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開戦

遅くなりました。

「結局、分かったことはこれだけか…」


俺は渡さられた資料を燃やして溜息を吐く。

それは桜霊樹の弓の資料だった。


結局、分かったことは少し前に作られた陰陽師に伝わる弓で…大体明治時代あたりからあったらしい。

所有者はその時に今の当主のあの婆さんを超える人間だったらしい。


その人間はおそらく戦争に巻き込まれて死んだという線が濃厚だと言われているくらいか…。


「仕方ないだろ制作者も不明。

その時代に転生した人間がいないから全然わからないんだよ」


「火鎚を責めてるつもりは無い。

ただ…謎だらけだなぁと」


俺達は配置に付き、様子を伺う。


「んじゃ、そろそろ開始するぞ。

最初の道は火鎚と皆帰が開けてくれ」


「「了解」」


この場には俺と皆帰と火鎚しかおらず、他は別の場所で待機している。

皆帰と火鎚はもし相手が防衛網を張っていた際にそれをぶっ壊す役割だ。


俺達はビルの屋上から飛び出し、軽く上空200メートルから見下ろす。

そして、敵の本拠地たる場所には少しずつ魔獣や霊鬼が生まれていく。


「タイミング的にはよかったみたいだな」


俺がそう言った時には二人は武器を取り出していた。

俺も見とれてる場合じゃ無いと思い俊王を取り出す。


皆帰が待っている武器は所謂、連接剣と呼ばれるものだ。


火鎚はオーソドックスなロングソードで中心部は凄い熱を持っているのか、眩しいくらい明るい色をしていた。



「んじゃ、俺からだ。

『炎天飛斬』」


直後、火鎚の周りに膨大な質量を持つ炎が包み込む。

一つ一つの火の粉で人間一人殺すくらい容易いだろう。

まぁ、俺達のようなある程度の技法能力者だったらこれくらいじゃ死なないかな?

