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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
隣世界の冒険者
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情報収集の結果

 とりあえず、始まりの町に転移したゼツヤ達であったが、調べていくうちに問題が色々あった。

 まず、ステータスがそのままということがあるだけで、この世界におけるすべての足跡がなかったことになっている。複製というより、再構成された世界と認識した方がいいという判断だった。

 あと、色々変更されていた部分はあったが、ゼツヤが見た感じでは、あるシナリオを発生させるためのものであり『変更』というより『追加』であるという判断だ。


「忙しい」


 ゼツヤはぼやいていた。

 ちょっとまえにデュエルカップ一位になったゼツヤだが、完全のステータスが足りない。生産においては変わらずできるので問題なかったのだが、かつてのものを取り戻すには、数年規模の時間が必要だろう。

 ただ、ゼツヤはランクの低い道具や武器を使ったことがなんかいもあるので、生産の腕で困ることはなかった。

 強くてニューゲーム。とはやや言えないものの、しっかりと貢献している。


「ゼツヤ君。今日だけでどれくらい作ったの?」

「ミズハか。そうだな。少なくとも100本くらいは作っていると思うぞ」


 沖野宮高校の生徒数は700人で、生産職、とくに鍛冶をするものは30人しかいなかった。

 リレイズの大量生産をやり易くする方法を聞いていたからこそやや楽になっていたが、もしそれすらなかったら思いっきりひどい目に遭っている。助かった。


「で、今日はどの辺りまでいくことができたんだ?」

「やっとチャネルだね。モンスターが強化されていたんだよ」

「やっとか、こっちに来てまだ5日。ペースがいいのか悪いのかよくわからんな」

「ゼツヤ君の存在がなかったらさらに二週間は延びていただろうって生徒会長がいっていたよ」

「バスターはなにをやっているんだ?」

「素材集めだね。あと、リトルブレイブスの運営」

「あいつもあいつで忙しいんだな」


 無理に急がなければいけないわけではないので、まずは適材適所を実行して地盤を固める。その後、本格的にやる方が効率がいい。


「しかし、色々と追加されていたな」

「うん」


 もとになっているのはNWOだが、NWOになかったからといってここには発生しない。というかんがは捨てた方が良さそうである。元々持っていないが。


「しばらくは私の方が強いね」

「ステータスが足りない上にネクストレベルが全然機能しないからな……」


 その部分は現在進行形で本当に困っている。

 今のゼツヤは、支援魔法がそれなりに使える器用者。といった方がいい。


「お、ここにいたんだな」

「バスターか。ていうか、ここ以外にいくところないしな」


 いまいるのは、始まりの町にある工房である。

 ゼツヤが作っているものは武器だけではない。防具だってポーションだって作りまくっている。


「しかし、ゼツヤからアイテムを除くとただの器用なモヤシだね」

「オブラートに包め」


 真実であるがゆえに強く言えない。


「て言うかなんで料理までしなくちゃいけないんだ?」

「旨いから」

「即答かよ」

「器用人は苦労するね」

「そっくりそのまま返すぜ」


 いろんな意味でバスターも器用である。


「しかし、クリア条件がさっぱりわからない状況だな」

「そうだな」


 予測できない理由があるとするなら、それは簡単で『NWOに、メインシナリオが存在しなかったから』である。このため、最終的になにをするべきなのかがなにもわからないのだ。そして、それではどうにもならない。この循環が続いている。


「嫌な設計だな」

「俺も同じことを考えている」

「私も思うね」


 その時、ミラルドが顔を出した。


「バスターさん!勝手に抜け出さないでください!」

「いやー、ははは」

「はははじゃありません!ほら、行きますよ!」

「え、ちょっと待って……」

「問答無用です!」


 バスターが引きずられていった。


「三回目だな」

「そうだね」


 もはやフォローする気すら失った。


「最近ああいうやり取りが多いらしいよ」

「……もしかしてミラルドって」

「可能性は十分にあるね」


 この時ミズハは『何で自分以外ならすぐにわかるの?』という疑問を捨てることができなかった。言うこともなかったが。

 まあそれはともかく、今現時点必要なのは情報である。これは間違いない。

 本当に情報がないとなにもできないからな。


「高校生が率先して情報屋何て目指すかな……」

「必要なのはわかるけど、あまりいないよね」


 実は全くいないのだが知るはずもない。


「て言うか生徒会は今なにやっているんだ?」

「周辺調査。あと、生徒会長はバリバリに戦っているみたいだね」

「生徒会長、女だよな」

「そうだね。しかもルックスもいいよ」

「沖野宮高校の女子は強いな。か弱い娘がいない」

「どういう意味?」

「たぶん言葉通りだ」

「ほう、それはどういうことなのかな?私にも聞かせてくれ」


 振り向いた先には、長い黒髪をなびかせながら黄緑色の服を着て、腰にレイピアをつった人がいた。

 生徒会長・霧雨美羽(きりさめみう)であり、『クシル』である。

 テラリアと似たような雰囲気である。

 成績優秀。容姿端的。料理抜群。運動オンチの生徒会長だ。


「いつかそこに?」

「六時間前からだ」

「嘘ですよね」

「事実だ。実はこう見えて、隠蔽スキルはマスターしている」


 テラリアと同じだと思っていたがすごい違いだ。

 隠蔽スキルをマスターしているのなら、索敵スキルのないゼツヤでは発見は不可能である。


「生徒会長。外で暴れていたんじゃないんですか?」

「一応アイドルなら口には気を付けてほしいものだが、まあいい。普段は確かにそうだが、こちらの知識が乏しい現状では、実際にいった方が効率がいいのだ」


 その意見に反論する気はないが、もうちょっと事務的なことをした方がいいのでは?


「まあ、それはいいんですけど。会長。嘘ついていますよね」


 ピクッと眉が動いた。


「どういう意味かな?」

「情報が乏しい中、なぜまず戦うことを選ぶんですか?」

「それはもちろん生徒会長として……」

「単刀直入にいいます。会長。NWOのプレイ歴ありますよね。しかもかなり」

「……なぜ分かった?」

「俺はクエストだってアイテム関係なら大概知っていますよ」

「このレイピアを知っていたのだな。だが、あのクエストは女性専門のはずだぞ?」

「こう見えて顔が広いので」

「なるほど。私の敗けだ。こう見えてプレイ歴10年だ」

「同じかよ!」


 なんか妙な接点があったな。


 今日も平和である。

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