事件発生
この話にもとうとうとポイントが…。
評価してくださりありがとうございます。
最近、よく夢を見る。
懐かしいような夢を…。
しかし、それは忘れてしまう遠い遠い記憶…。
でも、それを俺は知るべきなのかもしれない…。
今日も一つ、俺は夢を見る。
*************
「ねぇ、探し物って何?」
いつもの神社で少女は呟く。
「うん?
仲間だな…」
「そういえば、前にも言ってたね。
えっと…固有能力『転生の輪』だっけ?」
「最早、固有能力というより概念みたいな感じだけどな…」
俺達二人はこうしていつもと変わらない話を続ける。
「そういえば…ね。
こんなのを見つけたんだ」
少女は一つの本を俺に見せる。
「えっと…この文字は見たことないな…」
でも、不思議と読める…。
それは…。
*************
俺は目を覚ます。
霊格を使った日から少し経ち、今日は休みの日となっている。
「ここは…」
今日の夢は何となくだが覚えている。
しかし、曖昧な部分が多くてまだ分からない。
俺は立ち上がり、寝ぼけた頭を切り替える。
そこでふと、本を思い出す。
昔、何か集めないといけないと思った本があったような…。
「チッ」
らしくもなく俺は舌打ちをして部屋を出る。
「おはよう紗雪」
起きてリビングを見ると紗雪がいた。
「おはよう。
また、難しい顔して…ダメだよ。
勇馬の場合、みんなが心配するんだから」
「すまん」
「謝んなくていいよ。
今日は追い出すわけじゃないから…。
あの日の場合はそうするのが一番なような気がしただけだから」
「ああ、分かった」
「うん」
紗雪は頷いて、朝飯を用意していく。
そうして、一人一人起きていき朝飯をそれぞれ食べていく。
俺は時折時間を気にしながら皆帰達とゲームする。
「そういえば、勇馬…最近何かやってるだろ?」
火鎚がそういえばと呟く。
「ちょっとしたことな…」
俺が言葉を濁すと、火鎚はニヤリと笑う。
これは、危険信号だ。
「んじゃ、少し付き合わせろ。
今日も行くんだろ?」
「…分かった」
俺はこのままだと無理矢理にでも付いていきそうだから渋々と了承の意を見せた。
「よし、準備するとしますか」
俺は溜息を吐き、折角なので全員に話すことにした。
「陰陽師ねぇ、いることは知っていたが…」
皆帰が少し疑いながら呟く。
「なるほど霊格…でも、使えたとしても使い方が…」
雪菜もやけに食いついて考える。
「だが、あいつはそれだけじゃないだろ?
何せあいつの技法回路はしっかりしているからな」
途中から聞いていたジャックが悩みながら呟く。
「それに関しては分からない」
俺はそれに答えると「まぁいいか」と言って話を流す。
「なるほどな、妖怪の類…でも、それは本来…」
火鎚が何か気になることを呟いた。
「本来ってお前何か知ってるのか?」
「いや、いい。
俺の間違いかもしれない」
「そうか…」
俺とこいつらとで必ずしも同じ記憶を持っているとは限らない。
それ故に俺が知らないことも知ってる可能性があるのだ。
「とりあえず、時間だし俺は出る」
「俺はついて行くけど、お前達は色々と準備をした方がいいかもしれない」
火鎚はそう言って俺に付いてくる。
*************
「よう、奈那」
「勇君、こんにちは。
そちらは華城 火鎚君だっけ?」
「知ってるのか、火鎚でいいぞ」
「うん、分かった」
そう言った挨拶を俺たちは交わす。
待ち合わせ場所となったのは俺と奈那が出会った神社だった。
因みに火鎚というのは本人が知らないだけでかなりの有名人だったりもする。
かっこよくて、謎に包まれている。
出会った女子生徒の大半が恋に落ちるらしい。
そして、男子内ではどんな不良も暴走族も彼の名の下に締められ、王者に君臨する。
喧嘩王、雪虎を従えて、この町で日夜喧嘩しているという噂が…。
まぁ、その大半が事実が入ってるんだけどね。
高校生の不良に絡まれて一発でノシたり、暴走族達をちょっと痛い目に合わせてくれという小遣い稼ぎの依頼が来て、バイクごと暴走族の面子を殴ったりと色々とやっている。
雪虎とはよく訓練と言っていい場所を見つけて模擬戦をやっている。
