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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
デュエルカップ始動!
72/218

第二回戦 レイフォスVSホルン

 第二回戦 レイフォスVSホルンである。


「ホルン。君に、レイフォスから情報をさらけ出すことができるかな?」


 勝つとか負けるとか、それは今はいい。


 スタジアムのはすでに二人がいた。


『確か、ゼツヤの弟子だったか』

『そうですね~』


 緊張感が抜ける。本当に。


『悪いけど、手加減はしないぞ』

『でもでも~。私相手に本気なんて出しませんよね~』

『……』


 レイフォスでもホルンから主導権を握るのは不可能か。まあ予想はしていたが。


『私も勝てないことはわかっていますけど~、せめてあとに人のために頑張りますよ~』

『あとの人。ね』


 色々と含んだ言い方だな。


 とかなんとかいっていると、カウントが始まる。

 ゼロになった瞬間、


「あ、二人とも消えた」


 レイフォスは大太刀でホルンは長剣だが、お互いにスピードは高いのである。

 さあ、ホルンはどう切り込むか。レイフォスのパターンチェンジを知らない筈がない。

 レイフォスのパターンチェンジはかなり驚異だ。


 まず、受け止めることはできず、無理に攻撃しようと思ったら大太刀のリーチで狩られる。さらに防御は普通に潜り抜けてくるし、回避しようとしても追尾してくる。

 レイフォスを相手にした場合、レイフォスでも反応できない速度を持たない場合、正面にたった時点ですでにレイフォスが主導権を握ったも同然なのだ。


 レイフォス自身がいっていたが、パターンチェンジは無意識では発生しない。必ずすることを意識する必要がある。


 ホルンは突きを放つ。レイフォスはそれを弾き、ふりきらずにそのままホルンめがけて刀身を滑らせる。

 ホルンは後ろに跳躍し、ついでに隠し持っていたスクロールを使用する。

 レイフォスは跳躍するホルンを追いかけていたが、急遽アクションスキルでホルンの魔法を両断する。

 そして、レイフォスが切り終わる頃には、ホルンは十分に距離をとっていた。


 以上。たったの三秒である。本人の体感時間はそれの倍以上はあるだろうが。


『ん~。いったいどんな反射神経をしているんですか~』

『俺に言われてもな……』


 まあ確かに反応速度は凄まじいが、それだけではないと思うぞ。ホルン。


『あと~。パターンチェンジはって厄介ですけど~。弱点もちゃんとあるんですね~。戦ってみてよくわかりました~』

『ほう。12年間誰も気づかなかったことだが、分かったのか?』

『バッチリですよ~。にゃふふ~』


 ものすごく会話は緩いが、内容はかなり強烈だ。

 ホルンはこういったカテゴリにおいて洞察力が高いが、レイフォスの弱点までわかったのだろうか。

 ちなみに、ゼツヤの長所がバトルロワイヤルでは全く機能しないことに一番最初に気づいたのはホルンである。あのときは少々驚いた。


『行きますよ~』


 ホルンが走り出す。レイフォスは構えてはいるが、その場から動かない。


 ゼツヤでさえ、ホルンは長剣で垂直斬りをするものだと思っていた。

 そして、ホルンは長剣を天高く放り投げた。


 レイフォスは一瞬だが、それに集中してしまっている。

 そして、超高速戦闘では、その一瞬を作ることは、本来なら許されなかった。


 ホルンはレイフォスの大太刀の刀身を添えるように左手で横に押し出して、右手を光らせる。

 レイフォスはこのときにホルンを認識し、次の瞬間にはホルンの右手に大太刀を迫らせようとさせていた。


 ゼツヤは今、ネクスト・レベルになってからこれを見ている。そのため、詳細がわかるのだが、このままのスピードだと、レイフォスの迎撃が成功するはずである。


 だが、ホルンの右パンチは、本人のスピードでは達成できないほどの速度を持っていた。それこそ。ユフィクラスである。


 迫らせていた大太刀は、届かなかった。


 この言えないくらいきれいなボディーブローが炸裂する。


