更なる開幕
更なる開幕
ここで終わる。
私たちはそう言う存在だ。
無数にいる組織群を打倒して、私たちは英雄か?
いや、いつだって英雄というのは別に存在する。
「絶対悪」
私は呟く。
私達が政府が秘密裏に作った特殊部隊だった頃からその組織は聞いていた。
彼らは私たちとは違う。
様々な光を浴びている。
同じく秘匿された部隊のはずなのに…
いつしか私たちは捨て駒として使われて部隊人数は5人となり、残る私たちもいいように使える捨て駒としてまた消費されている。
『君たちの再起のための任務を下そう』
そんな言葉と共に政府に要求されたのはテロの鎮圧。
私たちは尽力し、5人全員でテロの半分は鎮圧していた。
「はぁ、はぁ」
だが、そこで下された決定は残酷なものだった。
『テロに加担した君たちを救うと思うか?』
何が正解だったのというのだろうか?
同じテロ組織として私達はブラックリスト入りしていた。
いま、絶対悪が残ったテロ組織を探している。
「リーダー、どうします?」
「なんで、私たちはただ…」
「だから言ったのよこんな依頼怪しいって」
「でも、全員で受けると決めたことでしょ!」
あぁ、そうだ。
これは私の責任だ。
名前も捨てた我々に固有名称はない。
だが、番号はある。
「一番のいう通りだ、すべては私の責任たまに…私の首一つで交渉してみる」
絶対悪は基本的に慈悲はない。
だが、話が通じない組織ではない。
「生きていたって先はない…ならば私に生きる理由はない」
「それなら私も一緒よリーダー。最後まで抵抗しましょ!」
「私も戦います」
「そうね…それしかないのよね…」
「…わかりました」
そうだな。
やめろと言いたい。
だが、それは私たちの組織の積み上げてきたものの否定になる。
「私たちはここにいたと最後まで抵抗しよう」
銃を構える。
そして、走り出そうとした時…
「やぁ」
声をかけられる。
私たちは即座に銃を構える。
「何者だ!」
「そんな怖い顔するなよ」
そこにいたのは至って普通の少年に見えた。
だが、少年は泣きそうな顔で慈しむような懐かしむような目を私達に向けている。
「どうせ抵抗するなら、盛大にやりたくないか?」
「私たちは捨て駒になる気はない」
「そんな鉄砲玉なんかにしないさ。約束しよう、君らが満足するその時まで君たちの誰一人として欠けさせない」
「信じるに値しないな」
「そうよ!そうやって騙して捨て駒にするんでしょ!」
1番が同調する。
だが、男は頷く。
「そうかもな、だからお前達は俺が出る戦場以外は出なくていい」
「それは?」
「要するに俺も一緒に背負おう死ぬリスクってやつを」
息を呑む。
この男は何を言っている?
それは、自分が前に立つと…
「俺が先頭立って戦う」
その言葉に私たちは毒気を抜かれていた。
人なんて信用できない、人は私たちを道具として使う…そんな前提しかありえない。
「お前は不死者か?」
私の問いに頷く。
「ならばお前と私は対等ではない」
「わかってるさ、だから俺は」
「謀るな、死なぬものの言葉など聞く気はない」
ダダダダダダダァッン!!!!
フルオートで男をめった撃ちにする。
即座に弾倉を変えて何度も何度も男を撃ち抜く。
「はぁ、…はぁ、満足か?」
男は避けるそぶりすら見せない。
確かに痛覚は低そうだ。
しかし、男には明らかに痛覚がある人間の反応をしていた。
ならば、心を折ることができる。
弾を使い切った銃を投げて拳銃に手を取る。
バンッバンッ!!
