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未練

新章になりました。

 俺こと北条 勇馬はふと目を覚ます。

 体は気怠く、とても疲れていた。

 しかし、何故か起きないといけない気がして俺は上半身を起こした。

 そして俺は部屋を見渡した。

 そこには見慣れた家具に見慣れない部屋が映る。

 そこでようやく頭が覚醒し始める。


「そういえば、今日から学校があるのか…。」


 春休みが明けて、俺達は引越しをしたのだ。

 そして、今日は中学生になる俺たちの入学式なのだ。


 俺はベッドから這い出て、着替える。

 今日の当番は買い出しであり、帰ったらエコバッグを持って行かなくてはならないので取り出しておき、すぐに持っていけるようにドアの近くに置く。


 そして、学生カバンの中身を確認する。

 入学式とはいえでも、筆箱とノートくらいは必要だろうと思い、入れてある。

 正直、カバンが無駄に大きいが妥協して今日だけ手提げとかはするつもりはない。

 俺は中身に問題ないことを確認するとカバンを肩に下げて部屋を出る。


 部屋を出て廊下に出たのだが、もう既に朝ご飯のいい匂いが漂っており、腹が大きく鳴ってしまった。

 俺はこの匂いに少しだけウキウキしながらリビングに向かう。


 リビングに入ると台所で一人の少女がせっせと朝ご飯を作っていた。

 前までとは勝手が違うのにその動きはスムーズで慣れていた。


「ん、勇馬おきてたの?

 おはよう。」


 少女が俺に気が付き挨拶をする。


「おう、おはよう雪菜」


 俺は少女に挨拶を返す。

 そして、今言ったように彼女の名前は雪菜、フルネームは聖十院 雪菜である。

 名前だけ見ると宗教っぽいけど、彼女自身どこの宗教にも入っていない。

 容姿は天使とも形容できるような可愛さを持ち、長く伸びた黒髪は背中の三分の一にまで達している。


「にしても早いね。

 まだ、5時ごろだよ。」


 俺はこの時、改めて時計を見ると5時20分前を示していた。


「早っ‼︎」


 自分も驚きの早さである。

 けど、丁度いいか。


「今日、俺先に出るから丁度いいか。」


「なんで?」


「秘密だ。

 明日からはいつも通りにするから安心しろ。」


 そう、今日だけである。

 どうせなら、もう少し行く日を遅らせたいけどもあまりよくないだろう。

 俺の心情的に…。

 少し感傷的になってしまった。

 俺らしくもないと少し溜息を吐き、俺は椅子に座る。


「ご飯はあと少しで出来るから待っててね。」


 雪菜は母親みたいなことを言って、せっせとご飯を作る。


「そんなに急がなくてもいいよ。

 最低でも、6時半に出ればいいから。」


「そう?

 ならいいけど…。」


 全く、こういうところは何というか…。

 世話焼きというか、おっちょっこちょいというか、まぁ、この二つが同じではないけど…。

 雪菜に関して言えば似たような意味で捉えられる(俺達の中限定)。


 俺は暇つぶしに雪菜を観察する。

 忙しそうに朝ご飯を作っているが、手伝う事は出来ない。

 過去に手伝うと言った時は怒られた。

 にしても、止まることないな。

 ていうか、一体おかずとか何品作っているの?

