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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
隣世界の冒険者
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やることが増えるのは運命なのだった。

 ゼツヤは理不尽なものを感じていた。

 確かに剣が戻ってきたので、かなりの生産過程を蹴り飛ばすことができた。それは事実だし、そう言うものである。

 だが、剣でもスキップさせることができないジャンルがある。

 それは『料理』と『裁縫』である。他にもあるのだが、需要が高いものを選出するとこの二つだ。

 料理はなんとなくゼツヤも納得しているのだが、裁縫はスキップさせることができてもいいのではないかと叫びたい。

 まあ確かに、この空間に来る前までは、裁縫や料理はそこまで大量生産するような状況はなかったので、あまり気にならなかった。

 しかし、


「不公平だろ。なんでこんなに服やら料理やら作らなくちゃいけないんだ?」

「美味しいし、ファッションにこだわりたいと思うのは女の共通項目みたいなものだからね」

「はっきり言うと、武器やポーションならやってもいいけど、他は基本的に全部自分でやってほしい」


 オラシオンだとおもいっきりバレてしまい、剣の能力も完全に暴露されてしまって、はっきりいって涙目である。

 だからと言って生産しなかったら、全校生徒のほとんどを敵に回すことになるのでそれは逆に無理。

 冗談抜きで忙しいことになっている。

 というか、沖野宮高校は女子生徒が多いし、リアルではデザイナーの減少から服ってかなり高いのだ。

 そんななかで、オラシオンのゼツヤは女子生徒からつくれつくれと言われ続けているのだ。


「作業見ていればわかると思うけどさ、フルダイブのゲームの裁縫って恐ろしくめんどくさいんだよ」

「私もそう見える」


 裁縫には自動化が全く存在しない。完全に自分でやらなければならない。しかも、ゲームだからなのか知らないが、ミシンがない。

 リアルならミシンがあるので(普通)そこまで苦労せずに作ることが出来るのだが、ゲーム内は本当にめんどくさい。単純作業の鬼になることが生産者のトップにたつことの必要条件とはよくいったものだが、誰がいい始めたのだろうな。……俺か。


「はあ、服くらい自分で作れよ」

「それも逆に無茶な発言だね」


 料理は裁縫ほど細かい作業が必要ではない。というか、細かい作業を連続で行う必要がないし、一度の大量にすることも可能と言えば可能だ。そのため、そこまで問題はない。


「裁縫なんてちょっと練習すれば出来るって、いやまあそんなことはいいんだよ。なんでなんの見返りもないのかって言いたいんだよ俺は」


 この空間に来てからもうすでに、内部時間で半年以上が経過している。活動範囲がそこまで広くなっているようには感じない。

 バスターは最近忙しくなったらしい。

 原因は、今までNWOをプレイしていなかったものが、新しくギルドを作ったのだ。それはすなわちギルドクエストを発注出来るエリアまで活動範囲が広くなったと言うことなのだが、そこまで遠くはない。

 新しいギルドが増えたことで、ギルド同士で競走が発生。まとめるのに苦労しているようだ。

 それが活動エリア拡大に繋がるといいのだがな。

 半年が経過したいまでも、まだクリア条件が見つかっていない。

 今までなかったクエストをクリアすればいいと誰かがいった。だが、地球クラスの規模があるNWOにある無数の町の、全てのクエストの情報なんてあるはずがない。何があって何がなかったのかなんて、だれにもわからないのである。

 ネイバーワールド。隣世界の名は伊達ではないのだ。

 まあ、はっきりいって困るのだが。


「休みがほしい。俺、休日なんてなかったぞ。元旦に雪掻きする人じゃないんだから」

「ちょっと例え方が間違っている気がするけどね」


 知らんな。それにしても、どうにかならんのかね。


「ていうか、俺以外にもマスターしている人いるよな。半年もこのゲーム無休でやってたら普通に熟練度たまりまくると思うんだけど」

「まあ確かにそうだと思うけど、やりはじめたらめんどくさいことになることをみんな理解しちゃっているからね。たぶんやらないと思うよ」


 理不尽だ。本当に。

 なんでこんなことになったのだろう。ポテンシャルが高いことがここまで不幸を生むとは思わなかったな。


「ゼツヤ君はなんでも出来るからね。しかも武器は生産過程をカットできるとみんな知っているから、たぶんしばらくはこれが続くと思うよ」

「もうすでに半年やってます。睡眠時間。累計4分です」


 リアルなら普通に終わっているレベルである。


「それって睡眠って言わないよね」

「その通りだ」

「今日の夜はねれるの?」

「実は今日のみ寝れるんだよ。起きたら一ヶ月くらい起きない勢いで眠いけどな」

「まあまあ、今日は一緒のベッドで寝てあげるから」

「……そうか」

「別に踏み込む訳じゃないからね」

「ミズハがそこまで踏み込まない性格だと言うことを俺は知っている」


 さて、爆弾発言はいつも通りと言うことにしよう。

 それにしても、寝るのって久しぶりだな。うん。

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