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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
隣世界の冒険者
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起きるわけねえだろ

 次の日。

 無論と言うかなんと言うか、ゼツヤは起きなかった。


「もはや眠りとかそんなレベルを越えているな。屍みたいだぞ」


 バスターはげんなりしながらいった。

 最近、生徒たちでギルドが乱立し、ギルド同士で競争が始まっている。

 リトルブレイブスは現在一位。まあそれはある意味で当然なのだが、それは今はいいとして、いざこざがかなり増えているのが現状だ。

 まあ、バスターは、ゼツヤが寝ていても困らない。

 バスター本人だけの話をするなら、何年もソロだったからだ。確かにゼツヤと言う、現在の到達できる町では購入できないポーションやアイテムを生産できるプレイヤーが眠ったままと言うのは不便な部分も出てくるだろうが、バスター本人のアバターにレベルが下がったわけでもないし、スキルが消えたわけでもない。しかも、大剣使いというのは、武器の威力以上にプレイヤースキルが必要である。

 結果的な話をするなら、バスターは問題ない。

 少々武器を荒っぽく使うので、メンテナンスが必要になるタイミングが早くなるのだが、予備があれば問題ない。

 あと、隠れスミスとして、リレイズの娘。ミシェルはリトルブレイブスに入っている。メンテくらいは問題ないので十分だ。

 NWOには、『武器その物を強化する』というシステムが存在しない。ゼツヤがしないのだからこれは絶対だろう。

 まあ、エンチャントで強引に魔法効果を増やしているらしいが、それはエンチャントによるものであって鍛治プレイヤーがすることではない。


「まあ今はゆっくり眠れ。そのうち起きればいい」


 バスターは寝室から出た。


「ゼツヤ君大丈夫なのかな」


 ミラルドが来た。

 以前はゼツヤの正体が竜一だと知らなかったのでさん付けだったが、今は君付けである。


「寝ずにずっと生産していたからな。まあ、そのうち起きるだろ」

「ゼツヤ君は頑丈だからね。いろんな意味で」

「違いない」


 現在ミズハは狩に出ている。ゼツヤが起きたときの料理のためだそうだ。


「しかし、ゼツヤが寝たら寝たで色々めんどくさいことになるんだな……」

「そうですね」


 生徒会長はギルドを作っていないし作る気もないらしいが、様々なギルドが現在競争中である。

 ちなみに何を基準にして競争しているのかというと、レイクである。

 ギルドストレージにレイクを貯めまくり、それで競っているのだ。

 ちなみに、もし全盛期のゼツヤが競争に加わったら、確実に負ける。超高性能アイテムを山のようにつくって、売る。それで完封だ。しかも、剣があるからそもそも生産する必要がない。


「ゼツヤ君も自主的に休みをとればいいのに」

「ゼツヤは休む前にめんどくさいことを全部片付けるタイプだからな。夏休みになる前に宿題全部終わっていたし……」


 あれは愕然としたものだ。


「なるほど。しかもゼツヤ君は、オラシオンだから、なにか責任でも感じているのかな」

「可能性は高い。ああ見えて妙なプレッシャーに弱いからな」

「子供……」

「そう言ってやるな」


 ゼツヤの貢献度は凄まじいものである。

 素材まで全部自分で集めているからな。入手できる場所知っているから。


「いくらなんでも頼りすぎだと思うけど」

「今さらだろ。まあ確かにそうだな。ファッションまであいつが全部作っているしなぁ。俺なら絶対にやりたくない」

「私もやりたくない。でも、服くらいなら、裁縫スキルがあれば簡単にできるのも事実だけどね。沖野宮高校の女子生徒はファッションに飢えているから、その分獣になるんだと思うよ」

「今現時点、この世界に来てからどれくらいたっているか覚えてるか?」

「半年じゃない?」

「そうだ。一般的な生産職なら、半年で稼げるレイクはどれくらいだと思う?」

「分からないね本職じゃないもん」

「ミシェルに聞いたが、景気がいいときは二千万レイクらしい」

「微妙だね」

「ネットゲームのアイテムは物価が高いからね」


 ブリュゲールがめんどくさい理由である。


「ゼツヤ君は?」

「今現時点、軽く見積もって四十億らしいぞ」

「工房一つで半年でそんなに稼ぐのってアリなの?」

「ゼツヤだからな。まあ、普段ならこんなことにはならないだろうよ」


 多いとか少ないとか(少ないと思うプレイヤーはいないか)全部越えて、ただ単に多い。それが今のゼツヤの稼いだものだ。


「リトルブレイブスは基本的に頼らない方針だけど、そのせいでアイテムが他より不足しているからね」

「今現在のゼツヤは全プレイヤー(699人)に対して無償提供だからな。ていうか、ゼツヤはいざというとき頼られるためにオラシオンを作った訳じゃないし」


 要するに、ゼツヤがミズハの誕生日に手紙に書いていた、ミズハがゼツヤのことをオラシオンだと知った場合に危惧したことが思わぬかたちで発生している。そう言うことなのである。


「まあ、ゆっくり休ませよう。後で生徒会長に話しかけてみる。ゼツヤだって、新しく色々追加されたNWOを冒険したいだろうからな」

「そうだね。そう言えば、生徒会長ってどれくらい強いの?」

「はっきりいって隠れ強者だ。本気出したら俺でも油断できない」

「……バスターさんってデュエルカップ二回戦負けですよね」

「ミズハに負けたよ。あれは対戦表が悪かっただけだ」


 しっかりと負け惜しみをするバスターである。

 ミラルドが一回戦負けだと言うことをすっかりと忘れていた。

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