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少女を探して…

 りんっ


 と音が聞こえる。

 鈴の音だ。

 どこか、古ぼけた神社の前で俺は街並みを眺めていた。

 それは木造りの家々が並び、昔の日本の町並みみたいだった。

 そこに時代の改革が進み始めて開発が行われていた。

 時代的に現代日本ではないことは確かだ。

 先程、神社が古ぼけたと言ったが、よくよく見ると現代日本の神社と比べて新しい感じがする。

 まぁ、少しなので気の所為かもしれないが。


「あの…」


 ふと、後ろから声をかけられる。

 俺は振り向くとそこには巫女服のような服装をした少女がいた。

 しかし、顔などの細部はぼやけており、そこで俺は気付いた。

 これは夢なんだと…。

 通りで、今の声を思い出そうとしても思い出せない訳だ。

 俺は改めて少女の方に意識を向ける。

 それと同時に彼女は話し出す。


「あなたは何故ここにいるのですか?」


 あぁ、そうだ…。

 あいつとの出会いはこれだった。


 ************


 目を開ける。

 何か夢を見ていた気がするが記憶には無い。

 けれど、とても懐かしい夢だった気がする。


「まぁ、無理やり思い出そうとしても思い出せないだろうからいいか…」


 俺は呟き、昨日のように着替える。

 今日の当番は何だっけ?

 ほぼ不規則に近い当番の仕組みは嫌になる。

 俺は一昨日くらいに新調した新しい携帯を手に取り確認する。

 どうやら今日は休みのようだ。

 ついでに時計を見たが、昨日に引き続き速かったので近くに置いてある携帯ゲーム機を手に取り少しやる。


「おはよう」


 俺は6時位になり、リビングに入り挨拶をする。


「おう、おはよう勇」


 挨拶を返して来たのはその日早く起きていたジャックだった。

 後ろの方では雪虎がせっせと朝飯を作っており気付かない。

 ジャックは別口で食べたようで、いつでも行ける状態だった。

 ちなみに、ジャックは俺のことを勇と呼ぶことが多く、本人曰く呼びやすいらしい。

 少し俺には理解できなかった。

 ふと、視線をズラすと見覚えのあるカバンが置かれていた。


「ジャック、誰か来てるのか?」


 俺が問うとジャックは頷いた。

 この置かれているカバンはコンパクトで手提げのカバンだった。

 過去にこのカバンの人は今世では会ったことがないが、間接的に関わったことが一度だけある。

 故に話を聞いていたし、前世の頃にその人が愛用していたカバンに酷似していた。

 俺はそっと気配を殺し、あの人がいそうな和室まで歩く。


 案の定、いるようで中から人の気配がした。

 俺は気配を殺すのをやめて声をかける。


「久しぶりですね。

 いや、はじめましてかな?

 田中 陸也さん。」


 俺が話しかけると同時に陸也はビクッとなり、こちらを振り向く。


「なんだ、お前かよ脅かすなよ勇馬…」


 心底、驚いた表情で話すこの男、陸也は過去に雪菜と共闘を張っていた。

 俺が今の状態になる前日で、【六色七斬流】【一挙重斬】の型を作った張本人でもある。

 この人は社会人でもあり、俺達の仲間でもある。

 自分のできない金になる話や依頼のデータ送ってきて、俺たちは小金(時折、莫大な金額)を稼いでる。


「んで、ここに来るなんてどうしたんだ?」


 陸也は俺が聞くと同時にお見通しかよという表情で型を竦める。


「いや、ただの報告だが、相手の拠点を見つけた。

 ただし、あいつらいなかったがな。

 まぁ、とりあえず、あいつらは仲間を集めて組織化が進んでいる。」


「いつの間に、そこまで自体が進行したんだ?

 とりあえず、その拠点を潰せばいいのか?」


「いいや、必要ない。

 お前達以外に行って貰っている。

 言い忘れていると思うが空と悠乃を海外に行かせたのは相手の拠点探しでもあるからな、それと、相手の本拠地が見つかるまで直接的な関わりがない限り極力戦闘は避けてくれ。」


 俺は考える。

 どうやら、思った以上に大きな組織化が行われているようで下手したら海外に本拠地がある可能性がある、そうなると俺などの因縁が強い人達はあまり動かないほうがよさそうだな。

 俺は納得をして、少し気になったことを聞いてみることにした。


「そういえば、今回向かった奴は誰だ?あと場所はどこだ?」


「意外と近くだぞ。

 今回向かった奴は終わったらこっちに行くそうだ。

 お前、覚えてるか?

