カジノでの会話
かなり短いです。
準々決勝の八試合は、ある意味で激戦区だった。
ローズVSレイフォスでは、ローズがアーネストにも見せていなかったアクションスキルをいくつも使い、レイフォスのHPを半分まで削るに至った。
だが、レイフォスの勝利である。
ミズハVSバスターは、お互いの切り札。ミズハは『マリオネット・ストリング』で、バスターは、大剣二刀流に、更に逆手で左右に二本ずつ。計四本の大剣を同時に操ると言う戦法まで出した。
結果的にはミズハの勝利である。これは正直ゼツヤは驚いた。
テラリアVSルナードの夫婦対決は、なんというか、普通にルナードが勝った。まあこれは誰もが予想していたことである。
シャリオVSゼツヤは、シャリオは必中戦略である『シャリオの存在地点以外の全てを攻撃する』という戦法『オールエンド』を発動。ゼツヤはネクスト・レベルでそれらを全て叩き落として、範囲系は全て回避し、結果的にゼツヤの勝利となった。
ローズがレイフォスのHPを半分まで削ったこと、新参者であるミズハがバスターを倒したこと、全方位、ではなく、全範囲の攻撃を成功させたシャリオとそれを防ぎきるゼツヤ。
全員の正真正銘の全力がぶつかり、会場は歓喜する。
対戦カードは『ミズハVSレイフォス』『ルナードVSゼツヤ』に決定した。
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「ふむ、まあ問題はないな」
リオはポーカーで勝負したものたち全員をフルボッコにしたあと、対戦カードを見る。
「しかし、バスターが負けるとはな。これは少々予想外だ」
「君が予想外というのは珍しいな」
「ん?シュラインか。来ていたんだな」
「ちょっと小船を作っていただけだ。んで、対戦カードは……バスターが負けたのか。ゼノンはゼツヤと当たって一回戦敗退と。なるほど、お前が予想外というのも、おかしい話ではないか」
シュラインと言われた男は、高身長のリオよりも少々背が低いくらいで十分背が高く、リオほどではないが顔もいい。背には、斬撃と打撃の刃が左右対称になるようについた剣をつっていた。
「ちなみに小舟というのは?」
「何、暇潰しにガレオン船を作っただけだ。ベルザがハードな海にいきたいって言うんで、ちょっと作ってたんだよ」
シュラインはなんでもないように言うが、ゼツヤですら、巨大なものは早々作ることはできない。
ちなみにシュラインが本気で船を作ると、島になる。
「あの漁師か。でもあいつって釣りだろ。ガレオンで大丈夫なのか?」
「らしいぜ。ホームボックスの量の問題で、普通の船だと転覆するからな」
「いったいいくつのせたんだ?」
「聞くか?」
「いや、いい」
「だろうな。正月まで魚食うなよ」
「分かっている。ところで、どう思う?」
シュラインは少々考えたあと、言った。
「レイフォスは何か隠しているな。アイツがHPを半分まで削られるなんて、よほど油断があったんだろう。あいつは、自分に奥の手がないときは、誰にもわからない程度に本気になるからな」
「それは僕も同じだ。ミズハというプレイヤーについては?」
「レイフォスには勝てないと思うぜ。でも、強いな。十分ハイエスト・エリアに至っている。そうじゃなけりゃ、バスターが負けるはずもないしな」
「まあ、そうだな」
「ところでお前の優勝予想は?」
「ゼツヤだ」
「ほう。理由は?」
「見ていればわかる」
「そりゃそうだな」
「ところで、三日前。辺境エリアに城が出現したという噂があったのだが」
「ちょっと一夜城をしただけだ。内装はまだやってないんだよなぁ。て言うか作るのめんどいし、ゼツヤにでもやらせておくかな」
「お前、彼女いないから分からないだろうが、今はゼツヤは彼女がいるんだ。少しは自重しろ。ただでさえでかいんだから」
「へいへい。……ってあいつに彼女だって!?まさか、12月16日に巨大台風が日本に直撃したが、それってそれた原因なんじゃないか?」
「僕もそう思っている。聞いたときは思わず吹き出して買ったばかりのスーツを汚してしまったよ」
二人はかなりゼツヤたちに関わりがあるようだが、それを入れても、ゼツヤの彼女出現は衝撃的らしい。
「まあいいか。それにしても、今度あいつらにあうのは正月過ぎてからだな。どうしようかね。作者が俺たちのような『理不尽存在』を出すタイミングを送らせ続けてきてやっと本編に出られるからな。それなりにキャラを濃くしないと」
「流石はゼノンの兄。シュライン。メタ発言が多いな。あと、ちょっとやることがあるかもしれないからな。一応の準備はしておけ」
カジノの一角、一人はあきれて、一人は笑った。




