修学旅行その二
「もう夜か…。」
俺達はその後、晩飯を食べて女子以外全員で部屋にたむろっていた。
「にしても、火鎚、雪虎大丈夫か?」
「くかー」
「大丈夫だから勇馬は心配するな…。」
火鎚は心配するなと言い、雪虎に関しては冬眠に入っていた。
俺は苦笑いをしながらUROをしていた。
「勇馬、次お前だぞ。」
皆帰が俺に促す。
皆帰は皆帰で静電気を放っており、いろんな意味で心配だった。
「はぁ〜、プラフォーの銀な。
次、雪夜だぞ。」
「げっ!あともう少しなのに銀が無い…。」
雪夜はがっかりしながら山札を引く。
ガードを見てため息を吐きながら次の空に促す。
「はい、スキップでリーダー。」
空が俺に促す。
勝ったと思い笑っている。
そこに絶望をプレゼントしてやるのが俺の役目だと思うんだ。
「んじゃ、スキップ掛けスリーで俺な。
最後に八の全色出しで上が桃色な。
ほれ、雪夜やったれ。」
空をちらっと見ると顔が固まっており予想外という顔をしていた。
「おう!
リバースで皆帰、行けっ!」
お互いに目配せをして空を上がらせないらしい。
「スキップ掛けツーで俺からのリバースで雪夜!」
「そして、これで空の最後だ!
ドロツー掛け3出し‼︎」
見事な連携プレイにより二人のカードが瞬く間に減り、その代わり空のガードが増えていく。
そうして、UROは空の負けで終わったのだった。
その後、大富豪などやり就寝時間まで過ごしたのだった。
************
私こと雪菜は今、修学旅行の下宿先の就寝部屋にいた。
そこで、私の頭を悩ませることがあった。
「あの、皆さん本当にすいません!」
「私もごめんなさい。」
二人の女の子が土下座して謝っているのだ。
私としてはどうしたらいいかわからない状況であった。
「いや、別にいいよ。
だって、君達は何もしてないんでしょ?」
紗雪は笑いながらそう言うが、彼女達はそうもいかないようで頑なに土下座を辞めない。
「…ほら、顔上げて。
私としては謝ってくれるだけ嬉しいから。
時には反省してない人がいるでしょ、彼らとは違って君達は悪いと思えるいい子だよ…。」
利差が滅多に見れないような笑顔で慰める。
「でも、私たちこれからも助けられる自信…」
とうとうと泣き出し収集がつかなくなる予感がする。
この現場を教師が見たら、いいネタを見つけたと思われるだろう。
「花凛ちゃんと茜ちゃんだっけ?」
「はい…」
「はい、そうですけど…」
悠乃が突然二人の名前を呼ぶ。
二人とも泣きながら頷く。
「二人はさ、私達のこと嫌い?」
二人は同時に首を振る。
「ならさ、そんなことどうでもいいから一緒におしゃべりしよ!」
悠乃は元気よくそう言うと彼女達は戸惑いながらも頷いた。
正直、悠乃のそういうところを私は尊敬している。
「でも、意外だね。
悠乃が口出しするなんて…」
悠乃は私の言葉を聞くと少しバツの悪そうな表情をする。
やはり、意外だ。
彼女は私の中で言うなら。信者である。
勇馬という人間の為に生きているようなものである。
彼女は何をするにしても勇馬が先に出る。
しかも、私とは違い恋愛感情では無い。
彼女は勇馬という人間の為に動いている。
例えば、おめかしをするのも勇馬の為とか、体調を整えるのも、今ここにいることさえも勇馬の為なのだ。
そして、勇馬の望むままに動く。
望まぬ行動以外はとことんやり、それでいて自分として生きる。
それはどこか自由奔放に見えるは部分もあるが、私達の中で一番いろんな意味で危ないのは悠乃と空である。
勇馬を安心させる。