 カナデ世那セナの姉妹だな。」


「いや、覚えてないや。」


 ならいいという感じに陸也は手を振って、リビングの方まで歩いて行ってしまう。

 俺はそれを追いかけるようにリビングに向かう。


「勇馬、起きてたのか。

 おはよう。

 とりあえず、飯は出来たから食え。」


 雪虎が俺を見ると同時に挨拶をして朝飯を食べるように促す。

 ジャックはもう行ったようでリビングにはいなかった。

 陸也はというと、じゃあなと言って俺が朝飯の途中で行ってしまった。

 そこから、ゾロゾロと雪菜、利差、雪夜、火鎚、空、悠乃、刃月、皆帰、ユン、紗雪の順で起きて朝飯を食べていく。


「行ってきます。」


「行ってらっしゃいリーダー。」


「行ってらっしゃい、勇馬。」


 俺たちは空と悠乃に見送られて家を出る。

 二人は今日の昼頃から海外に出るらしい。

 故に今日からしばらく会えなくなるのは寂しくなるものだ。

 二人は結構いいキャラしているのにとも思い少し残念に思う。


「そういえば、勇馬は自分の能力について何か思い出せたか?」


 雪夜が心配そうに聞いてくる。

 なんだかんだ言って、この中で一番心配性なのは雪夜なんだよなと思い俺は首を横に振る。

 実際、俺は殆ど何も思い出せずいる。

 思い出したことと言えば、『限界突破』のある程度のの能力くらいだ。

 これに関しては追々使うことがあるし面倒くさいのであまり思い出したくない。


 俺たちはそうした話をしながら登校していく。

 勿論、同じ学校の制服が見え始めた辺りから小声で話したり、別のことを話したりし始めたけど…。


 ************


 朝のホームルームの時間を終えて俺は席でボーッとしていた。

 昨日の少女を探そうか考えたが、それは昼休みにしようと思い俺はこっそりとエネルギーを練る練習をしていた。

 これは体内で収まり、基本的には表に出ないし、暇な時に出来ることだ。

 因みに、技法の際に使われるエネルギーの正式名称『技法値』と呼ばれ、まんまな名前だった。

 しかし、練るのも見る人が見れば一目瞭然ではあるのだけど…。

 まぁ、雪夜もやってるからいいよね。

 あと、2日目から授業がある。

 まぁ、殆どが先生の自己紹介で終わる訳だけど…。


「えっと、北条だっけ?」


 突如、数人の男子生徒が俺の周りに立つ。

 俺はこいつらを知っている。

 まぁ、昔俺をいじめてきた野郎達だ。

 昔と比べて増えているのは他の学校からも来てるからかな?


