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終り

(これで、あのクソ女も満足かな)


広い空間。何もない。

エマを閉じ込めていた空間を思い出させる。


こんな感じなのか。


僕の持つ仙術の中で、唯一僕が忌諱している仙術だ。


なぜか生まれた時から、一から十まで、完璧な知識があったこの仙術。絶対に使わないと思ってたのに、まるで全部見透かされていたみたいで腹が立つ。


上手く行ってるみたいだね。


『廻典・終りと始まりの可能性』

―不死になる仙術。呪いだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


乱暴に目から流れていた涙を拭って、地面に落ちる一冊の本を拾い上げる。


―分かる。

これが、兄さんなんだろう。

この、本が。


私には、いや、兄さんが持っても大きいと感じるであろうサイズの本を落とさない様、両手でしっかりと持つ。


先ほどまでの会話を思い出す。


『ねぇ兄さん、死なない・・よねぇ』



今にも死にそうな兄さんを見て、心のどこかでどこか納得して、何となく知ってたから。死ぬんだな。って。

でも、兄さんに死んでほしくなかったから。

そう、口にしたら、何か変わるような気がして


だから、


『大丈夫』



その言葉に



『分かった』



私は、どこまでも安心できた。



そこからだ。


もう声を出すのも精いっぱいと言った様子の兄さんが、大きく息を吸って、


『廻典・終わりと始まりの可能性』


と、絞り出すように叫ぶと、兄さんが消え、そこに本が残った。




地面に座り込み、膝の上で本を開く。


―うん、間違いない。この本、兄さんだ。


『見える?』


頭の中に直接浮かぶように見える文をみながら答える。


―だってほら、兄さんの言葉だけだもん。こんなにも安心できるのって


「うん!」

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