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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
隣世界の冒険者
98/218

ゼツヤの怒り

 約一年経過。


「ゼツヤ」

「どうした?バスター」

「新ダンジョンが発見されたぞ」

「ふーん」

「かるいな」

「いや、俺はもうすでに新ダンジョンを三つ発見してクリアしたからな」

「お前は常に先をいくんだな」

「オラシオンだからな」

「便利だな。その言葉」

「そうだな」


 おそらく、ゼツヤのみが使える便利ワードである。

 まあそんなことはいい。

 結果的に、今のところ三つクリアだ。


「それとな。俺とミズハの二人だけでクリア出来るレベルだったんだからな。大人数で挑めばどうにかなるのは考えなくても分かる」

「一位と四位がなにいってんだか」


 知らんな。


「多くのプレイヤーがもっと強い武器をくれっていってきているぞ」

「まだオーダーメイドやるのか俺……」


 飽きました。


「他の生産職はなにをやっているんだ?」

「必ずどこかのギルドに入っているな」


 まあ需要はすごいだろうからな。ここに来る前のNWOでもそうだった。

 強い武器をてに入れる方法は、ドロップか、もしくはプレイヤーメイドしかない。

 ゼツヤの製作する武器は、ドロップアイテムをすべて越えている性能なので、今持っているよりも強力なものをてに入れようと思ったらゼツヤに頼むしかないのだ。


「まだリトルブレイブスや生徒会長ならいいけどさ。何でタダ働きを半年以上もやらせる連中にこれ以上武器を作らなければいけないのかと思うんだよ。俺は」


 はっきりいって怒っている。


「まあそれもそうだけどな。そういった人たちの言い分では、『クリアのために全目面的に貢献するべし』とのことだよ」

「俺は善人じゃねえぞ……まったく」

「しかも、今ではショートカットできるからね。それもあると思うよ」

「言いたいことがわからない訳じゃない。でも納得した訳じゃないさ」

「クリアはしているんだがな」

「俺の剣だって今は俺が所持している訳じゃない。二年生や三年生が年功序列とか言い出して結局預けているんだ。だから、今は創造モンスターによる高速の遠距離移動はできない。俺が自分の足で見つけたんだ。俺より条件がいいのに俺以下の貢献度なんだぞ。納得できるわけがない」


 いくらなんでも頼りすぎだ。オラシオンはそのためにあるのではない。


「俺はあの剣以上のもの何て作れない。作れるはずがない。だから、今出来るもので戦ってる。そして、みんなが使っているものは、平均すると俺よりも性能がいいものを使っているんだ。もうそうなると、オラシオンだとか、元々プレイしていたとか、そんなことは関係ない。単純に俺に頼ることばかり考えてる。俺は認めない。絶対に」

「なるほど。俺では反論できないな」

「そう言うことだ。ほしかったら俺以上の貢献をしろと言うことだ。できないのもわかっているがな」

「たちが悪いね」

「俺は今本気で怒ってる。同じ学校の生徒だから今まで我慢していただけだ。それももう限界だ。見限るのに困らない連中に恵むものなんてない」

「言い過ぎとも言えないな。ゼツヤ。君は、もし学校の生徒全員が敵になったとして、君は勝てるのかい?」

「ミズハやお前が敵になってもまとめて倒してやるよ」

「それはもうなにも言えないな。まあ、今日は話に来ただけだ」


 バスターは出ていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「これは重症だな」


 バスターは考えていた。


「さすがにあそこまでいっているとは思わなかったな。ある意味当然なのかもしれないが」


 ゼツヤの実力は誰が見てもトップクラスだろう。だからこそ、頼る。

 だが、どうでもいいときに好きなように頼るというのは、割りが合わない。だから納得できないのだ。


「バスター君。ゼツヤ君。どうだった?」


 ミズハが聞いてきた。


「はっきりいって怒っているな。俺でも説得はできない。ゼツヤは、義務感で戦っていた訳じゃないんだ。同じ学校の生徒だから作っていたんだ。だが、もう我慢の限界らしい。見限るのに苦労しない人に恵むものなんてないってさ」

「そこまで……」

「ミズハがいなかったら状況はさらに悪かっただろうな」

「最近、ゼツヤ君怖いもん。私には何もないけどさ。この前、シャイン……だったかな。その人がゼツヤ君に悪口を言いまくっていたんだ」

「ゼツヤはどうかしたのか?」

「本当に怖かった。三日間。休みなしで、デュエルで倒し続けてた。デュエルができないような精神状態ではなくなったとき、それでもデュエルの設定もせずに倒し続けていた。シャインさんのギルメンもまとめてね」


 本当に恐ろしいことになっているな。シャインはそこまで弱くはない。バスターには負けるが、それでも基準から考えると強い分類だろう。そのシャインが心を粉砕されたか。


「ゼツヤは頼られるのがあまり好きではないからな」

「そうなの?」

「頼られた先にあるのは責任だけだからだ。それだけだよ」


 特に生産職は、その責任がかなり重い。

 NWOではよくあったことだが、ボスの攻略に失敗したとき、責められたのは結果的にスミスだった。もしもほんの少しでよかった場合、その少ない数値分ステータスが高ければ攻略可能だったのだ。生産職。特にスミスは、それは重い。

 多くのプレイヤーは、NWOが新たな世界だと思っているため、依存度の問題で話が大きくなるのだ。


「はぁ。考えないとな。ゼツヤを敵に回すのは本当にやめておきたい」

「私も」

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