「はい、何ですか?」


 俺はとりあえず当たり障りのない返事をする。


「そんな他人行儀になるなよ。

 俺とお前の仲だろ?」


「あの、人違いじゃありませんか?」


 俺は首を傾げてさも知らない風を装う。

 別に俺自身、個人的な仕返しをするつもりも無いどころか、昔の未練は全てサッパリ消えており、こいつらについては毛ほども覚えていなかった。


「とりあえず、昼休みに校舎裏に来いよ。

 面白いものがあるぜ。」


 そうだ、この人達は気を引く会話をしていじめを始めていくタイプだった。

 一度でもそれに乗れば、それから芋蔓式にエスカレートしていく。

 俺には二つの選択肢がある。

 グッと堪えて我慢するか痛い目に合わすかのどちらかが…。

 全く、俺という人間はこういうネタは本当に尽きないよな。

 とりあえずは無視をしておこう。


「すいませんが、先約が入っているのでお断り致します。」


 固く、丁寧な対応で俺は断りを入れる。


「そうか、面白いのにな気が乗ったらまた言ってくれ。

 こっちの方も声かけるからさ。」


 そう言って、彼らは去っていく。

 周りを見ると好意的な目、諦めた目、憎しみの篭った目と沢山ある。

 おそらく、あいつらにいじめられている奴は諦めたのと憎しみの篭った目だろう。

 これを見ると外面だけはいいよなといつも思う。

 そのせいもあり、意外と女子とかからは人気が高かったりする。

 昔は俺が全部悪いように仕立て上げて、周りも同調していじめていたから、昔と比べるとあいつらの名声もそんなに高く無くなっているように思える。

 カモを見つけるたびいじめた証拠だった。


 キーンコーンカーンコーン


 とチャイムの音が鳴り響く。

 どうやら授業の合間の十分休みは終わりらしい。

 俺は枕を取り出して睡眠を…

 俺の意識は遠のく。

 その時、小学校の頃のイジメで一人だけ助けてくれた女の子がいたことを思い出す。


 ーあれは、誰だったかな?ー


 ************


 昼休みになり、俺はクラス巡りをしていた。

 それは昨日の少女を探すためだ。

 前世で会ったことがある可能性がある以上、探さない訳にはいかない。

 勘違いなら勘違いでそれでいい。

 けど、勘違いでは無かった時はどんな関係性であれ関わらない訳には行かない。

 協力してくれるかもしれないし、もしくは仲間になってくれるかもしれないのだ。

 逃す手など無い。

 しかし、クラスの何処にもいない。

 あと見てない場所といったら定番といったら屋上とか他の学年とかだけど、その他諸々と浮かび上がる。

 しかし、定番の屋上は侵入禁止でまず候補に消しておきたい。

 しかし、関係者の身体能力や知識や特殊な能力なら可能性はあると思い、屋上に向かう。



 そして、俺は今現在、屋上へと続く階段の踊り場にいた。

 しっかりと人が見ていないことを確認して、気配を殺す。

 一応、認識阻害されるように光学迷彩を使う。

 光学迷彩といっても、技法能力を応用したもので一部分の光景を歪ませるように水で反射させるだけだ。

 しかし、それでは見えないけど景色に違和感程度のことしか出来ない。

 刃月とかなら完璧な光学迷彩ができるが、俺には到底使えない代物だ。

 というか、光学迷彩とすら呼ばない気がしてきた。


 俺は自分の持つ身体能力を最大限に駆使して、踊り場の窓枠を蹴る。

 そうして、窓の外に俺は垂直飛びをする。

 しかし、これだと距離が足りない。

 なので、熱と風を利用して飛距離を稼ぐ。

 スタッと擬音語が付くような形で俺は屋上に降り立つ。

 そこには一人の少女が立っていた。

 俺は少女を見る。

 黒髪ロングのストレートで太腿の辺りまで伸びた髪は綺麗だ。

 顔付きなどは雪菜とは違い幼さのある顔と有り合わせながらにして大和撫子のような落ち着きと綺麗さがある。


「あの…」


 少女が俺に問う。

 俺はしっかりと立ち、少女の言葉に耳を傾ける。


「あなたは、北条 勇馬ですか?」


 やはり、俺は最後の確認の為に口を開く?


「どっちの意味で?」


 それは昔会った方か、前世の方かの意味だった。


「どっちって一つしかないですよ。

 あなたは昔、この町に住んでいた北条 勇馬ですか?」


 どうやら勘違いのようだ。

 なら、一つ確認したい。


「そうだけど、そういうあんたは?

 あと、この屋上にはどうやって入ったの?」


「あ、失礼しました。

 私は寺東院ジトウイン 奈那ナナと言います。

 屋上については北条君みたいなダイナミックな行き方出来ませんって。

 ここの屋上の扉はコツがいるんですけど、古くて案外簡単に開くんですよ。」


 俺の記憶の一部が戻っている時点で契約者は全員、何らかの記憶が戻っている筈なのに、彼女はそのことについて言わない。

 要するに、勘違いだったのだ。

 俺はその後何を彼女と話したのかは覚えていない。

 覚えていることは家に帰ってからである…。

さて、謎が新章が始まり二部目にて謎が多くなってまいりました。

もう少しの間、こちらの執筆を進めていきます。

読んで頂きありがとうございます。

面白いと思って頂けたなら幸いです。

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