とある夜に起きた戦い
裏から行くスタイルです。
ちなみに雪菜は自分にとってはサブ主人公みたいなキャラなのでこの視点はよく出ると考えて下さい。
私は今あの人達のところにいる。
昔のように…。
みんな元気で昔のように仲が良い。
私とは違ってみんなには記憶が無いのに…。
私には記憶がみんなと一緒だった頃の記憶が。
私はいずれ思い出して欲しいと思うと同時に思い出さないで欲しいと思っている。
彼に戦わせないために。
私は今、夜の中窓を開けて外に出る。
私にとっての敵が見つかったから。
あの日から私は必ずあの敵を、みんなを脅かすあいつらを倒すと決めた。
他でも無い私の手で殺ると…。
私はゆっくりと歩き敵の前まで行く。
「やはり、気付いていたのね。
ならば、話は早い。」
敵は少女と呼べる体躯をしており綺麗ではあった。
しかし、それとは似合わない大きな刀を持ち立っている。
ここは山の中、人気が無く少し派手なことが起きても誰にも迷惑が掛からない場所だ。
それにやはり敵も昔のまんま生きていた。
私は何処からか剣を取り出し対峙する。
ズドン、直後敵は動く。
この夜、人知れずして戦いは始まった。
************
「かはっ、はぁ、はぁ、はぁ
やっぱり、はぁ、届かないか。」
そんな声が夜の森に響き渡る。
しかし、その声を聞いたものは殆どおらず、聞いたものはといえば刀を持った少女しか居なかった。
そして、声の主はというと森の開けた平らな平野で倒れていた。
余談だが元よりここは山の高い辺りであり声が響いた所で聞くものが少なく、更には寝静まった夜中には誰も近づかない。
そんな場所で声の主は倒れているのだ。
大量の血を流しながら…。
そして、その声の主は聖十院 雪菜であった。
その近くには彼女が使っていたと思われる剣が転がっていた。
「それでも、あなたはよくやった方よ。
まさか、今のご時世に私に一太刀浴びせる人はいないと思っていたわ。
まぁ、私が鈍ったのもあるのでしょうけど…」
刀を持った少女は笑いながらそう言うと刀を振り上げる。
「まっ、私達の邪魔になる以上放っておく訳にはいかないからね。
悪く思わないでよ〜。
あなた達は元から殺す予定だったから」
その言葉に雪菜はピクリと反応を示すと、再び起き上がろうともがき始める。
「じゃっ、さようなら…」
振り下ろされる瞬間、雪菜は見た。
一人の男が彼女の刀を弾く瞬間を…。
カンッ!
といった甲高い音が嫌に響く。
そこで初めて雪菜は感じる。
生きていると…。
雪菜自身、生まれてから生きていることをどうでもいいことに感じていた。
しかし、この時雪菜は後悔と焦りにより思考が安定していなかったのもありそう感じてしまったのだろう。
しかし、この時焦ったのは向こうの少女も同じである。
突如として邪魔が入りおまけに簡単に弾かれてしまったことから驚いているようだ。
「あなた…何者?」
少女は突如現れた男に問いかける。
それと共に男の容姿がハッキリと見え始めた。
体格は大柄でちょっと強面な三十代くらいの男(悪くいえばオッサン)が少女より少し大きめの刀を持って対峙していた。
「ただの中年のオッサンだが何か?」
男は頭を掻きながらめんどくさそうに呟く。
「ただのオッサンが来る場所じゃないと思うけど…。」
「オッサンだって偶には夜風に当たりたいんだ。
それにオッサンもチャンバラに混ぜてくんねーか?