体の耐性などが違うし…。


そして、剣を振り下ろすと共に炎は真っ直ぐに飛んでいく。


大量の霊鬼や魔獣が溶けて消える。


「やはり、耐性のある魔獣もいるよな…」


火鎚がそう言って皆帰に目配せをする。


「『六色七斬流』『五月雨』奥技【龍牙】」


瞬間、皆帰の連接剣が龍の形をかたどる。


「そして…雷を付与して…【雷龍】」


その龍は雷を放ち始め、魔獣達に向かう。

それは、魔獣達をいとも簡単に切り裂き、理不尽で無慈悲な死をもたらす。


そして、終わった頃には何もいなかった。


「俊王発動」


そのキーワードと共に四本の剣が俺の周りに回る。


「にしても、霊格なんていた覚えたんだ?」


「んー、少し霊格について調べてる時にな…」


皆帰がそういえばといった表情で言う。


「いいから早く行け、また湧き出てるぞ」


火鎚が呆れたような表情で俺に行くように促す。


俺は空中に障壁を張り、それを蹴る。

それにより、加速が行われて直下で相手の本拠地のど真ん中に落ちて行く。


その途中で俺を殺そうと飛びかかる魔獣達は全員俊王の四本の剣の餌食となる。

俺は入り口の前に降りて強行突破を図ろうとする。

しかし、目の前に突如として何十と及ぶ魔獣が生まれていた。


「邪魔だ。

一気に終わらせる」


『六色七斬流』原点『総重』の型【嵐撃】


俺を中心に竜巻が立ち上る。

次の剣の一振りにより、全ての魔獣達が消し飛ぶ。

そして、図らずとも入り口の破壊を行った。


「これは分からないわけだ」


入り口を見て俺は呟きを漏らす。

今まで俺はこの場所に巨大なエネルギの反応を感じ取ることができなかった。

しかし、この場所は地下に続いているのだ。


「さて、行くとしますか」


俺は下に降りて行く。


*******那奈*******


私は夜に少しでも異変が起きないかずっと見ていた。

そして、もう殆どの人が寝静まった頃だった。

それは起きた。


一つは真っ赤な紅蓮の炎が空から大地へと放たれる瞬間、そしてもう一つは雷と思われるプラズマ化した龍の突撃瞬間だった。


「あれは…技法」


私は走り出して場所の確認をしっかりと行う。

どうやら、大昔使われていてもう使われなくなった陰陽師の屋敷のようだ。

私は走り出してその場所に向かう。


そして、目の前のところで霊鬼…いや魔獣に阻まれる。


「邪魔をするな!」


私は無意識のうちに霊格と技法を利用してエネルギーの弓と矢を作る。

しかし、それは物質では無く、あくまでもエネルギー体である。


しかし、それでも私は矢をつがえて穿つ。

直後、魔獣の絶叫が響く。

魔獣はそれを最後と言わんばかりに砕け散る。


「勇馬はここにいるはず…」


私は魔獣を倒してしまった際にできた屋敷の穴を見て呟く。

どうやら、地下に行けるようでおそらく、勇馬も道は違えども地下に向かうはずだ。

私は一歩一歩、歩き出す。


*******皆帰*******


「行ったか…」


俺はポツリと呟く。


「行ったな」


火鎚はジッと勇馬の向かった先を見ながら呟く。

俺もだが、火鎚も勇馬に対する過保護感は大概だよな。


「とりあえず、やることはさっさとやるぞ」


「そうだな…」


俺の言葉にぼっとしながら火鎚は答えるが長年の付き合いから分かる。

決して油断とかそういった類のものではないことを知っている。

ただの心配だ。

でも、いつまでも心配してはいられないと思い直したのか、やれやれと頭を振り俺に一言を告げてから火鎚は自分の本来いる場所に向かう。


「さてと、待たせて悪かったな。

ここから先はパーティーだ!」


無数に生まれる魔獣を目の前にしてそう呟く。


*******雪菜*******


どうやら、無事に勇馬が潜入できたことだし、私は私の担当をしっかりとこなすことにする。

私は自分の剣『覇王』を取り出す。

私の能力はこの剣の名前に反して防御寄りである。

私にとって得意なのは障壁である。

たしかに近接戦闘は強いし、通常の攻撃系統は鍛えてきた。

でも、私の障壁からは逃れられない。


瞬間、魔獣達が障壁の中に囚われた。


「これは目印だよ…」


障壁の内部の中心から炎、氷、水、風、雷と発生し始める。

それは中に囚われた魔獣達を蹂躙する一撃。

逃げ場もなく、無駄にエネルギーを拡散され無い分、魔獣達は着実に数を減らしていく。


ガンッ


そうしている間にそんな音が鳴った。

それは障壁により魔獣の爪が弾かれた音だ。


「まだ、残ってたんだね」


私が後ろを向くとそこには一匹の魔獣がいた。

すぐさま剣を振り、魔獣の首を落とす。

これくらいなら出来て当然の芸当である。


私のところはまだ余裕がありそうかな…。

今はこれだけの力を取り戻したけど、今ならあいつに勝てるかな?