その為に私達を庇ったり守ったりするし、心配させない為に友達を作る。
そんな彼女が彼女達を元気付けたのだ。
意外にもほどがある。
「いや、だってこのまま勇馬のことをわかってくれない人がいるのは個人的に…。」
前言撤回、この人は意外でもなんでも無かった。
その後、私達は所謂ガールズトークをして盛り上がった。
私としてはこんな話をあまりすることがなかったので楽しかった。
************
夜、11時半。
消灯時間から2時間の時が過ぎた頃。
俺は今現在、少しスキー場から離れた森の開けた場所にいた。
そして、先に雪菜がいた。
実は俺が雪菜に来るようにと言われたのだ。
「ちゃんと来たのね。」
「当たり前だろ、敵がいつ動き出すか分からない以上その間に強くなるしか無いしな。」
雪菜はなるほどと頷き、感心する。
「へぇー、まともにやっているじゃない。」
突然後ろの方から声が聞こえる。
俺は振り向き相手を確認する。
そこにはここにはいるはずのない藤塚 鈴利さんがいた。
「あっ、鈴利さんこんばんは。
ところでなぜここに?」
「まぁ、少し近くに寄ったものでね、ついでにと思って見に来た訳さ。」
てことは、鈴利さんも関係者なのか?
あれから会っていないから分からないけど…。
「勇馬君、疑問があるなら口に出したまえ。
因みに君の疑問を予想して答えるが、イエスだ。
私は君達の関係者だよ。」
「よくわかりましたね…。」
なるほど、鈴利さんも関係者ならあの日の意味の分からない発言にも納得できる。
それにしても、何でここに来たんだ?
「安心してくれ。
私はここで見てるから二人ともいつでも始めてくれて構わないので。」
「はい」
雪菜がそう返事すると共に俺達は向き合う。
この一年、いや、一年半の間俺は色々なことを学んだ。
自分の弱さ。
この世にある能力の種類、自分の能力について全部…。
「じゃ、まずは復習からいこうか。」
「あぁ、よろしく頼む。」
雪菜がそう提示する。
俺としては願ったり叶ったりだ。
「まずは、『六色七斬流』について話そうか。」
俺は頷く。
『六色七斬流』は俺達の使う剣技から格闘技、他の武器術を使う流派でとても幅が広い。
もういっそ、それぞれ分けてしまえよと思うくらい…。
「それって復習じゃなくない?
教えてもらっていないし…。」
「ん?基本的な構造は理解してるでしょ?」
俺は首を振る。
残念ながら感覚で覚えており、構造の一切を理解していない。
「なるほどね。
通りでおかしいと思った。」
雪菜は溜息を吐き、説明を始める。
「まず、『六色七斬流』の原点から話すね。
その流派は元々は勇馬と皆帰、紗雪、利差、雪虎、雪夜、火鎚の7人で作った流派なの。
だから、本来はその七つの型で『六色七斬流』だったの。
しかし、仲間が増えていってね、それぞれの型を生み出していった。
そして、今のように無数の型を持つ流派となったの。」
「一つ質問いいか?」
「いいよ。」
「それぞれ別の流派にしなかったのはなんでだ?」
「これは今から説明するね。
この流派はね、実は型なんていらないのよ。
そんなものただの飾りでしかないのだから…。
この流派は一つの概念を重きに置いている。
イメージや思念とそれのトレースが一番重要なの。
この流派は思念などで周りのエネルギーを利用しているの。
そのエネルギーを利用して、ありとあらゆる法則を捻じ曲げているの。
それを利用したものが自体が流派なんだよ。」
要するに今までの剣を振るっただけで起きる摩訶不思議現象は俺の思念やイメージから作り上げられたもの。
それなら…こんなことも出来るかな?
