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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
クラスメイトで団結しよう。主人公除く。
9/218

本拠地攻略開始。

 中で合流したゼツヤ達は、ワープポイントに向かっていた。

 そのあいだ、ゼツヤは今回に深くかかわるシステムについて思いだしていた。


 NWOにおいて、『モンスター非出現地帯』は存在するが、『安全エリア』と言うものは存在しない。


 町や村の中なら、確かに『モンスターは出現しない』が、『プレイヤーのHPは減る』のである。無論、町の中でHPは無くなったら、『始まりの街』の復活ポイントに戻ることになる。

 そう言うところがシビアなのだ。

 補足すると、ありとあらゆる『防御システム』は、街の中であっても実装されていないのだ。他のゲームの中には『ハラスメント対策』のようなシステムも存在するであろうが、NWOには存在しない。


 さて、話を戻すと、ギルドホームと言った場所であっても、『頑丈な鍵』はあっても『開錠不可能な鍵』はないと言われている。いや、言われていた。か。ゼツヤは作ったからな。まだ売ってないけど。


 それは、ホームの入り口も、各部屋も、何より『ホームボックス』も、完璧ではないのだ。

 そう言った保護システムを実装しようという声は上がったらしいが、『空き巣』に対応するということの必要性を語っている気がしないこともないとゼツヤは思う。


 それはつまり、そのように『空き巣』のようなこともできるし(出来ると思うけどしたことはない)、正面突破でギルドホームに攻め込むこともできる。

 一昔前に何か携帯ゲームでそんな感じに宝石を奪い(と言うより盗み)合うゲームがあったような気がしないわけでもないが、それはいいとして、絶対安全ではないのだ。

 だからこそ、NPCだったり、召喚獣(ここでは説明しないが二種類存在する)だったり、あるいは留守番のプレイヤーがいたりする。

 ブリュゲールはそのあたりはしっかりしていると思う。無駄に。まあいいけど。


 これはどの部屋であってもそうである。ギルド内でさえ、他のギルドメンバーの部屋に勝手に侵入できるのだ。ハラハラドキドキである。悪い意味で。


 そんなシステムが存在するため、すでに売られているか、それとも破損して消滅していない限り、大体はギルドにおかれている。

 今現在、フィールドで使用中と言うこともあり得るだろうが、実は、オラシオンシリーズにおいては保管されている場合の方が多いのだ。

 なにせ、手に入れる手段が極端に少ないのである。飾っておくだけで、ギルドの評価はまあ上がらないこともないだろう。断言はしない。



「さて、行くか。『ワープ セリュオス』」


 ゼツヤが言うと、12人全員が転移した。


 セリュオスはハートストリートと言うホラーエリアに存在する。無論。他に街とはかなり異なった外見だ。

 あたりはかなり暗く、さらに、レンガ状の建物はすべて崩れているかのような印象を受ける。ちょっと叩けばくずれそうだが、これでも『破壊不可能オブジェクト』だから不思議だ。

 高い建物が存在せず、また、『NPCが1人たりともいない』まちである。

 トッププレイヤー達は、『終わりつつある町』と称しているが、それも間違えてはいないだろう。


「なんか暗い雰囲気だな」


 誰かがポツリと言ったが、ゼツヤも同感である。


「ちなみに言うと、ここにはクエストの出現地点もなければ、今までにイベントすら開かれなかった。何もない街と言っても過言ではないよ。まあそれはいい。ギルドホームに行くとしよう」


