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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
隣世界の冒険者
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エリア拡大の必須なのはAGIなのだろうか

 さて、エリア拡大を優先する。言い換えるなら、ワープできる場所を増やすということになる。

 ゼツヤは現在。巨大な鳥の上にいた。無論。創造モンスターである。後ろにはミズハが座っていた。


「エリア拡大でAGIにものを言わせたプレイヤーがけっこういたけどさ……」


 下を見る。

 そこでは、プレイヤーがどこかで見たことのあるようなユニフォームで走っていた。


「最早マラソンだな」

「そうだね」


 そう。もうすでにマラソンなのだ。

 確かに、入賞すれば景品がもらえると言われて、どのみち進むだけなのだから競技にしたり、走ることを遊びにした方が断然面白い。それはいいのだが、明らかにマラソンになっている。


「AGIを増加させるアクセサリーをくれってたくさん言われたよ」

「規定のユニフォーム以外では参加できないからね。結局は無駄足だったかな」


 ミズハの言う通りである。


「そう言えば、景品って何なんだ?」

「ゼツヤ君が作った何か。らしいよ」

「何そのまたオーダーメイドを作らされそうな雰囲気」

「間違っていない気がするよ」


 苦労人になる運命なのか?俺。


「さて、ミラルドがものすごく速いな。ていうか参加していたんだな」

「今までは忙しそうだったから頼まなかったし、活動できるエリアが狭くて素材がなかなか集まらなかったから遠慮していただけみたいだよ。それまでは、ミシェルちゃんが作ってたんだって」


 どうでもいいが、ゼツヤはミシェルが沖野宮高校の生徒なのだということをこの世界に来て初めて知った。情報網の狭さは自分で理解しているつもりだったが、ここまで狭いとは思わなかったな。


「まあ、何はともあれ、エリア拡大が優先されたのは事実だしね」

「まあそれは俺としても都合がいいからいいんだけど、景品くらい自分で用意してほしいな」

「ゼツヤ君がすごいものを作りすぎて、他のプレイヤーが作ったものだと納得しなかったんだよ」


 それはスミマセンでした。

 確かに、エリア拡大は進んでいる。ゴールを次の街にして、全員が所定の位置についた後に一斉スタートだ。NWOが用意してくれているモンスターたちも当然出現するので、早く行った方がいい。

 そもそも、この競技は遅いものは不利である。

 理由はいろいろあるが、一番の理由は、前のプレイヤーに対して出てきたモンスターを押し付けられるからだ。典型的なトレインである。


「しかし、ここまで壮絶なことになるとはなぁ」

「生徒会長にメールで確認したけど、優勝者にはゼツヤ君がオーダーメイドを作るんだって」

「やっぱりな。言ったとおりだ」


 結局こうなるのか。指定されるアイテムによってはかなり面倒な素材もあるのだ。その場合は、ゼツヤが所持しているNPCを引っ張ってくることにしよう。


「しかし、エリア拡大が始まって一週間。かなり広がったし、その間も情報ギルドの中でもマラソンでトップに立てない連中は情報集めをしているみたいだが、このゲームのクリアに関する何かは発見できていないみたいだな」

「となると。NPCは何も知らないという方が正しいね」

「ああ、実装されていなかった災害だったり、そう言ったものがほとんどだろう。一体どれくらいの数があるんだろうな」


 忘れがちだが、NWOの全マップは地球に匹敵する。普通に考えて、日々マラソンしているだけで達成できるのか。普通に無理な話である。


「なんていうか、いやなゲームだね。こうしてみると」

「でも面白いけどな。さて、ミラルドが独走か。あれは最近変わらないからな」


 マラソンは何回か行われていたが、ゼツヤのオーダーメイドは今回が初めてである。

 そのため全員が気合を入れている。ゼツヤはすでにギルドに所属する気はないと言っているし、今の雰囲気でオーダーエイドをばかすか頼むことはできない。そのため、こうしたイベントでは優勝を狙うのである。

 だが、そもそもの地形や、モンスターについて分かっていないとどうにもならないのがNWOなのである。そして、そもそも敏捷値が低いプレイヤーはトップに立つことなどできない。

 そのため、優勝者は連続出場はできないように生徒会が決定した。準備がいいことである。


「新しい感じになったのか嬉しいけど、これもこれでなぁ」


 ゼツヤは無論日本人だ。駅伝とかはいまでも、正月に行われているし、沖野宮高校では三学期にマラソンが授業である。だが、ユニフォームは普通でも、何かよくわからない色の髪だったり、ホウキ頭だったりしていると、見る方にとってはすごくシュールな光景だ。


「まあ、それは言ってはいけないな。うん」


 結果だけを言うなら、どうにでもなれ。と言うことである。


「さて、優勝者は誰だろうな。やっぱりミラルドか」


 でも、もし、エクストリームメンバーがいたらユフィが優勝になるんだろうなぁ。と思いながらも、方向音痴だから迷うかもな。とも思うゼツヤだった。

 少々。肌寒い季節だった。

 プレイヤー達は、今日も走る。欲しい何かのために。

 醜い欲望のオンパレードは、まだまだ続く。

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