「はぁ、こいつの場合は元からのスペックの高さも異常なんだけどな…」
俺は誰にも聞こえないように呟くのだった。
「とりあえず、今から私の家に来て」
奈那はそう言って俺達を先導する。
そうして家まで歩いて行く。
「ただいま」
奈那がそう言って家の中に入っていく。
家は思っていたより大きくなく、和風で少し古式な感じな家だった。
俺たちはそっと中に入り「お邪魔します」と言う。
「どうやら家の人がいないみたい」
奈那はそう呟き階段のところで手招きをする。
俺たちは奈那に付いていき、階段を上る。
そして、一つの部屋の中に入る。
「はい、これに二人は着替えて、私は隣の自分の部屋で着替えるから」
そうして渡されたのは着物だった。
服的に神主が着そうな古風な…。
奈那は出ていき、俺達二人は顔を見合わせた後、着替える。
そうして着替え終え、奈那と廊下のところで合流する。
「二人とも意外と似合うね」
奈那はそう言って俺たち二人をマジマジと見る。
そういう奈那はというと巫女服を着ており、前とちょっと違った印象を受ける。
「お前もかなり可愛いな」
「ありがとう、火鎚君」
火鎚はそう言って褒めて、奈那は決して照れた様子も無く素直にお礼を言う。
そこで俺が何も言わなかったら空気読めないな。
「前着ていた着物もいいが、こっちの方が合ってるな」
「勇君にそう褒められると本当に褒めてるみたいだね」
「まるで俺がお前を貶しているみたいな言い方はやめろ」
「ふふっ、冗談だよ」
それを聞いて俺はほんの少し苦い表情をしてしまった。
それから俺達は奈那に連れられて一つ屋敷に向かうことになった。
都心から離れており誰も知らないような山奥に建つ和風の屋敷が今目の前にある。
「ここは伝統的に陰陽師達が集まる場所なの。
実際にここに住んでいるのは今の陰陽師を取り仕切るトップと言われるお祖母様と次期候補の朱嶺様とトップクラスの実力者くらいかな?」
「と言うことは、奈那は暮らさないのか?
お前自身もトップクラスなんだろ?」
「実は余程の功績などがない限り女をトップは任せられないと言われてできないんですよね。
まぁ、ここに住むとしてももうしばらくはごめんかな?
学校から遠いし」
「なるほどなぁ」
俺の質問に答えてくれる。
その答えそのものは時代錯誤のように聞こえるが、別に今の世の中ない訳ではない。
会社だって未だにそんな考えの人がいるのだから…。
「ていうか、俺達が入っても大丈夫なのか?」
火鎚が何かを考え込みながら呟く。
それに関しては俺も思っていたところだ。
「普通はダメだけど、勇君は霊格が使えるからともかく、火鎚君もぱっと見霊格が使えるように見えるからね」
「なるほど、陰陽師は霊格での判断というわけか…。
俺達が技法能力が使えるかで見るのと同じか…」
火鎚が納得したように言ってるが、俺の場合記憶が曖昧すぎてそんなこと言われても…という感じなのだが…。
そうして、奥に入っていくがふと俺は気付いたことがあった。
「なぁ、奈那。
何でみんな巫女服じゃないんだ?」
俺達が歩いていく広場の中で大量の人が話したりしており、その中の女性が誰一人として巫女服じゃなかった。
「ああ、それは…。
私の階級というか強さを表してるんです。
私が今のところお祖母様を除いた女性の中で一番強いので…」
「なるほど、要するにこの服は寺等院の強さと立場を示しているのか」
火鎚が納得いったように呟くと再び思考を始める。
なんだかんだ言って、俺たちの中で一番頭が良いんだよな…。
でも、殆ど住んでいる人がいないと言う割には人がいるな…。
そうして、歩いていき一つの扉の前で俺達は止まっていた。
「ここがお祖母様がいる部屋です。
大抵の人はここには来ないで前の広場で自慢や世間話をしています」
「だから人が殆ど住んでいないと言う割に沢山いたのか」
やっと、人の多さがわかり少しホッとした。
そうしている間に奈那が扉を開ける。
「失礼します。
寺等院 奈那です」
奈那がそう言うと共に開いたの中身が見える。
そこにいたのは一人の少女だった。
「よく来たな。
其奴等が主の言っていた少年か?
