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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
デュエルカップ始動!
79/218

準決勝 ルナードVSゼツヤ

 ゼツヤがスタジアムに上がったとき、ルナードも来た。


「確か、前に戦ったときはまだ首飾りはつけていたな」

「そうだったな。あのときは正直びびった。急に雰囲気が変わるんだからな。お前の彼女もそうだが、強いやつって言うのは集中するとああなるもんなのか?」

「まあ、そうなんだろう。レイフォスはなにか隠していると思うがな」

「いっちゃ悪いが、レイフォスがあそこまで削られるのはどうも納得できなかったしな」


 まあそこはいい。


「さて、カウントが始まったか。その剣を持っているってことは、あのときより以上に強いんだよな」

「そうだな」


 ゼツヤは自分の長剣を見た。


「俺も前みたいにはいかねえぜ」

「それくらいはわかるさ」


 カウントゼロ。


 ネクスト・レベル。起動。


「今日は構えたところから始めるんだな。まあ、関係ねえけどよ!」


 ルナードが突撃してきた。


「今年はさぐりあい的な試合ばかりだったからな。ちょっとぶつかるか」


 ゼツヤも突撃する。


 ぶつかり合い、ほとんど反応速度に任せて剣を振る。ルナード相手に近接主体でゼロ距離であれば、こざかしい策は大概聞かない。

 フェイントをすれば、フェイントをしようとした思考の隙を狙って三回くらいは切られるだろう。

 躊躇も、策も、なにも要らない。


 いつの間にか、二人とも絶叫しながら切りあっていた。

 観客もかなり賑わっている。

 この試合に存在し、他の試合になかったもの、それは『派手さ』である。


「ち、やっぱりルナードはヤバイな」

「何を今さら、ていうか、喋っていても剣速が落ちないっていったいどういうことなんだよおい」

「それはお互い様だ!」


 全力で振りかぶってぶっとばした。見事に直撃はしていなかったが。


「ふう、エクストリームメンバーとかはなんか妙なスキルを持っているから変にやりにくい部分はあるが、お前の場合はあったとしても反応速度をあげるだけだからな。やりやすい」

「そりゃどうも。ルナードは反応速度においてはピカ一だからなぁ」


 反応速度は、常人なら0.3秒。ハイエスト・エリア到達者なら0.1秒といった感じだ。だが、ルナードはそれ以上に早い。


「ふう、仕方がない。決勝までとっておきたかったんだがな」

「ん?なんかあるのか?」

「ああ、勿論だ。今から見せてやる」


 オーバーライド。起動。


「なんか、どこかで見たことがある雰囲気になったな」

「そうだろうな」


 ゼツヤは突撃する。

 ルナードも攻めてくる。

 ゼツヤは垂直に切ろうとした。ルナードは当然反応してくる。


 そして、ゼツヤの斬撃の軌道が変わった。


「何っ!」


 ルナードは後方に跳躍するが、ゼツヤはそれでも追い続ける。


「どうなっていやがる。これは、あいつのスキルだろうが。何でお前が」


 そう、ゼツヤは今。レイフォスのパターンチェンジをほぼ完璧に再現している。

 オーバーライドの前提は『レイフォス』なのだ。


「何が起きてるのか分からねぇ。だが、これだけは言えるな。ゼツヤ、お前それ、長時間できないだろ」


 確かにそうだ。ゼツヤはこの状態を継続できない。

 オーバーライドは、圧倒的な自己暗示によって様々な状態を再現する。

 だが、この時に『人物』を前提にした場合、どうしても『自分は違う』と思ってしまうため、継続することができない。


「まあいいけどな。そう言えば、お前、疑問に思ったことはないか?」


 なんのことだろうか。


「なぜ俺があのとき、レイフォスに勝てたのかってことだよ」


 ゼツヤは今さらだが、それを思い出した。

 レイフォス自身。防御にわずかながら弱点はある。ルナードが攻めた弱点は、恐らくそこなのだろう。


「今から見せてやるよ」


 ルナードは突撃してくる。そして、突きを放ってきた。

 ゼツヤは弾こうとした。


 そして、それは無理だった。

 ルナードのその突きは、経験したことがないくらいに重かったのだ。

 ゼツヤはギリギリでとんで逃げた。


「分かったか?」


 確かに理解した。

 レイフォスはパターンチェンジがあるため、許容範囲ではなくとも、一度見たことがあるものであるならば迎撃できる。なんとなくで何をすればいいのかわかるからだ。

 では、対抗できない状況と言うのはいったい何なのか。

 レイフォスはSTR極振りのステータスだ。先程の攻撃であっても対抗できそうだが、実はできない。

 NWOのアバターは、間接云々の部分もリアルをほとんど完全に再現している。血が流れないこと以外はすべて同じだと言うものもいるくらいだ。


 これによって、間接と言う突破できない部分が出てくる。大太刀を持っているのでリーチは問題ないだろうが、力が入れにくかったりする方向もしっかり存在する。


「苦手な方向と言うのは誰にでもある。俺はそれを見つけるのが得意なのさ。そもそもの反応速度の問題で負けていない限り、敗北はしないんだよ」


 ふむ、それは不味いな。まだちょっとインターバルまで時間がある。

 まあ、そっちがその気ならこっちもこの気である。

 経過した。前提変更『完全集中』


 ルナードは、ゼツヤには勝てなかった。

 その時のゼツヤは、あのときと同じように、何も持っていなかった。

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