一撃が伸びるイメージで誰もいない方角に腕を振った。
思った通りの範囲で木々が薙ぎ払われる。
そして、次は何も考えずにやるが、何も起きなかった。
「そういうこと、これが私達の流派の秘密。
まぁ、でも思念などを起こす為の影響力が無いと出来ないから、ある程度の修練は必要だよ。」
流石に凡人でもいきなり使えたら怖いもんな…。
俺はそう思い、使い所には気を付けようと思った。
「次にこの世にある不思議な力の話ね。」
俺が頷くのを見ると嬉しそうに雪菜が話し出す。
少し可愛いと思ったのはここだけの話。
「この世には技法、魔法、霊格、超能力、固有能力の五つがあるの。
私達は技法と固有能力しか使えないから他はあまり詳しく無いんだ。
だから、技法と固有能力は後で詳しく説明するけど他の能力については少しだけ説明するよ。
まずは魔法なんだけど、これはまだ不明な点が多いの。
技法とは似てるけど正確には違う。
それだけは分かるけど、それ以外は不明な点が多い。
使える人が近くにいないのが主たる原因だけど…。
そして、霊格だけど、これに関してはあると言う話をよく聞くだけでサッパリ分からない。
確か、人の枠を超えるための能力という話が結構あるね。
次は超能力だけど、これも不明かな?
あくまで人体から生成される力という話だけど、使える人がいないから本当かどうか怪しい。
まぁ、あると仮定されているだけの能力だからあまり気にしなくてもいいよ。」
ほとんど謎に包まれているな。
まぁ、それ程調べようの無いことなのだろう。
俺はそう割り切る。
「次は技法と固有能力についてね。
固有能力から説明させてもらうね。
固有能力というのは私達の持つ魂の特異性だったはず。
例えば、皆帰の電撃体質も固有能力が原因なの。
他にも火鎚や雪虎が元気無い理由と利差の元気な理由とか…。」
なるほどね、あれの影響であいつらは体調が変わるのか。
「でもね、一つ忘れてはいけない点があるの。
皆帰達の固有能力は特殊なの。
私も固有能力は持っているけどあそこまで極端なものじゃないんだ。
実は固有能力というのはあの五つの中で一番曖昧なの。」
「それってどういうことだ?」
「焦らないの。
この説明は初めてだね。
固有能力というのは傾きというのがあるの。
例えば、技法よりというのがあるのだけど、それは技法に対する拡張やサポートなどが行われる能力なの。
他にも魂より身体よりと意味わからないがぞろぞろと研究されてるね。
他には、勇馬の固有能力は『限界突破』と『高速再生』だって知ってる?」
俺は首を振る。
その辺の記憶が俺には無く、自分の能力については感覚でしか覚えていない。
「まぁ、勇馬の能力についての議論は後が絶えないから変な話をしたくないかな…。
まぁ、固有能力というのは多種多様で様々なものがあるという認識だけで問題ないよ。
突き詰めるとロクなことがない。」
これは誰かが突き詰めたことがあるんだな。
待てよ、固有能力って俺には二つあるそれって普通のことなのか?
「なぁ、俺の固有能力が二つあるんだけどそれは普通のことなのか?」
その質問に雪菜は苦笑いを浮かべる。
「うーん、普通なのかな?