 そうして、観察しているとリビングのドアが開く音がした。

 俺はドアの方を見る。

 黒髪碧眼の少年が部屋に入ってきた。

 髪をかきながら、欠伸をしていた。


「おはよう、皆帰。

 ちょっとだらしがないぞ。」


「いいだろ、別によ。

 家なんだし…」


 彼の名前は皇雷 皆帰。

 名前が少し厨二くさいが、こいつらしい名前だと今になって思う。

 別にこいつが中二病とか思って考えていない。

 皆帰は台所の冷蔵庫から炭酸水を取り出して席に着く。

 ちょうど、俺と向かい合う形になる。


「なぁ、炭酸水って美味いの?」


「いや、このシュワシュワが好きで飲んでるだけだ。」


「それなら、コーラなどの飲料を飲めばいいのに。」


「これはこれで好きなんだよ。」


 皆帰には皆帰なりのこだわりがあるのだと思い俺は皆帰の様子を観察する。

 6時になり、ご飯ができたと雪菜がせっせとテーブルに並べていく。

 やけに凝った炒め物や汁物が並んでいく。

 一体、どれほど手間暇と時間をかけたのだろう。

 そこは聞かずに俺はぐっと堪えた。


 ************


「んじゃ、行ってくる。」


 俺は学生カバンを下げて、家を出る。

 他の人達が起き出したので雪菜と皆帰は今食べ始めている。

 俺は一人寂しく家を出るのだった。


 通学路とは外れた道を俺は歩く。

 決まった方向は無く、ただ思うように歩いていた。

 街道、団地、住宅街そして…。


「ここの景色は変わらないな。」


 俺は今、とある場所高台にいた。

 人気スポットというわけでは無く、相変わらず人気がない。

 俺はこの街に来たことがある。

 というより、住んでいた。

 もう、二年も前の話なので変わっているところが沢山あり、少し感慨深い気持ちになっていた。


 俺は少しすると高台を後にして、ある通りに入る。

 桜が舞い、幻想的な風景に見えた。

 俺はその通りを通った先にある墓場に入った。

 水桶と線香を持ってある墓の前に立つ。


 北条 秋草

 北条 亜子


 と名前が彫られていた。

 俺の今世の両親達だ。

 先程も思ったことだが、俺は昔この街に住んでいた。

 両親はいい人で、世話になった。

 しかし、両親は死んだ。

 それから色々とあり、ここによることも無かったし、思い出すことも無かった。

 しかし、昨日この街に来て俺はふと思い出したのだ。

 前の自分の気持ちの整理をつけるためにこうして、墓参りに来たのだ。

 この時ばかりは転生を繰り返した北条 勇馬ではなく、今世生まれ二年前の皆帰達に出会う前で止まったままだった自分がいた。

 幼く、我儘で感情的で落ち着きがない俺がここにはいた。


「父さん、母さん。

 俺、幸せだよ。

 あのね、聞きたいの?」


 何も音がしない。

 線香の匂いが鼻に付く。


「なんで、死んじゃったの?

 どうして俺を置いていくの?

 約束したよね?

 父さんはそう簡単に死なないって…。

 ねぇ、どうして?

 答えてよ!

 俺は寂しかったんだよ!

 不安だったんだよ!

 いつか自分もなることを望んだよ!

 帰ってきてよ…」


 俺自身、普段なら絶対に思わないことを思う。

 何も意味が無い。

 何もなさない。

 そんな言葉だった。

 しかし、これは俺も記憶を戻す前から落ち着いている訳が無いことを指した。



 数分程俺は泣き、過去の自分から成長した気がした。


「父さん、母さん…いいや秋草、亜子。

 俺は元気にやってる。

 だから、安心してくれ。

 大切な物も出来た。

 けど、ひとつ謝りたい。

 あんたらとは親子の縁を切る。

 自分勝手だが許してほしい。

 そして、もうあんたらを参りに行くことがないことを許して欲しい。

 すまない。」


 俺は深々と頭を下げる。

 本当に申し訳なく思う。

 ひどく自分勝手で相手を侮辱するような意見に俺は嫌になる。

 しかし、ここで決別をしておかないと、いずれ引きずり弱くなってしまう気がしたから俺は覚悟を決めることにした。

 どれだけ頭を下げたかは分からない。

 しかし、気持ちがスッキリした時に俺は顔を上げる。

 そして、俺は再び桜の咲く通りに出る。

 出てすぐのところで今までの疲れを吐き出すように息を吐く。


 タッタッタッタ


 と人が走る音がする。

 俺は音のする方を見てみると…


「あれは…」


 太ももの辺りまで伸びた髪を持つ少女の後ろ姿だった。

 制服を着ており、どうやら同じ中学に通う人のようだ。


「ん…?」


 ふと、少女のとある場所に目がいく。

 少女はパッと見分からないが、リボンを付けている。

 髪の裏の辺りを縛っているのか、結び目は見えず少し長い桜色の紐が飛び出ていた。

 何処か懐かしく感じた。

 昔会ったことがあるのだろうか?

 いや、それだけじゃない気がする。

 おそらく、前世の時に会ったのかもしれない。

 しかし、俺はその少女について思い出すことができずに考えながら、通学を始めた。


 ************


 入学式が無事に終わり、自己紹介タイムになる前の諸注意が行われる。

 そこで、俺達は担任との初のご対面となる。

 その前にクラスはどうなったかの再確認としよう。

 俺が今いるのは二組である。

 そして、この学校は一学年につき八クラスある。

 他の奴らはというと、同じクラスに雪夜、火鎚、紗雪の三人である。

 そして、一組に雪菜、皆帰、雪虎、利差がいる。

 空と悠乃は何かあるらしく、教えてくれないどころか学校にすらいなかった。

 まぁ、この際あの二人は放って置いておこう。

 とりあえず、担任の先生が面倒な人じゃなければいいなぁと思いながらボケーっとする。


 ガラガラ


 とドアの開く音がする。

 どうやら、先生が入ってきたらしい。

 俺はジッと担任の先生を見る。

 金髪で青眼のイケメンで老けて見積もっても25歳が限界の男がいた。

 俺はどこかでこの人を見たことあるような…。

 というか、割と知っているような…。


「今日からこのクラスの担任になるジャック・ヴィ・グラットだ。

 よろしくな。」


 知っているを超して、関係者だ…。

 この人の名前は先程この人が言ったようにジャック・ヴィ・グラットである。

 確か、イギリスだかフランスだかにいると筈なんだけど…。

 俺は雪夜達を見るが知らないようで俺を見ていた。

 となると、偶然?

