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真相

「何をしてるの?」


少女が不思議そうに俺の手元を見る。


「あー、そろそろ長い付き合いにもなってきている訳だし、プレゼントをと思ってな…」


俺がそう言うと少女は顔を少し赤くする。


「え、あ、な何をくれるのかな?」


少し動揺したような口調で少女は尋ねてくる。


「まぁ、いつまでもこんな薙刀とか刀じゃ戦いにくいだろ?」


その発言に少女はこれ以上になくがっかりした雰囲気と嬉しいような喜べないような微妙な表情をしていた。


「それと…ん?どうした」


「いや、何も…」


「そっか、んじゃほら」


そう言って俺は少女に桜色のリボンを渡す。


「え?」


「さっき、行商人から買ってな、意外と良い色してるだろ?」


「う、うん!」


その言葉と同時に少女はは今までにない程の笑顔を咲かせたのだった。


*************


キンコンカンコン


今日も放課後になり、俺は清々しい気分で昇降口を出る。


「そういえば、皆帰は最近忙しそうだけど何かあるのか?」


「んー、俺は少し火鎚に仕事を任されてな…とりあえず、今日のところは忙しいな」


皆帰はそう言って苦笑いをする。

俺としても今日も奈那と調べごとなどをしているので忙しい。

今日は久々に本家の方で調べごとをする予定だ。


「勇馬も忙しいんだろう?

俺達のことはあまり気にしなくて良いよ。

必要とあらば言ってくれれば俺達としても嬉しいからよ」


皆帰はそう言って笑う。

俺は本当にいい仲間を持ったと思う。

まぁ、何にしても出来るだけ早く事を終わらせておきたいな。


「んじゃ、買い出しに行ってから帰るから」


俺はそう言って皆帰別れた。


*************


無事、買い出しと着替えを済ませて俺は奈那との待ち合わせ場所で待っていた。


「ごめん、遅れた」


「いや、そんなに待っていないし大丈夫だ。

んじゃ、ささっと仕事を済ませるか」


俺がそう言うと奈那は頷き俺達は歩き出す。

因みに奈那の服装はいつも通り巫女服みたいなのである。

俺の方は動きやすい私服程度の服だ。


あれから、特別な許可が降りてわざわざ変装しなくても入れるようになったのは嬉しい事だ。


中に入り、まずは『桜霊樹の弓』が置かれていた台座を見に行く。


「ここです。

…本当に無くなってます」


奈那について入ると息を飲む音が聞こえる。

どうやら、奈那にとってはショックらしい。


始めて少ししか経っていないが、確かに大きな霊格の残滓が感じる。


「…これは」


「どうしたの?」


「いや、なんでも…」


とんでもない事実を見つけた。

おそらく、これは陰陽師・・・という枠組みだけで済む問題じゃなくなる。

しかし、これは言っていいのか分からない。


「因みに聞くがここに入れるのは?」


「それは、私とかのトップの陰陽師とかくらいだけど…」


「そうか…」


となると偶然か?