二人なのは追及せぬ」
「耳が痛いですね」
少女の言葉に少し苦い表情をする奈那だが、すぐに取り直して俺達を見る。
「紹介するけど、この子はお祖母様じゃなくてその使い魔?的な存在のニミよ。
こう見えてもお祖母様よりも何千倍も生きてるそうよ」
「ありがとう。
俺は北条 勇馬だ」
「…」
俺が自己紹介をするが火鎚は黙りこけたままで目を瞑っていた。
「どうした?」
「あ、すまない。
何でもない。
俺は華城 火鎚だ」
俺達が自己紹介を終えるとニミはニッコリと笑う。
「このまま、案内するがの。
ちょいと聞きたいことがあるのじゃ」
「なんだ?」
「主等、天界を知っておるか?」
「てんかい?」
「天の世界と書いて天界じゃ。
知らぬなら良い。
私とてそこに行きたい訳ではないからのう」
そう言って付いて来いと合図を送りニミは歩き出す。
一体、何の話なんだ?
「なぁ、火鎚。
天界を…」
その時、俺は黙ってしまった。
あまりにも違ったから。
知らなかった。
いや、避けて来たのだ。
記憶が分からない俺にとって今火鎚が出している濃密な殺気がとても恐ろしい物に思えたのだから…。
「…どうした?」
少し遅れて返事をする火鎚だが今の俺の状態を察して。
申し訳なさそうにそっぽを向いた。
そうして、俺達はお祖母様と呼ばれる人のところまで行く。
「やぁ、よく来たねぇ。
奈那や今はどういう状況できたのかね?」
すると、そこには最早威厳があるとも言えるほど歳を感じられる年寄りのお婆ちゃんがいた。
「今回は、桜霊樹の弓について聞きたいと思い来ました」
「そうかい、ならちょうどよかったわい。
そこのお二人にも丁度聞いて欲しかった内容じゃわい。
『火連の火鎚』と唄われる少年とそのリーダーがいるのだからね…」
『火連の火鎚』?
それは確か…火鎚の二つ名だった筈。
「どこでそれを…」
「風の噂としか…。
それ以外に言うなら、ニミに聞かないと分からないもんさ」
「なるほど、納得した。
俺たちの事情を知ってるて言うことでいいのか?」
火鎚がそう言うとお婆さんは頷く。
「なら、俺は用はない。
まさかの予想通りより遥かに上回る大物ようだからな」
「ちよっと、火鎚」
「ああ、すまん。
勇馬、ちょっとしなくてはいけないことを思い出した」
そう言って火鎚は去って行った。
「主はどうするのかい?」
「とりあえず俺は聞いてほしい内容を知りたいです」
「ほう」
お婆さんは感心したような目で俺を見た後、奈那の方を向く。
何が言いたいのか分かったのか奈那は頷く。
「要件というのは、簡単に言えば…桜霊樹の弓が盗まれたのじゃ。
約一月程前にの」
「え?」
「それって、あんたが安定させる為に術を刻んだという弓だったよな?
大丈夫なのか?」
「いや、大丈夫じゃないのだが…今のところはそれの効力を失っておらん。
盗んだ目的がわからぬ以上、下手に動くことも出来ん。
更に言ってしまえば下手に広まって大事になってしまっても困るからのう」
「ということは、俺達にそれの調査を頼みたいということか?」
「話が早くて助かる。
もし、成功したのならお主に最大限の手助けをしようと思っている」
そう言ってお婆さんは話すことなどもうないと言うように後ろを向く。
そして、そこには話に置いてきぼりにされた奈那が慌てふためく以外は静寂が包んでいた。
*************
「悪かったな。
お前の用事である筈なのに話をポンポン進めちまって」
「いや、いいよ。
話がスムーズにいったから」
帰り道の中、俺は奈那に謝っていた。
実際、勝手に話を進めたのは火鎚と俺だったのだ。
「いや、それでもな…」
「そんなに言うなら…技法能力というのを教えてよ」
奈那はそう言って俺を見てくる。
「あぁ、分かった。
今度学校でな…」
そう言って、今日のところは奈那と別れたのだった。
また謎多き人物が…。
いや、そういう人物を入れる予定だったけど…。
読んで頂きありがとうございます。
面白いと思って頂けたなら幸いです。