 他人の空似?

 それとも、なんらかの…。

 そんな俺達の悩みとは他所にクラスの自己紹介が始まっていた。


「おい、君、華城君?

 次、君だけど…。」


 ジャックが火鎚に自己紹介をするように促す。

 火鎚は慌てて自己紹介を始めた。

 そうして、なんとなく俺達も自己紹介を済ませて今日は解散になった。


 ************


「ただいま」


 俺達は家に帰り、リビングに行く。

 中に入ると空と悠乃が何かしていた。


「空、悠乃、何してるんだ?」


 俺の言葉で気が付いたのか二人は俺の方に向く。


「あれ、言っていなかったっけ?」


「いや、聞いていないけど…」


 空は俺の言葉を聞いて首を傾げながら言う。


『ただいま。』


 皆帰達が帰ってきたようだ。

 足音的に全員かな?

 俺はドアの前からどき、来るのを待つ。

 そして、全員がリビングに入ってくる。


「おっす、あっ勇馬先に帰りやがって…。」


 皆帰は入ってすぐに俺を見て言う。

 そして、このこのと言わんばかりに皆帰は背中を叩いてくる。


「お帰り、話忘れていたようだからみんなが来てちょうどよかった。」


「何があったの?」


 雪菜が代表して聞く。

 全員が真剣な話だと察して黙り込む。


「いやー、実は俺と悠乃で海外の方に行くことになったんだ〜」


『は?』


 俺達全員は声を揃えて呆然としていた。


「何のために?」


 俺は気になり聞いてみると、空がアハハと笑いながら話し出す。


「実は外国の方にいる仲間を探すのと連絡を取るのそして、世界の能力者や適正者を探しに行くことになって…。」


「大丈夫なのか?」


「心配しなくていいですよ。

 私と空の二人は旅は得意ですから。」


 俺の心配に悠乃が大丈夫だと宣言する。

 この二人は結構優秀なので信用していいだろう。


「まぁ、無理すんなよ。」


『はい』


 二人ともいい笑顔で返事する。

 この二人は全く、いつも、いつもいろんなことをしてくれて助けてくれるんだよな…。


「あと、ジャック来てた?」


『…』


 空の発言に一同黙る。

 ジャックについて知っているってことはこの二人が関わっているのか…。


「お前、知ってたのか…?」


 雪夜は呆れたような声で呟く。

 二人は頷き、申し訳なさそうに笑っていた。


「てことは、ジャックはここに住むのか?」


「まぁ、そうなっているわね。」


 火鎚の質問に悠乃が答える。

 そうして、質問していくうちに空と悠乃は問題がこちらで起きた時と年末には帰ってくるそうだ。

 そして、ジャックは本格的に日本に滞在するつもりらしい。

 まぁ、ジャックは一応日本国籍を持っているからいいかな。

 俺は話しているうちにふと朝のことを思い出す。

 桜舞う通りの中の少女のことを…。

 あれはどこかで…。


「そういえば、仲間ってあと何人くらいいるんだ?」


 俺は気になり聞いてみる。


「そんなの勇馬が分からなかったら誰にも分からないよ。」


 雪菜からそんな答えが返ってくる。

 話を聞いてみると、必ず俺と同じ回数と周期で転載する訳ではないらしい。

 しかし、俺がいない時に転生することは無く、その時代によって全員揃ったり、揃わなかったりするらしい。

 故に、俺だけが転生することもあり、その時に仲間になった人も何人かいるらしい。

 まぁ、俺が中心となっている理由は俺が【転生の輪】という能力を持って生まれたが故なのだ。

 その能力の恩恵を受ける人は自分ととある契約を交わした人らしい。

 まぁ、使い方が全然分からないから俺的には何も言えないけど…。


「てことは、早く俺は記憶を取り戻さなきゃいけないな…。」


 そうして、俺は新たな問題(転生の輪)に頭を悩ませるのだった。

 ていうか、みんなそんなに力強く頷かなくても…。

いやー、最後まで日常回?貫けた。

さて、新キャラの予感。

ていうか、この回でもう新キャラ出てるか…。

読んで頂きありがとうございます。

面白いと思って頂けたなら幸いです。

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