いや、これは偶然ではない。

これは意図的に…。

なら、そのトップクラスとやらが盗みに入らせた…。

それこそ無茶苦茶だ。

それなら自分で盗みに行く筈。

それにこれは定期的に来ていた跡でもある…。


「なら、その中で定期的に入れる人間って誰だ?」


「それなら、えっとお祖母様か次期当主候補の朱嶺様くらい…」


「なら、そいつは本当に陰陽師なのか?」


「そりゃ、当然陰陽師でしょ?」


奈那が俺の問答に不思議そうに首を傾げる。

それも当然だろう。

これは次期当主である筈の男を疑っているのだから。

動機などある筈もない男が事を起こした可能性など無いに近い。

しかし、何かに刺激されて事を運んだ可能性は無いとは言い切れない。


「要するに勇君は朱嶺様が犯人だと予想しているの?」


俺はその質問に対してゆっくりと頷く。


「ここに技法の気配がある。

おまけに定期的に何かをしていた気配がな…」


奈那はそれを聞いて目を閉じて集中をする。


「本当だ。

これは確かに霊格じゃなくて技法の残滓…。

とうことは犯人は技法使い?」


「またはそれの関係者で教えてもらったばかりのひよっこだ」


そう、これは侵入者または裏切り者がいる事を指している。


「でも、それだけじゃ朱嶺様だとは…」


「この跡は定期的に入って付いたものだ。

おまけに一週間に一度くらいの頻度でな…」


「そこまでわかるの?」


「熟練すれば嫌でもわかる…まぁ環境もあるけどな」


その答えに奈那は申し訳なく感じたのか少し黙ってしまった。


「とりあえず、気をつけろ。

次期当主候補が裏切りだとすればそれに付いている奴も少なくはない筈だ」


その言葉の真意を理解したのか奈那はゆっくりと頷く。

俺が言いたかったことはこの事を簡単に口外すれば狙われるという事だ。

例え味方に話したとしてもそこから漏れる可能性は大いにある。


「とりあえず、婆さんに報告しに行くか」


「婆さん…そ、そうですねお祖母様に報告しに行きましょう」


俺の婆さん呼びに奈那は驚いた表情をしながらも必死に取り繕い俺の案に乗る。


そう言って俺達は婆さんに報告しに行く。


「なるほどねぇ。

朱嶺の坊やかい」


「確かにそう考えると辻褄の合う部分がある」


話したところ納得したような表情で頷いていた。


「辻褄?」


ニミの言葉に気になり俺は思わず反応する。


「そうじゃ、朱嶺が最近取り返しに行くと言って居なくてな、それと同時に他の陰陽師に不穏な動きが見られていたのじゃ」


なるほどなぁ、要するに取り返すには朱嶺というやつの潜伏先を探さなくちゃいけないのか…。


「ニミ、警戒はしっかりとしていたか?」


「まぁ、してると言ったらしているぞ」


「分かった。

とりあえず、俺は今日のところは帰るな」


俺はそう言って早歩きで部屋を出て少し離れた人気のない場所にまで歩く。


「出てこいよ。

さっきからずっと聞いてたんだろ?」


俺がそう言うと何人かの男が出てくる。


「ほう、気付いたか…ただの小童ではなさそうだな」


一人の男が代表して言葉を放つ。

なるほど、やはり技法を使っている。

陰陽師との相手ばかりだったニミが気付かないのも頷ける。


「悪いが君にはここで死んでもらう」


そう言って部下らしき男が前に出てきて火を起こす。

どうやら技法のようだ。


「へぇ」


俺が笑うと共に技法を発動させた男の首が落ちる。


「っっ、何が…」


俺は既に俊王を取り出しており一つの技を放っていた。


「『六色七斬流』『近衛』の型『飛斬』だ。

そう驚くな。

すこし聞きたいことがあるんだ」


相手は一応危機感地能力があるようで逃走を試みる。


「逃げられると思ってんのか?」


俺はゆっくり・・・・と歩き出す。


******奈那*******


「勇君、どうしたんだろう?」


勇君が部屋を出てから数分後、私はポツリと呟く。


「…もしや、すいませぬ。

どうやらわたくしが原因のようじゃ」


ニミが突如として慌てた様子で謝り出す。


「待って、どういうことなの?」


私が何が何だかわからずに聞く。


「今の話を聞いた時からすぐに警戒を霊格使いだけじゃなくて技法使いの方に変えるべきだったのじゃ。

要するに私の話はダダ漏れだったのじゃ」


それを聞いた瞬間私は部屋を出ようとする。


「奈那や、どこに行くのかね?」


「お祖母様、彼を助けに…」


「そうだねぇ、ニミから見てどうだい」


「分かりませぬ。

私から考えたら危険かと…」


「そうかい、なら行っておいで」


お祖母様はそう言って快く見送ってくれた。


「急がないと…とりあえず近くで戦闘が行われていそうな場所…」


周りは森である。

どこで戦闘が行われていても不思議は無い。

私は霊格でサーチをかける。

最大距離100メートルまで届き戦闘をしているなら霊格は剥き出しになっていてすぐに分かるはずだ。


少し走り回りながらサーチをかけ続ける。


「見つけた…」


私はそう言ってその場所まで全力疾走をする。





「そうか…」


「ああ、そうなんだ。

教えたんだから逃がしてくれる…よ…な」


私がたどり着いた時に見た光景はそれだった。

陰陽師と思われる男の首が勇馬の手により跳ね飛び、絶命させた。


「…ゆう…くん」


私はその光景に声が上手く出なかった。


「奈那か…」


「どうして…」


「どうしてって、必要とあらば俺は殺しだって厭わない」


私は首を振る。

違う、私の言いたいことはそんなことじゃない。

もっと別の…。


「それを許容できないなら…」


そんな私の思考も気にせずに勇馬は言葉を続ける。


「お別れだ、寺等院」


そう言って、勇馬は私の横を通り抜けて行く。

でも、そんなことはどうでも良かった。

頭が真っ白になって何も考えられなかった。

寺等院…そう、彼は私と距離を作るために言った言葉…。

それがどうしよもなく辛かった。

私は知っている。

そうだ、だって私はあの表情を知っている。

だから、もう一度問いたい。


ーなんで、そんなに悲しい顔をしているの?ー


私がさっきまで勇馬に思っていたことだった。


*************


ある国の教会で二人の少女が目を瞑りお祈りをしていた。

そうして、お祈りが終わり立ち上がった時だった。


「やっと見つけた」


二人の中学生くらいの男女が少女達に向けて言葉を放つ。


「あなたは…空と悠乃?」


少女の一人が少年と少女を見て呟いた。

二人は頷き少女達を見る。


「にしても、宗教なんて何で?」


悠乃の呟きに二人は顔を赤くする。


「仕方ないじゃないですか。

親との縁を切る前にここの問題を解決しないといけないのと…」


もう一人の少女の呟きにほうと頷く二人。


プルルルルル


と突如鳴る着信音が四人の空間を壊した。


空は少し頭を下げ、電話に出る。


「もしもし、火鎚?

どうしたの?

…ん、そっかなら近くにいい人が」


空はそう言って少女達に携帯を渡す。


「何で私が…。

もしもし…えっとそれって。

はい、霊鬼ってあれじゃないですか?

…あ、はいでは」


そう言って少女は携帯を空に渡す。


「一体何なんですか?」


「さぁ?」


残された二人の声はやけに教会内に響くのだった。

ここにきて勇馬と奈那の間に亀裂が…。


読んで頂きありがとうございます!

おもしろいと思って頂けたなら幸いです!

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