私はあの日のことを思い出す。

しかし、考えて数秒で首を振る。

今は魔獣を狩ることを考えなくてはならない。


*******火鎚*******


今現在、俺は高揚していた。

久々に暴れる…ただそれだけでは無い。

それはリーダーが前線に立ってくれている安心感である。

よって、俺はこの時より体現させる。

自分の炎を…自分の剣を…。


「イフリート…」


わざわざ剣の名前を呼ぶ必要は無いのだが、これらの剣は俺達が使ってる中で独自進化を遂げ、自分と似せた意識が生まれるのがざらにある。

無くても、共鳴を起こしやすくなる為、癖になっている。


ゴウッ


炎の嵐が周りを包み込む。

それは魔獣達を飲み込み、焼き尽くす。

炎が効かない奴は俺が直々に真っ二つに切り裂いていく。

その際の切り口は溶けており、今までに無いほど剣が高温になっているが分かる。


やはり、高揚は止められない。

さっきより激しくなっている。

それに呼応して剣が煌々と光りだす。

それは熱く、全てを炎に飲み込み始めていた。


「邪魔するなら全員……」


俺は一息入れて落ち着ける。


そうして、剣の温度を急速に下げる。

そして、再び構えて宣言する。


「殺す!」


瞬間、剣から炎が溢れ出てきて近づく魔獣を溶かしていく。

しかし、どこからかまた魔獣が湧き出てくる。


「これはやばいな。

これ以上はお前たち魔獣に生があると思うなよ」


ふと、それと同時に怒りがわきあがる。

でも、決着は勇馬がつけに行った。

俺が邪魔すわけにはいかない。


*******紗雪********


一陣の風が吹き荒れる。

返り血が私の頬にかかる。


「ふう、これで104匹目」


私は弓を構えて次を狙う。

さっきは油断して背後を取られたから弓ではなく風の刃を使って殺したが、私は近接戦闘ができるわけでは無い。

遠から中距離戦闘を最も得意としている。

今回のように知能が低い相手ならまだしもこのような乱戦はあまり得意としない。

私はサポート有で本来のスッペクを引き出すことができるのだ。

まぁ、サポートの方も贅沢を言えば近から中距離の使い手が望ましい。

そんなことを考えている場合ではなかった。


「【六色七斬流】原点【風河弓】の型【一矢渦撃】」


矢を携え弓を回す。

矢に弦が絡まる。

そして、弓を固定して矢を射る。

この場合、矢が回転して威力が高まるなんて安直な考えの結果、本来なら弦が絡まった分だけ矢の威力を殺してしまい飛ばない…なんて結果になる。

しかし、その結果にはならなかった。

矢は絶妙な回転が加わりまっすぐと飛ぶ。

そして、一体だけではなく、数体程大きな風穴が作られた。


「いくよ【風華の弓】」


私は相棒に呼びかける。

大きな風が吹き荒れる。

そして何もない弦を引く。


瞬間それぞれ離れたところにいた数体の魔獣が血を流して消える。


「やばっ、近くも警戒しないとな…」


また、私の頬に返り血がかかる。


*******雪夜*******


ドバンッ


水が噴き出す。

全てがその水により切り裂かれる。


「【水神の槍】」


そういうとともに俺の考えていることを察したのか、槍から五つの水が放たれる。

それは魔獣を貫いていく。


圧倒的な光景である。

続いて俺はやりを構えて苦衷で跳躍をする。

幸い、魔獣は生まれながらに浮遊する能力が備わっている。

故にいい練習台になる。

周りの様子を見る限り苦戦をしている奴はいない。

心配なのは勇馬だが今は心配するより勇馬の成功させるために極力魔獣を減らすことに集中する。


一振りで数体倒すために色々と試していく。


今の俺の集中力は普段に無いくらい高まっている。

少し前まで能力の行使と槍での近接戦闘の両立が出来なっかたのが嘘みたいに自由に行使できる。

前世の自分へ少しずつだが近づいていっているようだ。

しかし、まだ甘い。

俺は考える前世の自分を超えることを…。


*********利差*********


パンっ


と乾いた破裂音が響く。

実際に音が響いたのは約数メートルであろう。

私は銃を再び構えなおして第二射いや、第三、四射目を放つ。

それとともに再び乾いた破裂音が響く。

魔獣たちは直撃を受け一匹また一匹と氷漬けになる。


両手に持った二丁の銃は冷気を発していた。


「ここは私にとっていい立地…。

銃声をあまり気にせずに戦える…」


私は笑う。

銃を一つしまい、腰に下げていたサーベルを抜く。


次々と向かってくる魔獣を私は見据えた。


パンッパンッパンっ


銃声を轟かせながら私は舞う。

次第に雪が降り始める。

その雪に触れた魔獣が弱ければ氷漬けになり死ぬ。

近くの邪魔な魔獣はサーベルで切り裂き、遠くの魔獣は銃で撃ち殺す。

私は舞う…雪は赤く染まり…血濡れの姿を気にせずに舞い続ける。


「【氷の檻】」


赤色の雪はその場で静止する。

そして、魔獣がそれに当たった瞬間…。


ズシャァァァァッッ


静止した雪から無数の針が伸び、それに刺されて魔獣たちは絶命する。


「これは…檻じゃなくて処刑…」


私は自分のミスにため息をつく。

仕方なく私はそのまま武器を構えて再び氷の地獄を生み出しに行く。


「少し実験台になってもらう…【氷の世界】」


私からさっきとは比ではない冷気を発する。

もう役立たずは御免だ。


*******雪虎*******


「脆いな」


俺の周りにはすでに大量の肉片が飛び散っていた。

一振り…たったの一振りである。

この現状を作り出したのは…。

俺自身の強みは剣の強さでも特殊な能力でも何でもない。


ただ単純の強化による強さだ。


これは簡単に言えば体が壊れるラインを体を硬化することによって引き上げているのだ。

故に純粋な力が俺にはあった。

酷使すればする程、体は強く強靭へと変わる。

それは技法能力者にとって重要なこと。

無属性によって自分の治癒能力を引あげて血反吐を吐くまで誰もが純粋な筋力を鍛える。


しかし、俺は少し違った。


肉が切れればより個々の細胞を強靭に…骨が砕ければより硬く…。

求める先が違った…どんな動きにも耐える。

ただそれだけだ。


「硬く…硬く…強靭なバネを!」


タン


軽快な音で踏み込む。

しかし、それは高度一キロに及ぶ跳躍。

それは勇馬達とて何の準備もせずに容易に飛ぶ距離ではなかった。

落ちたら後々大変であるが決して硬化だけでは無事では済まないのである。

俺自身硬化しか使えない身である。

それでも俺は跳んだ。

 

