それに対して俺は身体が硬直した。

恐怖ではない、驚きでもない…純粋に絶望だった。


何故なら、目の前にいるのは勇馬やシャルロットと並ぶ絶対的な強者である…。


「何で…」


俺は思わず呟く…勝てるわけが無い…そんな本能的な意思が無駄だと感じ…単純に行動を停止している中で俺は声を絞り出す。


「何であなたがいるんですか…明日美師匠…」


そして、目の前に現れたのは一人の若い少年だった。

俺の剣術の師にして、最強の固有能力を持つ男…明日美が俺の目の前に現れた。

次は勇馬ともう一つの視点だけにする予定です。

相変わらず不定期ですが、近いうちに更新できたらなと思っています。


すいません、ミスを修正しました。

本来『六賢者』のところを『七賢者』と書いていたのを修正しました。

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