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授業

今回はいつもより短くなってます。

最初の頃と同じなのに短く感じる…

「なぁ、お前ってここでいつも何してんだ?」


 俺は少女に問いかける。

 その言葉を聞き少女は苦笑いをする。


「そういうあなたもよ。

 まぁ、私は使命だからここにきてるだけ…」


 少女の表情は何処か寂しそうだった。

 俺は気まずくなり、自分のここにきた理由を言うことにした。


「ここって見晴らしがいいだろ?」


「たしかにいいね。

 でも、そんな理由で来るの?」


 俺は首を振る。


「探し物だ。

 とっても大切な探し物…。」


「なんか、ごめん。」


「いや、いいよ。

 あったらいいな程度だし。」


 俺がそう言うと少女はホッとしたような顔になる。

 さっきの寂しそうな表情はそこにはもう無かった。

 俺は自然と少女を大切におもう気持が生まれていた。

 だからだろうか、少女に自分のことを話すようになったのは…。


 ************


 これは夢だなと俺は確信した瞬間にその夢は途切れた。

 その瞬間には俺は内容を忘れて複雑な感情だけが残る。


「…う……ほう……じょう…!」


 誰かの叫び声が聞こえる。

 かなり怒鳴っているようだ。

 誰か何かしたのだろうか?