 ゼツヤを先頭にして進んで行く。

 すると、一軒家が見えた。ボロボロなのに変わりはないが、看板のみが新しい。

 そして、門の前にはプレイヤーが立っていた。どちらもやや緑色の装備であり、ブリュゲールのギルドマークが鎧に刻まれている。


「ここがブリュゲールの本拠地」

「そうだ。まあ、中の構造は俺も知らないし、どうなるのかはかなりぶっつけ本番だからな」

「でも。ダガーのためです。行きましょう」


 うまくいくといいけどな。とゼツヤは思っていた。

 だって、常識的に戦力が足りないもん。


 門番の前に来る。


「なんだ貴様たちは!」

「なに、ちょっとこのギルドに知り合いがダガーを強引にとられたようなんでね。取り返しに来たんだ」

「何をふざけたことを。それに、それが本当だとしても、何も問題はないだろうが!」


 そう、問題はない。プレイヤーに全てが委ねられているNWOは、何をしても自由なのだ。


「確かにそうだな。むしろ、奪うにしても奪われるにしても、ルール上は全く問題ない。というか、NWOの一つの醍醐味と言っても過言ではないだろう」

「そう――『だが』なんだ?」

「取り返すって言うのも、自由なんだぜ?このゲームではな」

「ブリュゲールの本拠地に来てそんなセリフを吐くか!」


 はい、バカ確定。このホームが本拠地だと完全にばらしている。


「さ、知りたいことは全部分かったことだし、さっさと行くとしよう」


 ゼツヤは剣を構えなおす。番人たちも槍を構えた。


「言っておくが……俺はレベルカンストだからな?」

「はっ?」


 次の瞬間。右側にいたプレイヤーはHPが消し飛んでいた。

 ゼツヤの一閃によって。


「そ……そんな馬鹿な。あいつは、レベル83だぞ……」

「さっきから口が軽いぞ。まあ、お前もそのくらいのレベルだってことだな」


 心臓を貫く、NWOのアバターは、本来の人間における急所に攻撃が当たった場合、追加ダメージが発生するのだ。そのままHPを消し飛ばす。


「ま、こんなもんか。さてみんな。行くぞ」

「あ、はい!」


 あわててみんなが付いてきた。


 一軒家の中に入ったが、見た感じ広くはない。

 しかし……。


「よっと」


 床をふんずけると、そのままその前にあった板が持ち上がった。


「やっぱり隠し通路になっていたか」

「ゼツヤさんって本当にすごいんですね」

「いや、俺以上にチートな奴もいるからな」


 あくまでステータスにおいてだが。


「まあいいとして、進むか」

「はい」


【地下1階】


 いきなりホラーな雰囲気の場所だった。


「ここって、本当にホームなんですか?」

「まあ、カスタマイズの仕方によっては、ダンジョンみたいに見えてもおかしくはないけれど、ここまで凝った作りとはな……」

「不気味です。でも、ホーム内なら、モンスターは……」

「バッチリ出てくるな」

「え?」

「見てみ」


 みると、身長3メートルはありそうな骨の騎士がいた。巨大なマントも羽織っており、体は骨だが細いイメージはわかない。そして、右手だけで、両手剣クラスの剣を持っており、左手には立派な盾があった。

 が、2体いた。


「何ですかあれ!?」

「話は後だ。さっさと倒すぞ」


 全員が剣を構える。

 まあ、目の前にいるモンスターのレベルは75。勝てないものが多いのだが……まあそれは考えても仕方がない。


「1体をさっさと倒すからその間耐えていろ」


 片方に向かって突っ込んだ。

 真横に一閃してくるのをしゃがんで躱して、そのまま全身をばねにして骨の騎士に攻撃する。が、盾に阻害された。


「まあ、この装備じゃこんなもんか」


 ないものねだりはしてもいいのだが、それは戦闘後である。


「さーてっと、やるか。『ジャッジメント・レイ』」


 左手から魔方陣が出現し、閃光が骨の騎士を襲う。

 盾では完全に止められなかったようで、かなりのダメージがあるようだ。

 まあ、結構強力な魔法なので、通用しなかったら困るのだが。


「あとはもう軽くやるか『エンチャント ライト アタックブースト』」


 黄色と赤のオーラがゼツヤを包む。すぐに消えたが。無効化されている訳ではない。

 そのまま突進し、剣で『×』を描く、すると、剣が白く光りだした。

 骨の騎士の懐に入ると、6つの方向から斬撃を叩き込む。


 アクションスキル『ライジング・リボルバー』である。6連撃だ。


「終わった」


 しかし、アイテムも経験値も出現しなかった。


「まあいいか、予想通りっていうか、これがここでは普通だしな」


 すぐに残りに加勢して、骨の騎士を倒しておく。


「1戦目が終了か」

「はあ、それにしても、ホームにいてもモンスターって出てくるんですね」

「いや、あれは召喚獣だ」


『召喚魔法』と言うカテゴリがある。文字通り、モンスターを召喚して命令することが可能で、こういった手段で出てくるモンスターなら町の中でもいるのだ。


 2種類いる。まあ、材料が『MP』か『経験値』か。それだけだ。


 MPの場合は、やや戦闘力は落ちる。そして、戦闘で例え負けたとしても、相手にとって何にメリットにもならないと言うものだ。因みに、時間経過で勝手に消える。

 経験値の場合は、やや戦闘力は高い。しかし、戦闘で負けた場合は、その経験値が持っていかれてしまうのだ。因みに、ずっといる。


 その2種類だ。


「では、近くにプレイヤーがいるのでしょうか」

「いや、まあ発想は間違っていないんだが、『召喚魔法が使えるスクロール』と『遠隔操作の装置』があれば可能なんだよ。ちょっと実験するな」


 ストレージから、と『魔法の入力済みのスクロール』と『マジカルストーン』と『謎のレバー』を取り出す。


 スクロールを床に置いて、マイカルストーンを砕いて粉上にした後、スクロールのふちにかぶさるようにして垂らして、あとは道しるべのようにしてちょっと離れたところまで行き、あとはそのマジカルストーンの粉……『マジカルパウダー』に重なるようにレバーを置いた。


「いろいろ考えればもっと複雑にできるんだが、基本的にはこんな感じだ。簡易セットだけど、店でそろえようと思ったら……たぶん8000レイクくらいになるからな。このレバーが高いからな」


 まあそれはいい。


「で、これが簡易的な装置だ。誰かこのレバーを倒してみな」


 男性のプレイヤーが傾けた。すると、そのパウダーの帯が光りだし、そして、スクロールが発光する。

 次の瞬間。スクロールから魔法が発動された。少々大きな火炎弾だ。それが、スクロールと垂直に跳んでいった。


「まあ、こんなもんだ。分かったか?」

「あ、はい。よくわかりました」

「補足すると、このスクロールにおいている部分をいろんなアイテムに変更すれば、それはそれでバリエーションが豊富ってことだよ」


 忍者屋敷状態になっているプレイヤーもいるくらいだと聞く。こういったギミックアイテムと言うのは、ホームを持った者にとっては重要である。


「ま、モンスターの出現+罠口座も終わったことだし、進むぞ、ああ、なんか他と作りが違う場所があったら、一応見ておくといいぞ」


 そんなことも言いながら進んで行く。


 この時、想像だにしていなかったことが起こることは、ゼツヤ達も知ることはない。それが分かるのは、最深部だ。


 ブリュゲールの本拠地は、だてではない。……広さが。

やや長くなるかもです。この攻略。

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