得物も同じなことだし…」
少女はその言葉で敵と判断したのか斬りかかる。
距離は約百メートルその距離を少女は約0.4秒で駆け抜ける。
大体、音速と同じくらいの速度で動く少女は普通なら捉えられない。
普通なら…。
男は少し後ろに下がり刀を抜き構える。
「『六色七斬流』『一挙重斬』の型…。
基礎『音砕き』」
彼は少女が男の場所まで辿り着くギリギリのラインまでゆっくりと溜めながら呟く。
最終的に行った構えは刀を両手で持ちながら刃の部分を下にして剣先を下に落とした、更には体を横に向けており、相手とは逆の方に剣先がある形になる。
しかし、先程記述した通り刃を下にしてあるため下から上の斬撃が非常に行いやすい体制である。
そして、少女が辿り着く瞬間になる。
直後、この場にいた誰もが何が起こったか分からない状態に見舞われた。
それを行った男以外は…。
少女の刀は綺麗に三等分に斬られており更には肩から腰にかけて斜めに斬られた跡がある。
「嘘…。
音速より速い…?」
少女は呟く。
少女が言った通りである。
速いのだ…。
斬撃の速度は容易に音速を超えて少女に向かっていった。
しかし、その斬撃は少女の肌を傷付けるまでにしか至っていなかったのが少女にとっての救いであった。
「少しタイミングが早かったな。
やっぱり、この刀じゃ『風狩り』とは間合いが違うな〜。
仕方ないか間に合わせに素人ながら作ったものだからな。
でも、許可無しに作るのって犯罪だったような…。
それ以前に銃刀法違反か。」
このタイミングで常識を語る男は正直滑るのだが、誰もその言葉をしっかりを聞かずに呆気にとられていた。
少し経つと少女は後ろに飛ぶ。
彼女は手の平を男に向けると突如として火の玉いや、正確には火の弾丸が放たれる。
「確かに能力値量から考えてもそっちの方が有利に立てるな。
けど、今のお前の技能じゃ俺には通じない。
壱『点狩り』」
そして、再び男はゆっくりと溜めながら中段の構えになる。
そして、いつ振るったのか分からない程の速度で火の弾丸を切り刻んだ。
その一挙動が終わる頃には彼は少女の前にまで踏み込んでいた。
そして、刀は少女を貫くと思われた。
しかし、少女は仮にも音速で動けるだけの身体能力と動体視力を有している。
予想はしていない行動とはいえでも刀が振られる速さ以外はいって亜音速より少し遅い程度である。
少女にとって避けるのはお茶の子さいさいな速度だった。
しかし、少女にとって不快なことがもう一つ起きた。
貫かれるまでは無くても一瞬、刺されたのだ。
その時少女は言い知れない恐怖を感じ全速力で距離を置く。
『点狩り』この技は通常の斬りとは違い一点に定めた技である。
通常派生から考えると突き以外その技は使うことができないが身体の動かし方、力を込めるタイミングを合わせることにより斬撃の威力を場所によって変えることが出来る。
しかし、常識を外して考えても人間技では無いことは確かである。
要するに少女を刺したものはただの人間がいくら頑張って出すことが出来ないような衝撃波である。
「とんだ化け物が今の世の中にも紛れ込んでいたなんてね…」
少女は皮肉気味に呟く。
「ハハッ、まるで昔にもいて会ったことがあるような言い方だな。」
少女の見た目からして大体10歳くらいである。
その見た目から言われても説得力が無いのも確かである。
しかし、この場にいた三人はその瞬間には分かっていた。
「ひょっとして、あなた達二人には前世と呼ばれる記憶を持っているのかしら?」
「答え…る…とでも…」
「さぁ、どうだか?」
雪菜と男はそれぞれの反応を示した。
雪菜の場合は意識を保つのもやっとな状況のため切れ切れになってはいたが…。
そして、男は何処か挑発するような言い方で言葉を放っていた。
いや、実際に挑発をしている。
「なるほど、通りでそこの嬢ちゃんとは戦ったことがあると思った。
しかし、能力的には弱くなっているみたいだし殺すのは容易そうだね〜」
少女は納得したかのように呟くと刀を構える。
「それはそっちも同じだろう?
お前の場合は技術が退化しているだけだがな。」
男も呼応するかのように刀を鞘にしまった。
「さてと…」
「んじゃ…」
「「ここからが全力だ‼︎」」
直後、嵐にも似たぶつかり合いが始まる。
************
「チッ、逃したか…」
男は先程まで戦っていた跡地を見ながら呟く。
「すいません、私があの時しっかりとしていれば殺すまではいかなくても相手を弱らせることが出来たかも知れないのに…」
雪菜は下を俯きながら謝罪していた。
「大丈夫だ。
雪菜の嬢ちゃんは何も悪くない。
どちらかというと、相手の方が一枚上手だっただけだ。
雪菜の嬢ちゃんはよく頑張った方だ。
あんな短時間であれだけ酷かった傷を動けるくらいにまで治して加勢したのだから。
ナンバー2は伊達じゃないな。」
「いえ、今はあなたの方が凄いです。
今の私と同じ制約を受けているのにあそこまで戦える方が凄いです。」
雪菜がその言葉を放つと男は苦笑いしながら呟く。
「いや、俺の場合は少し違うな…」
「えっ、何がですか?」
雪菜は男が言った言葉に対して聞き返すがその時には男は森の中へと歩いて行った。
取り残された雪菜はゆっくりと頭を下げて新しい家への帰路に着く。
今、深夜二時。
まだ、バレないギリギリの時間だ。
しかし、男は一度も言っていなかった。
自分の能力が制約を受けている不満を…。
「やっぱり、みんな同じなんだ。
彼にだけは思い出して戦って欲しくないのは…」
この回に出てきた男はいずれ必ず出しますがメインではないです。
唐突裏でしたが次回は多分日常パートになります。
あと、更新遅れて申し訳ありません。
読んでくれている方がいたら幸いです。
いなかったらこの言葉意味ないような…。
2018.5.26より多少の書き換えと改行を加えました。