「見つけた!」


そう叫ぶ。

その先には群がっている魔獣たちの姿がある。

剣を持ち直す。

俺の背と同じだけの大きさはある剣を振りかぶる。


「いくぞ!牙龍」


剣が脈打つ。


「脆く柔く緩く!」


その瞬間、空気の抵抗が少なくなる。

俺は周りの空気を単純に抵抗が弱くなるように柔らかくしただけだ。


そうして落ちていく様ははた目から見たら流星であろう。

地面に落ち、魔獣達とぶつかる数瞬前に周りの壁を耐えられるように硬化させる。

更に中は少し柔らかくして衝撃吸収と防音できるようにする。


ズドンッ


直撃した魔獣からそうではない魔獣まで等しく肉片と化し飛び散る。

とてつもない衝撃が辺りを包む。


「やはり脆いな…」


そう言って俺は次に行く。


*******刃月********


新月の夜は影が大きい。

暗い暗い場所でいつも通り布を巻いて外に出ていた。

やはり、この体質は不便だ。

しかし、街灯も何も光のないこの空間でならその邪魔なものを取り外せる。


瞬間、魔獣が襲いくる。


しかし、その牙は届くことはなかった。

魔獣の体には無数の斬られ跡があった。

そこから血を出して魔獣は倒れる。


「【残撃】」


布を少し巻いたままで呟く。

布からはみ出ているのは綺麗な銀色の髪だった。

神秘的にまで肌は白く…特徴的な青い目は光っていた。


因みに魔獣を倒したのはその場に残っていた斬撃の残滓である。

要するにその場の衝撃を残していたのである。


俺は剣を取り出す。

その瞬間、先程まで悠長に様子見をしていた魔獣たちが何かを感じたのか飛びかかってくる。


「常闇…」


瞬間、剣の刀身が消える。


「幻想百鬼」


切り裂かれる…。

俺の体が分離するのを見ていた(・・・・)


「幻覚だ」


瞬間、切り裂かれた俺は消えた。

そして目の前にまた俺が現れる。

いや、後ろに…いや、右に…いや、左に…いや、上に…いや、下に…。


「終わりだ」


全ての俺が同時に動く…そして、消える。

そして、本物は魔獣たちのど真ん中に現れる。


流れるような動作で俺は剣を鞘に納める。

その瞬間、魔獣たちは無数の斬られ跡ができ絶命する。

そして、再び俺は闇の中に消える。


******ユン*********


自分自身、実力不足だと思う。

僕は他の人たちとは違い特殊な能力などの強みがまだない。

自分自身の強みと言ったら二本の剣を同時に扱っていることくらいだろう。

これ自身もとある人に教えてもらったに過ぎなかった。

それでも僕が勇馬達と肩を並べられるのは純粋な剣術の強さであろう。


スパンっ


と軽快に次々と僕は魔獣を切り殺していく。

固いのがいれば柔らかい箇所から順次切っては殺し、遠距離からブレスを放ってくるのならば弾き返して自爆させる。


自分の剣【双宝剣】はそれに応えてくれる。


「少し歯ごたえのありそうなのがいるな」


そうして切り裂いていく中で一匹の強力な魔獣が目に映る。


カンッ


剣はいとも簡単に弾かれる。

自分は何故か無属性技法しか使えない。

故に次に移る行動は簡単だ。

技法による肉体補助による身体能力強化である。


カンッ


しかし、それもいとも容易く弾かれる。

そして、よくよく見るとこの魔獣は技法を使っているようで能力強化を行っているようだ。


「なるほどな、僕には相性が悪いな…。

でもそれでどうした?

【バースト】」


僕は自分の固有能力の【バースト】の使用をする。

これは任意のエネルギーを爆発的に消費させ、通常ではありえない程の強化を施す。


ズパンッ


一瞬で切り裂く。


「【バースト】終了」


そう宣言するとともに僕は通常の魔獣狩りに戻った。

まだ、始まったばかりだ。

無駄な消費は抑えたい。

今回は思った以上に悩まされました。


読んで頂きありがとうございます。

面白いと思って頂けたなら幸いです。


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