エピローグ 000000001
「雪菜…**」
俺は誰もいない、何もない場所で呟く。
それは反射もせず、虚空の中に消え去る。
俺は一人だ。
仲間も皆消え去り、俺一人取り残された。
俺は憎かった。
この上なく何も守れなかった自分が…。
俺は嫌ってしまった。
自分に対してよく働く筈の力が自分を絶望させたのだから。
誰もいない。
何もない。
俺はただの空っぽで死ぬことが出来ない『人間』だった。
このまま果てることもできなくて、消え去ることもできない。
死にたい、この上なく死にたい。
そう願っては壊れ、延々と繰り返していた。
こんな俺はなんで生きてるのだろう。
行き着いた先である結果の全てがバッドエンドで終わり、俺に絶望と憎しみを届けた。
あいつらはもうこの世に存在しない。
今度こそ守ろうとした少女も消えてしまった。
せめて、少女が死ぬまで守り通したかったと俺は今でも願う。
しかしそれはもう何千年も昔話だった。
俺はそれを知る術はない。
ただひたすらに虚空な空間に閉じこもり、表からも裏からも俺は姿を消した。
そこで俺は死んでは生まれ、死んでは生まれを繰り返す。
まるで小学校の理科の実験のように同じ末路を辿る。
しかし、それも終わりを迎えようとしていた。
ただ全てを喰らい終わりに導く概念がこの場所にまで侵食してきたのだ。
俺はその存在を知っている。
しかし、その存在は俺の知る限りより大きな力を持っていた。
そう、世界に終わりの転機が訪れる。
故にそれを『終焉』と呼ぶ。
「ああ、これで俺は終われるのかな?」
微かな疑問…。
しかし、その疑問は俺にとって重要なことだった。
俺は死のうと立ち上がる。
ーこれで終われるー
そう思った矢先…
「待ちたまえ」
そんな声が聞こえた。
俺は振り向き、声の主をみる。
そこには一人の男が立っていた。
その存在は異質の一言に尽きる。
しかし、俺の能力が男の存在を突き止める。
「『観察者』は不干渉の筈なのに俺の前に出ていいのか?」
俺のその言葉に男は笑う。
「そうですね、普通ならそうでしょうけど…。」
男が笑いながら俺に言葉を放つ。
「あなたにチャンスを与えにきたのです。」
「チャンス?
ふざけるな!そんなことならさっさとどこか行け。
俺は今から行くんだ…。
あいつらの元に。」
「非常に残念ながらあなたあれに呑み込まれても彼らの元には行けませんよ。」
その言葉を放たれると同時に俺は怒りが湧いた。
俺自身にと男、そして終焉に対して…。
「なら、どうすればいいんだよ‼︎
誰か、俺殺せる存在はいないのかよ‼︎
ふざけんなよ‼︎
何があいつらの元に行けないだ…そんなもの…認められるか…」
俺の声は少しずつ掠れ小さくなっていく。
俺の発声器官は使わなさ過ぎたせいか簡単に潰れてしまった。
「だから、チャンスですよ。
あなたはーー
ことができるのです。」
男の言葉に俺は耳を疑った。
「できる…のか?」
「はい、あなたの能力である『転生の輪』を利用すれば可能です。」
俺は絶望や憎しみを忘れてしまう。
一筋の光が見えたのだから…。
「ただし、それを使うにはこれから先に代償が必要となります。」
「何を差し出せばいい?」
「魂に関係するものですよ。」
その言葉に俺は笑う。
「そんなことでいいのか?
それなら俺はーー
を差し出す。」
「いいのですか?
それを完全に失った時、あなたはこの世から塵一つ残さず消え去ります。
大きさから考えて*回までそれを行使できます。
よろしいのですね。」
「充分だ。」
俺は目を閉じる。
代償を決めて俺は行使する。
そして俺は…
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