固有能力って後天的に自ら生み出すことが出来るからなんとも言えないんだよね。」
本当に分からないといった表情で雪菜は返答してくれる。
まぁ、なんとも言えないならそれでいいか…。
「次は技法だけど、基本的にはこれは技術であり技法にある属性は全て使えるよ。
まぁ、例外があるけど。
皆帰逹は自分にあった属性と無属性、基礎属性しか使えないの。
まぁ、他の人はみんな使えるからこの話は個人で皆帰逹に聞きにいって。
そして、属性についてだけど…。
大まかに分けて三つの種類があるの。
『元素系』『源系』『性質系』の3つだね。
『元素系』はその名の通り火や水の属性だよ。
まぁ、知っての通り火、水、風、雷、氷、龍の六つがある。
龍に関しては別名として土という属性になるんだよ。
それぞれの性質を細かく言いたいけど、勘違いされやすい性質についてだけ説明するね。
まずは火からね。
これは火を起こすことが可能だけど、本質は物質の運動による熱の発生なんだよね。
氷も同じような感じだね。
似てるけど他の性質が違うから違う属性として扱われているんだよね。
次に龍だけど、これは硬化が主たる力なんだよ。
その逆に軟化などもできる能力なの、龍属性と名付けられた本質は骨の硬化と軟化による柔軟な戦い方から名付けられたんだ。
これで一応『元素系は終わりにするね。
次は『源系』だけど、簡単に言えば無属性なんだよね。
これは他の性質の劣化版だけど汎用性が高く、使い方によっては最強の能力が無属性だね。
最後に『性質系』だけど、ごめんね。
これだけに関しては記憶がないの。
いえ、正確には思い出せないの…。」
最後の最後で肩透かし感はあったけど概要だけはわかった。
「そういえば、第七の属性ってどういう扱いなんだ?」
ふと、気になり俺は聞いてみる。
なぜなら、俺達の敵であるシャルロットは第七の属性の確認がされている。
少しでも勝ち目を上げておきたい。
「第七の属性ねぇ〜。
これに関してはなんとも言えないな。
第七の属性は基本的に『元素系』と同義に扱っているけど、モノによってはどの種類にも属さないの。
例えば今はまだエネルギーが足りないから使えないけど、私には『覇者』という第七の属性を持っているんだけど、これは『性質系』に入ると思うの。
他にも『源系』みたいな性質などをある程度の変更が可能な属性もあるの。」
なるほどね。
ていうか、今とても大事なこと言ったぞこの人…。
第七の属性持ちとか、すごいな。
「勇馬、第七の属性持ちとかすごいなとか思って見てるだろうけど、貴方も人のこと言えないからね…」
「えっ、そうなの?」
そうなのか?
となると一体どんな能力なんだろう?
「その辺の記憶も無いのね。
私も無いからわからないけど…。
ある程度、あった筈くらい覚えておきなさいよ。
とりあえず、いつも通り手合わせでもしよっか。」
俺と雪菜はお互いに虚空から剣を取り出して構える。
「そういえば、剣を取り出しているけど何で何も無いところから出るんだ?」
「それについては簡単よ。
魂の方でその武器を記憶、もしくは刻み込んでるの。
ほら、出す際にエネルギーを使うでしょ。
それは刻み込んだまたは、記憶したものを擬似物質として創り出すために消費してるの。」
そうだったのか、あまりエネルギーを消費した感覚がまだ分からないから消費してることにも気がつかなかった。
だから、この剣が折れても速攻で修復が出来たわけね…。
「んじゃ、始めようか!」
「おう!」
その夜、俺はヘトヘトになるまで雪菜との手合わせをし続けた。
************
少し日を跨ぎ、最終日になった。
俺達は最終日のスキー場で集まっていた。
「んで、鈴利さんの話って何?」
俺は鈴利さんにそう尋ねた。
昨日の夜、鈴利さんは話があると言って俺達をスキーの時に集まってほしいとお願いされた。
そして、俺達は誰一人欠けることなく集まっていた。
「よかった。
みんな来たのね。
この話は刃月達にはもう話してるのだけどね。」
鈴利さんはそう、焦らすように言う。
「実は引っ越すことになったの。」
鈴利さんは 少し笑いながらそう言った。
そして、俺達の反応はと言うと…。
『は?』
だった。
それもそうだろう。
いきなり引っ越すと言われても理解が及ばない。
「貴方達の卒業式が終わったらする予定だから、準備しておいてね。」
そう鈴利さんは言い残すと滑って行ってしまった。
俺達は疑問が残った状態のまま、修学旅行を終えたのだった。
久々の更新です。
この話はかなり複雑化する予定でもありますが今回のように少しずつ説明を入れていきたいと思います。
読んで頂きありがとうございます。
面白いと思って頂けたなら幸いです。




