表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
短編集
86/218

  雪山が寒いのは誰もが知っている。

 さて、グレイテストマウンテン。雪山エリア。

 ここからはずっとそれが続く。

 圧倒的な環境が敵である。モンスターは山頂以外には存在しない。


「さむい~」


 レムが本日41回目の言葉をいった。ちなみに全部これである。


「そりゃ雪山だからな」

「防寒エンチャントが無効化されるとは思わなかったな」


 そう、全員かなり厚着である。逆に厚着で来ない方がおかしいのだが、とにかく厚着である。レムなんてもう厚着しすぎて逆に形がないくらいだ。


「しかし、クラリスの防寒エンチャントが無効化されるって、とんでもない地形だな」

「要するに寒がってくださいってことだろ」


 言葉が全員ちょっと少ない。

 だが、そんな中。


「そうかな~」


 天然の魔女(能力構成が氷属性魔法に特化)であるミナトは、リアルで冬に町の中で着るくらいの服装で平然と歩いている。信じられん。寒さを感じる感覚が麻痺しているんじゃないか?


「セルファ。どう言うことなんだ?」

「日常茶飯事だ。ミナトは冬の夜でも薄着で雑魚寝する」


 凄いな。


「ただその分風邪薬代がな……」

「からだの方は普通なんだな」


 本人が認識しないだけなのだろうか。


「なんと言うか、ことばにできないな」

「毎年そうだな。ただ、風呂上がりに体をふかずにそのまま雑魚寝していたときは本気で凍死するのかと思ったぞ」


 誰でもそうです。


「将来的に大丈夫なのか?」

「私がどうにかする」


 頑張れ。


「まま~。さむくないの~」

「ママは強いからね~」

「でもみんなさむそうだよ~」


 それが普通だっつうの。


「……」

「……」

「テンションアップ担当の二人が完璧に沈黙しているぞ」

「サーガ!お前はどうなんだよ!」

「そうだぞ!俺は一刻も早くかまくらで休みたい!」


 シャリオの言い分は理解できるが、シュライン。君はもうちょっと根性出しなさい。


「ていうかさ。去年は常夏の町での海だったじゃねえか。何で今年は本格的に寒いんだよ」


 シュラインが愚痴をいっている。


「お前去年暇そうだったからな。今年は本格的にしようとして僕が計画した」

「リオ!てめえの仕業か!」


 そうなのです。

 去年は楽しかったな。ゼツヤはビーチバレーしたり砂で小さな建造物やらを作りまくったものである。

 皆からは『泳げよ』と言われた。当然である。


「はぁ。モンスターがでないのは救いか」

「こんな状況では是非とも出てきてほしくないな」


 戦えるわけがない。いや、全くではないけど。


「戦えるとしたらシャリオとリオくらいか」

「僕にどうやって戦わせるつもりなのかな?」


 しらんな。でもなんかできそうな気がする。


「それにしても。相変わらずの銀世界だが、大雪も雪崩もなくて良かったぜ」

「リオがいるからたぶんないと思うぞ」


 リオの豪運はすさまじい。世界の財政をひっくり返せるくらい凄い。


「リオってそういえばリアルの職業の兼業数増えたのか?」

「それなりにな」


 リオはその豪運で、天賦の才を得ている。いろんな資格を持っているのだ。


「この規模の雪山で降らないものなのか?」

「雪山だからって必ず降る訳じゃないぞ?」

「それもそうか」

「ああ。あと、残り5000メートルになったぞ」

「言うな!具体的な数字を!ていうか、マップないのに何でわかるんだよ!」

「いや、歩いた歩数と歩幅で……」


 聞いた俺がばかだった。本当に。


「なんか調子乗らないな。今日はもう休もうぜ。いやマジでかなりさぶい」

「ここで寝たらどんなやつでも一分で死ねるぞ」

「集団心中じゃねえんだからんなこと言うなよ。サーガ」

「ぱぱ~。さむい~」

「そうか。パパもさむい」


 かなり発言が自由になってきたな。


「シャリオ。この雪全部魔法で溶かせないのか?」

「いや。無理だろうな。耐熱性が高すぎる」

「なんで雪に耐熱性があるんだよ!素直に溶けろ!」


 尤もな言い分だ。あとシュライン。それなりに元気だな。


「シュライン」

「なんだ?リオ」

「体を暖めたいんならそにらへん走ってこい。なんか相手していると体力が持たん」

「俺を殺す気か!遭難確率100%だろここ!」

「大丈夫だ。リアルに影響はない」

「そういう問題じゃねえって!」


 なんか話の方向性がワケわからなくなってきた。


「しりとり~」

「ん?レム。しりとりがしたいのか?」

「うん」


 セルファの質問でレムがうなずいた。


「まあ、寒さを誤魔化すのにはいいんじゃないか?」

「そう……なのか?」


 何はともあれ、することになった。

 順番は、ゼツヤ レイフォス シャリオ セルファ ユフィ サーガ クラリス リオ シュライン レム ミナトである。


「俺からか。何から始めるんだ?」

「しりとりのりから~」


 まあ悪いことはないな。


ゼツヤ   「……利子」

レイフォス 「静かだな」

シャリオ  「なにも聞こえないし」

セルファ  「白しか見えんな」

ユフィ   「夏はこの逆ですね」

サーガ   「寝たら死ねるか」

クラリス  「かなりヤバイ雰囲気」

リオ    「気分は悪くならない程度だ」

シュライン 「暖房機能が死んでいるぜ」

レム    「ぜんぜんまえみえない」

ミナト   「言い過ぎだよ~」

ゼツヤ   「よくわからんな」

レイフォス 「なぜここに来たんだろう」

シャリオ  「後ろを見れば苦労はわかるが」

セルファ  「頑張った証拠になるといいな」

ユフィ   「涙も凍ります」

サーガ   「清々しくなるほどの寒さだし」

クラリス  「死なないことのみを気を付けよう」

リオ    「うるさいやつはいらんぜ」

シュライン 「絶対どこにもいかねえよ」

レム    「夜になったらどうするの?」

ミナト   「のんびりコーヒーでも飲みましょ」

ゼツヤ   「正直いって大反対だぜ」

レイフォス 「絶対に俺も無理」

シャリオ  「利害しかないからな」

セルファ  「なぜそういう案が出てくるのだ?」

ユフィ   「ダメな方向に進化している証拠です」

サーガ   「凄く酷い言い分だ」

クラリス  「だけどきっぱり反対もできない」

リオ    「色々と凄いな」

シュライン 「なんとしてでも超レアアイテムもらえなかったら気がすまん。……あ」


 終了。シュライン負け。


「ばつげ~む」

「聞いてねえぞ!」

「きゃびあをたべたあとにわいんのんで~」

「なぜその組み合わせがアウトなことを知っているんだ!」


 ワインには多くの有機酸塩があり、そのうちのいくつかが、魚介類のもつ魚油とケンカするため、かなり生臭いのである。

 フランス人は無論知っているのでウォッカを飲むのだが、それはそもそも料理の時に飲むものではない。

 魚介類に合わせるのなら日本酒の方がいいのである。

 無論。六歳の女の子がいっているような知識ではなく、そもそも、食べあわせを気にするような年代ではそもそもないはずだ。


 ゼツヤの用意のよさによってそのバツゲームは達成され、ものの見事に吹き出し、レムは爆笑した。


 さあ、やっと山頂である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