『がはっ!』


 レイフォスが後方にぶっ飛んだ。


 ホルンは放り投げた剣を右手でキャッチした。


 観客の誰もが、何が起こったのはわからなかっただろう。ゼツヤも、ネクスト・レベルを起動していなかったら、全くわからなかった。


『あんなにきれいにもらったのははじめてかもしれないな。ダメージと言うものすら俺にとってはめずらしいものなのだがな』

『まあ普通はそうですよね~』


 ゼツヤが見た限り、ホルンが見つけたレイフォスの弱点は、

『ほんの一瞬だけ自分を集中範囲から出す』と言うことだろうか。


 確かに、レイフォスのパターンチェンジには恐ろしいほど集中力が必要。これは使い続けている今でもそうだ。ゼツヤですらできないのだから、ある意味当然である。


 一瞬だけ視線から外れて、そのまま超高速攻撃を叩き込む。

 確かに、いい攻撃ではある。だが、それだけでは突破できない気がする。


『ふう~。もう私に策はありませんよ~』

『?』

『気づいていないんですか~。レイフォスさんが対応できなかったのは、集中力云々じゃないんですよ~』

『なに?』

『レイフォスさんの弱点は、『はじめての許容範囲外攻撃』ですよ~。レイフォスさん自身の構えが汎用性が高いのでその許容範囲は広く、一見すべてを迎撃できそうですが、実はレイフォスさん自身にも許容範囲はあります。しかし、越えていたとしても、その攻撃がどう言うものなのかは、一度知っていれば対応は可能なんですよ~。ですが~、こうしてはじめての攻撃だと~、なにをすればいいのかわからないんですよね~。12年間のキャリアは凄まじいので~、いったいどんな攻撃が初経験になるのか分からなかったんですけど~。まあとにかく~。私のさっきの攻撃はもう効かないんですよね~。そして、もう私に策はないんですよ~。ここからは私なりに頑張るだけなんですよね~』


 弱点、とは言うが、『はじめての許容範囲外攻撃』に対して対抗できないのは、人間すべてがそうだとゼツヤは思う。

 レイフォスはパターンチェンジがあるため、同じミスをくり返さないだけだ。


 しかし、ホルンが見つけるとは思わなかったが、逆に言うなら、ホルン以外が見つけるのも至難の技だと思う。ルナードも知っていたはずだが、まあそれは今はいいだろう。


 また試合を見ることにする。



 スタジアムで起こったことは、お互いに二回ぶつかり合い、一回目はなんの影響もなし。二回目は、レイフォスにダメージがあった。

 たったこれだけだ。


 だがしかし、歴戦のプレイヤーたちは、驚愕するばかりだった。


 理由は複雑ではない。『レイフォスがダメージをおった』という、ひとつの文だ。


 あり得ない話ではない。と誰もが思うと同時に、あり得ない。という感情を刻み込ませる。


 理由としてもっとも大きな理由があるとすれば、

『レイフォスは、過去に行われた全デュエルカップのなかで、たった二人の優勝経験者のうちの一人』だからだ。この事実があるがゆえに、全プレイヤーは驚いている。


 ローズやピクルは何度かトーナメントの出場経験があるため、強いプレイヤーとしての認識が無いわけではない。

 だが、ホルンは今回がはじめてだ。いつも観戦者だったからだ。

 そんなプレイヤーがレイフォスにダメージを追わせる。その事実に驚愕している。


 トーナメント出場者は、すべてバトルロワイヤルで決まるが、多くのプレイヤーにとっては、いくつかの枠はすでに埋まっている。

 ゼツヤ レイフォス バスター ゼノン シャリオ ユフィ が該当し、さらに、今年はルナードが戻ってきたので、ルナードも該当するだろう。

 今回はすでに、七つのわくが埋まっていた。


 残りの九枠がよく変わるのだが、そのなかでも新参者が二人もいて、そのうち一人はレイフォスに手傷を追わせるほどに実力者ということになるのだ。


 ホルンも、優勝候補であるゼツヤの弟子。決して油断してはいけない存在なのだ。


 だが、ホルンがHPをすべて散らすことを誰も疑わず、そして、その通りになったのは、ある意味、運命なのかもしれない。

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