 馬鹿だな…。


「北条!起きろ!」


 直後、ゴンッと頭に衝撃が走る。

 俺はそんな鈍い音と伴った衝撃により起きる。


「えっと、おはようございます熊岡先生。」


「…ちゃんと起きてろよ。」


 今は国語の時間で熊岡先生が担当だ。

 しかし、熊岡先生の右手に持っている分厚い辞書は気になるな(勇馬を殴った鈍器)。

 俺は体を起こして周りを見る。

 火鎚はいつものごとくいない。

 あいつは学校の授業が興味無いといつもどこか行くのだ。

 そのせいもあって、もう既に特定の教師から目の敵にされている。

 他二人はしっかりとノートを取っており、偉いなと感心する。

 そうしていくうちに授業は終わっていき、昼休みに入った。


 ギィー


 と重い音を響かせながら屋上のドアが開く。

 少し難しいが奈那の言った通りコツがあるらしい。


「勇君、こんにちは。」


「よう、来たぞ。」


 入ってすぐにお弁当を食べている奈那がいた。

 俺は軽く挨拶してからすぐ近くに座り、奈那が食べ終えるのを待つ。




 そして、奈那がお弁当を食べ終え俺達は向かい合って立っていた。

 俺は奈那から霊格などの話を聞いた昨日に霊格の使い方を教えてもらう約束を奈那としていたのである。

 しかし、放課後にやるとしても異常事態の調査を優先したい為、このように昼休みなどに教えてもらうことにしたのだ。


「これから、霊格について教えるね。

 と、その前に勇君に質問。」


 奈那が話し出す。

 それを聞いてどんな質問が来るか少し身構える。


「勇君は霊格以外の力を使えるね?」


「あぁ、そうだがなんで?」


「ある程度霊格を使える人なら分かるよ。

 あと、その力のせいで少しでも流れ出ている筈の霊格が勇君から出ていないからね。

 別の力とは分からなくても警戒はするよ」


 俺は納得する。

 あまり気にしたことが無かったが、技法の安定のために無駄な力を抑え込む訓練でおそらく知らず知らずのうちに霊格まで抑えていたのだろう。

 しかし、迂闊だった。

 まさか、そんな感知のされ方があるとは思わなかった。

 技法は使えない人の場合、体から自然と放出されるものでは無いから油断していた。


「てことは、今収めている霊格とやらを把握すればいいんだな。」


「そうなるね。

 普通は他人の霊格を当てて少しずつ感じて使えるようにするのだけど、勇君の場合はそれが一番かな?」


「んじゃ、威圧として思いっきり霊格を俺に当ててくれ。」


 その一言で理解したのか奈那は俺に強力な霊格を放つ。


「…ありがとう…」


 俺はお礼を言う。

 しかし、その言葉が届いたのかは分からない。

 思った以上に霊格を当てられることが辛かったのだ。

 故に俺の声は自然と絞り出すような声になり、ひたすら霊格を放出するのに集中している奈那に届いたのか分からなかったのだ。


 とりあえず、霊格を感じ取ることだけに意識を持っていく。

 普通の人の場合、おそらくこれほどの霊格は必要ないのだろう。

 俺の場合は技法を使えるという点があるため、おそらく見つけにくいのだろう。

 それでも、当てられて分かったけど霊格は思った以上に規格外な力だ。

 威圧慣れなどをしていない人間にほんの少しでも当てれば廃人コースまたは死に至る。

 それだけ危険な力なのだ。

 性質上は技法と類似してる部分は多いが根本的な部分が違う。

 技法自体はエネルギーというイメージが強いが、霊格はその名を示す通り、人間の格を利用しているように感じる。

 そして二つの最大の違いは作用の仕方である。

 霊格というのは魂に作用するのである。

 傷つけるのは肉体では無く、霊体、要するに魂または精神にダメージを与えるのである。


 俺はある程度の解析を終えて、ゆっくりと似た性質の力を探り当てる。

 ゆっくりと力を引き出す。

 すると、霊格は簡単に放出される。

 しかし、霧散はされずに俺の半径8メートルで留まる。


「すごい…」


 不意に奈那からくる霊格が弱まる。

 いや、消えた。

 どうやら、俺の霊格の放出と伴って止めたようだ。

 今までとは違う感覚になかなか慣れない。

 霊格には重みが無く、纏っているまたは放出しているというイメージが湧かないのだ。

 どちらかというと、霊格のある範囲が隔絶された世界のような感覚に陥る。

 しかし、自然体で今の状態を維持できるので俺は一度奈那の方を向く。


「それで、これからどうすれば?」


 ここからが全く分からない。

 状態も悪く無く、ただ漏れている感じも無い。

 まるで霊格のある範囲が自分の一部のような感覚がある。


「これで終わりですよ。

 今の状態が勇君の魂の強さであり大きさなんだよ」


 俺は首をかしげる。

 意味が分からない。

 魂の強さであり、大きさと言われてもピンとこない。


「ごめん、言い方が悪かった。

 今、勇君の霊格は8メートルあるでしょ?

 それが勇君の力の大きさ、あえて言うなら勇君の支配範囲なの」


 俺はそう言われて考える。

 昨日あの後も少しだけ霊格を使った技術を見せてもらったが、『六色七斬流』と似ていた。

 外の力を利用しているのだ。

 決定的に違うところは外の力を集めるか否かだった。

『六色七斬流』は自然にある外の力を利用してつかうのだが、霊格は外の力を支配下に置き集めてつかう。

 効率的は圧倒的に霊格の方が高い。

 最後に霊格にはもう一つの使い方がある。

 素の状態による直接攻撃である。

 それは先程の考察の通り魂への直接攻撃である。

 更に少し分かったことだが、霊格とは生物や物の存在そのものである。

 要するに霊格が無い人間などいや、生物など存在しないのだ。

 それは霊体の妖怪にも言えることだ。

 なら、疑問が残る。


「奈那、何で妖怪になるんだ?

 霊は霊格の塊じゃないのか?」


「いいところに気がつくね。

 たしかに昨日の説明じゃ説明不足な点があるんだよね。

 まず、霊格というのは人の身より上の存在になることを前提条件としてるのだけど、それと同時に霊格は人の意思や感情に左右されやすい能力なんだ。

 霊などの存在は外の力にも影響されやすいの…。

 その感情の動きにより、魂の進化または昇華を促すのが霊格というものなの。

 そして、妖怪の元になっているのは霊が持つ元からの感情だけじゃ足りないの、生きている人間が無意識のうちに拡散してしまった感情の篭った霊格を取り込んで妖怪になるの…。

 稀に周りの霊格を一切取り込まずになるものもあるけど、どれも強くて滅多に発生しないの。

 これらの理由が妖怪が生まれる理由ね。

 故に【桜霊樹の弓】が吸収しているのは人から発散された何の支配下もない霊格なんだ。」


 なるほど、通りで常日頃から見るわけではないのか…。

 それだけのものを計算しても1日に生活圏内に一体発生するかしないかくらいの頻度になると思われる。


「それでも、霊格は普通自分の周りに止まっているのではないのか?」


 今の俺のようにしっかりと自分の場所と言わんばかりに放出された霊格を思い出す。


「それは簡単だよ。

 一般人が放っている霊格は私や勇君のようにしっかりとしたものではないの。

 霊格というのは訓練してないとそれの対策や維持などがほぼ全く無くてすぐに自分の元から離れる霊格が多いんだよね」


「なるほどな」


 たしかに、俺は軽々とやったがかなりの難度の能力であることは使えるようになった今でもわかる。

 使いこなせれば応用幅が広いが、やはり技法の方が俺の中では扱いやすそうだ。


 キンコンカンコン


 予鈴が聞こえてきた、俺と奈那は顔を見合わせて教室に向かって走り出した。


 ******奈那視点******


 授業中、私は溜息を吐いてしまう。

 ある程度は予測出来ていたとはいえでも、勇君が霊格を簡単におまけにかなりの力を使ったのだから…。

 いや、私の方がまだ能力は高い。

 しかし、私は知りたかったのだ。

 勇君の使う本来の力を…。


「はぁ、勇君が帰ってきてくれたのは嬉しいけど…。

 まさか別の問題でも頭を悩ませるとはね…。」


 これも勇君関係の問題なのだが、私個人の問題である。

 決して勇君に口出しはさせない。

 にしても、勇君が使う力は私の想像通りのものなのかな?

 確か…技法だっけ?


「寺等院、ここの問題解いてみろ。」


 簡単な数学の問題を当てられる。

 この程度の問題なら授業を聞かなくてもできる。


「−4です」


 私はパッと問題を見て答える。

 周りから称賛の目が飛んでくるが私自身あまり嬉しくなかった。


 だって、私は一つの妄想に囚われたのだから…。

今回は説明会的な形になりました。

実は少し霊格を出すのは早いかな?と思ったりしていますが、霊格が目立つのはこの話くらいになると思います。

読んで頂きありがとうございます。

面白いと思って頂けたら幸いです。

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