何度も撃つ。
「リーダー!?」
何人かが私を止める。
しかし、そんなことよりもこの男を殺すだけを考える。
「一番銃」
「わ、わかったわよ!」
彼女のサブマシンガンを3丁もらい一丁ずつ撃ち込む。
即座に弾倉を変えていきながらもう一丁を撃つ。
片手でリロード、曲芸として使うことはあったが、こんなところで使うとはな。
「2番」
「わかりました」
次の銃…
「3番」
「う、うんわかった」
次の銃
「4番」
「はい」
次の銃。
撃ち切り。
だが、
手榴弾を投げ捨てる。
ドォォッン
何度も何度も繰り返す。
だが、
「満足か?」
「折れないみたいだな、そこまでして私たちに肩入れする理由は?」
「戦力が足りないんだ」
「そうか、別を当たれ」
次は私のエネルギーを弾丸に変える。
「エネルギーバレット」
ドドドドドドドドォっン
凄まじい破壊痕が残る。
血だらけで苦しそうに咽せている。
「痛みはあるはずだろう?」
「あるさ、でもこれくらいなら…いくらでも」
続け様に何度も放つ。
「ねぇ、リーダー…」
「例えそうだったとしてもこの程度で折れる存在が私たちを守るなんて笑い話だ」
何度も何度も何度も
撃ち抜く。
「目的は?」
「世界に戦争を引き起こす…今の平穏を壊すことだ」
「ふざけるな」
再び弾丸を放つ。
落ちぶれたとしても平和のために戦ってきたのだ。
そんなくだらない理由で私たちを勧誘したと?
何度も何度も何度も心を折るために撃つ。
「私たちについて知ってるか?」
「元政府公認の特殊部隊『ピースセーバー』」
「正解だ、要するにお前の目的は私の敵だ」
さらに撃つ。
確かに私たちは政府に対する反抗はある。
しかし、今ある平和を壊してまでそれを行う意思はない。
だからこいつは私たちの尊厳を土足で踏んだのだ。
「わかっていて、なぜ私たちを選んだ?政府に裏切られたからなんでもすると?」
「は?そんな理由なわけないだろ…簡単だよ…誰よりも不幸なくせに世界を考えられる馬鹿達だからだよ」
「意味がわからないな」
まだ撃つ。
私のエネルギーも半分切ってきた。
「今は信じられなくてもいい、俺は君たちが必要なんだよ…そして、俺は世界を守りたい…だから戦争を起こすんだ」
「…」
気がつけば引き金を引く指が止まっていた。
その言葉に嘘は感じない。
そして、何よりも、この男は今、連続で与えられた痛みによって声を出すのも辛いはずだ。
それほどにまで彼の再生が今間に合っていない。
「なら、私たちを救えるというのか!私たちを平和で平穏で綺麗な世界に戻せるというのか!そんなこともできない者が世界を守るなどと謀るな!」
「…なら戻してやる…なら、与えてやる。俺と来い!」
立ち上がる。
私はそれに対して不思議と畏怖を感じた。
「俺はお前達を絶対見捨てない!」
信じたい。
だが、…それでも
「リーダーあんたが決めなさいよ」
「リーダーの決めたことなら」
「わ、私もいいよ?」
「私は彼を信じたい…かな?」
息を呑む。
そして、銃を向けたまま。
「別に平穏な日常は無くていい…ただ一つ」
「なんだ?」
私はゆっくりと口を開く。
「世界を美しいままでいさせてくれ」
残酷かもしれない、悲惨かもしれない。
だが、たとえそうだったとしてもその日常は唯一無二で儚くも美しいものであるから。
「ノーコメントだ」
こいつは正直ものだ。
嘘でもわかったと言えばよかった。
だが、なんと無く分かる。
ガタンっ
私は銃を落とす。
この男は私たちを優先するだろうと。
****
「やぁ、初代真実。珍しいね、そんな神妙な顔をするなんて」
初代真実は先ほどの5人を連れて戦争屋のところまで来ていた。
「こいつらを」
言い終える前に戦争屋が口を開く。
「彼女達があれなんだね?」
ゆっくりと頷く。
「確かに転生の輪の残滓が確認できた」
戦争屋はそう言って笑うと。
「今度こそ守るんだぞ」
そう言って去るのだった。
久々に転生の輪という言葉を出した気がします。
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私の励みとやる気に直結します!、




