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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
デュエルカップ始動!
78/218

準決勝 ミズハVSレイフォス

 ミズハはコロシアムに上がった。

 反対側にはレイフォスがいる。


「初参加でここまで来たのは君がはじめてだろうね」

「私もそう思います。勝たせてもらいますよ。ゼツヤ君と決勝で戦う予定なので」

「聞いていた通りの性格だな。まあそれくらいがちょうどいい」


 レイフォスが大太刀を構える。相対してみるとよくわかるが、本当に長い。

 ミズハも弓を構える。


「さて、俺を追い詰めることができるかな?」

「その先までやって見せます」


 カウントゼロ。


 レイフォスが突撃してきた。

 ミズハは弓を引き絞る。


「ミリオンレイン」


 百万の矢が出現する。

 レイフォスはどう対応するのだろうか。

 サーガは半歩下がって完全回避し、バスターはその大剣四刀流で全て叩き落とした。


 レイフォスは、突撃しながら全て叩き落とす。


「嘘でしょ」


 レイフォスのスキルはゼツヤから聞いたことがある。対策のために聞いたのではなく、ゼツヤが勝手にいっていたことなのだが、レイフォスのスキル『パターンチェンジ』は、驚異的な速度で状況を理解し、『脳の出力を切り替える』という作業を行うことで、大概の状況には対応できる。と言うものだ。


 百万の矢を前にして、そんなことが可能なのか、目の前で起こっていることだが、納得することができない。


 ミズハは突いてくる大太刀を弓で防ごうとした。耐久値無限なので、どんな攻撃を前にしても破損することはない。

 だが、その直感の行動は、レイフォスのパターンチェンジに対して初めて正面からぶつかったがゆえのものである。ミズハの知識の中に、対応策はない。


 当然、レイフォスは弓をかわして突いてくる。

 ミズハは直感で後方に飛んだ。

 レイフォスは次の瞬間に跳躍し、ミズハを追随してくる。

 ミズハは今度は横に飛ぶ。しかし、レイフォスはそれすら追随する。


 明らかに、ミズハが逃げることしかできないのは明白だった。


 逃げ続けて数分。やっと攻撃が収まった。


「まだまだ勉強が足りないな」


 レイフォスは呟いた。

 確かにそうだと、ミズハも思う。


 今わかったことだ。

 そもそも、パターンチェンジを有効活用するのなら、もっともすべきことはシンプルで『攻め続けること』であるのは当然だ。

 ホルンが発見したパターンチェンジの弱点。それはあくまで『防御するとき』のものである。

 では、攻撃ならどうなのか。


 まず、誰もができる弱点はなにも存在しない。


 言ってしまえば『あとだしじゃんけん』のようなものであり、相手の動きを予測することも、推測することもせず、相手が行動した後に決定するので、結果的に、レイフォスの攻撃スピードを越えるなにかがない限り、敵わない。


 ミズハに言わせれば、パターンチェンジというのは『全てのダメージから逃れる相手の行動を無視して攻撃する』というスキルだ。


 勝つためにはどうすればいいか。

 攻撃に弱点がないのなら、存在する防御の弱点を攻めるしかない。


『マリオネット・ストリング』起動



 レイフォスは構え直した。ミズハの雰囲気が急激に変わったからだ。


「サーガやバスターと戦うときにも出していたな。完全に直感に委ねる精神状態を作り出す。といったところか。確かに、俺には防御においては弱点はある。まあ、それは全人類に共通するものだが、それはいいとして、それを君にできるかな?」


 レイフォスはあくまで自然体だ。


 そもそも。レイフォスは常に冷静である。

 レイフォスのパターンチェンジも、集中力によって精度が変わってくるのだ。冷静でなければなにもできない。


 ミズハの直感に委ねる攻撃は、レイフォスにとっては、ある程度なら許容範囲である。


 ちなみに言うなら、パターンチェンジは、防御においては『相手に攻撃に対して最適な動きをすることでやり過ごす』というものだ。

 因みに、状況判断能力がトップクラスのレイフォスだが、人間である以上、回りの状況を誤認する場合がある。そう言った誤認を発生させる行動。それが、要するにレイフォスの『許容範囲外』なのだ。


 ホルンからボディーブローをきれいにもらったのも、ホルンがユフィクラスのスピードを出せるはずがないという前提があったからだ。それにより、状況を誤認したため、ああなったのである。


「だが、済まない。実はな。俺のパターンチェンジには、実はもうひとつ利点があるんだよ」


 ミズハの連射を簡単に弾く。常人にはとらえきれない物であったとしても、レイフォスは弾く。


「俺のパターンチェンジは、まだ利用法があるんだ」


 それは『最善の何手か前を瞬時に選択する』と言ったことや『とっさに行動を変更し、嘘の情報を植え付ける』と言うものであったり、様々だ。


 もっと簡単に言うなら『弱点があるのだという前提を作らせることができる』のである。


 確かにホルンの攻撃はレイフォスにとっても予想外だっただろう。だが、やろうと思えば対抗できた。

『この方法で攻めたらうまくいく』という嘘の情報を確信させることを、とっさに判断できるのである。


 パターンチェンジの正体があるとするなら、『一回一回の行動を無駄に考え直し、一番やりたいことを選択できる』と言うことだ。

 簡単に言うと、『シナリオの辻褄を合わせ続けることができる』のである。


「済まないが、ミズハ。君では俺には勝てない。何より、君は俺より遅いからな」


 プレイヤーVSプレイヤーの一番重要な部分は『虚偽の情報を与えること』だ。少なくとも、レイフォスはそう考えている。

 そして、もしそれが本当だとするなら、レイフォスに勝てるプレイヤーはそうそういない。


「パターンチェンジの先を使うまでもなかったな」


 レイフォスの一閃は、防御をかなりあげていなければ、致命傷。場合によっては普通に一撃死に至る。

 ミズハが、その一閃に耐えることができるはずがなかった。

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