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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
デュエルカップ始動!
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バトルロワイヤル初日とゼツヤの最大の弱点

「スタート地点は『地下』か。珍しいな」


 大規模なバトルロワイヤル。ゼツヤは地下にワープしてきた。


 ゼツヤは事前調査はそれなりにするタイプで、いろんな場所にいって、それぞれの場所で必要になるアイテムを最低限準備して参加するのが例年だ。


 だがしかし、今回のように、町のなかに要素がありすぎると、準備に困るのだ。今日はあまりいいとは言えない。


 ゼツヤ本人の戦闘スキルはかなり高い。これは誰もが認めることだが、バトルロワイヤルで重要なのは『現地での物資調達力』である。言い換えるなら『効率よく自分に必要なアイテムを素早く入手する』ことであり、もっと分かりやすく言うなら、『持久力』である。


 因みに今回、ミズハにも色々説明しておこうと思ったのだが(説明したからどうにかなるとは限らないのだが)本人は、この巨大イベントでは助言はなしでいいと言うことなので、説明はしていない。まあ、それでもそれなりに調べて入るだろうが。


 因みに多くのプレイヤーが疑問に思っているのだが、この町、いくらなんでも広すぎだと思うだろう。リアルで言うなら北海道に匹敵する広さだ。そもそもこの町は、ここまで広くはなかったはずである。


 ゼツヤの事前情報をあわせると、特殊サーバーになると同時に、別の巨大エリアに来ているのだと思う。

 今までの町は広くなかったわけではないが、それでも今回ほどではなかったし、そもそも町を事前調査するにしても、プレイヤーでは限界があるので、得たことがそのままいかせるのかどうかと聞かれると首をたてに降ることはできない。


「まあ、考えるのはあとだ」


 バトルロワイヤルは、別の言い方をするならサバイバルだ。あまり思考に更けるのはいい判断ではない。


 プレイヤー発見。


「さて、いくか」


 すまないが、一瞬で退場してもらった。油断も同情も要らないからな。


「まずは地上に出ようか。視界が悪すぎる」


 地下通路なんて喜んでいようとするものはいないだろう。たぶん。

 外に出ると、遠くの方で火柱が上がった。


「シャリオのヤツ、派手にやっているな」


 だが、上がるテンポがいつもとは違う。何時もなら上がり続けているからだ。


「シャリオが考えて戦闘しているってことか。本気だな」


 リアルでは本気を出せばぶっちぎりの頭脳を誇るシャリオだ。最後のトーナメントにとっておきたい。


「ソラソラァ!くらえぇ!」


 どこかで見たことがある戦車が見えた。


「またやり始めたってことか。だが、パターンがなぜ変わっていないのかよくわからんな。あれだけボコボコにしたのに。懲りないのかね?まあそれはそれでいいけどな。まあ勝手につぶれるだろう」


 あんな補給力がなければなにもできないものを持ってくるものがいたことが最大の不思議なのだが、まあいいとしよう。まだ戦いは始まったばかりだ。


 数時間後。


 そろそろ満腹度がヤバイな。動きの激しさで減少量が決まるのでそれなりに押さえていたが、そろそろ食べる時間である。


 ゼツヤは建物のなかにはいって偽装効果の高いシートをドアに嵌め込んで、鍋とその他色々な調味料と肉を出す。

 最後にらっきょうを出しておいた。


「さて、始めますか」


 これから作るもの。それは『ドレイクバイソン』の角煮である。なかなか美味な食材だ。

 最後にらっきょうを加えたのでちょっとピリッとする。まあそれがいいから入れたのだがな。


 どうでもいいが、ゼツヤの大好物は『メンチカツ』である。ちゃんと持ってきている。


「ご馳走さまでした。さて、適当な場所にいくか」


 もうそろそろ夜だ。行動するプレイヤーも多いだろうが、それは個人の自由である。

 まあ要するに緊張感は大切なのだ。

 無論。サバイバル中に高級食材を使って本格的にクッキングをしていたゼツヤがいっても説得力は皆無である。ゼツヤはマジックアイテムでストレージの容量を増やしているからこそここまで余裕があるのだ。


 そんなものを入れているから本当に必要なものが入らないんじゃないか?とよく言われるが、完全にスルーしている。


 次の瞬間。

 ズガアアアァァァァン!という爆音と共に、ゼツヤが今までいた家が吹き飛んだ。


「うおおおお!何があった?」


 吹っ飛んだ原因は魔法ではないようだ。弓矢っぽい軌道だった気が……いや、ちょっと待て、さっきのやつって、ミズハの『スーパーノヴァ』じゃないか?そうにちがいない。


「直感恐るべし。だな」


 誰がいるのかまではわからないにしても、誰かがいると言うことに気づくと言うのはバトルロワイヤルではかなり重要である。

 気づいた。と言うと語弊があるかもしれないが。


「今はここにいない方がいいな」


 バトルロワイヤル中は、システム的なことの限定すれば、10分ごとの配布タイミング以外に他のプレイヤーの位置を知る方法はない。しかも、ミズハのことだ。自分が配布データを得られないデメリットがあるが、表示されないようにできる裏技くらいは調べているだろう。


「初参加にしてここまで凶悪なのははじめてだな」


 直感が優れていることはバトルロワイヤルではいいポテンシャルだ。所謂『なんとなく』という状態の延長線上に位置しており、しかも、ミズハの精度は高い。


「ゆっくり眠ることもできないな」


 サバイバル中にゆっくり寝ようとするゼツヤもゼツヤである。


「まあいいか。俺も逃げるのは得意だぜ。って『ミリオンレイン』来た!ストップストップ!」


 止まるはずがない。


 あと、ミリオンレインには二種類の撃ち方があり、簡単に言うなら『拡散型』と『集中型』である。

 今回は集中型にようである。いったいどこから撃って来ているのかよくわからないのだが、とおくであればあるほど、拡散型に意味はない。

 とかなんとか考えているが、実際にそんな余裕はない。


 バトルロワイヤルにおいてゼツヤには圧倒的に不利な状況は、普段よりも多く存在する。


 バトルロワイヤル中は、思考スピードが本来の100倍である。これは、ゲームに組み込む際にはかなりの許可書類が必要になるのだが、それはいいとして、簡単に言うなら、ここにいる全プレイヤーは、擬似的にちょっと本気を出したときのゼツヤと同じくらいの処理速度をすでに実現しているのである。


 もっと簡単に言おう。ゼツヤは今現在、スイッチは全く効果が出ず、ネクスト・レベルは回りが遅くなったことを知覚できず、オーバーライドは設定した前提にもよるが、大抵の場合、ゼツヤの性格が変わるだけである。なんとも悲しい。

 ゼツヤの集中状態と、ゲームで行われている思考加速のメカニズムがなぜ似ているのかはわからないが、ゼツヤ本人にとってはこのシステムは少々厄介だ。


 確かに、あまりにも制限時間を短く設定されたりしたらゼツヤもいやなのだが、こればかりはどうしようもない。


 矢は全部防いだが、本当に疲れる。


 ミリオンと言うのは100万という意味である。

 疲れるのは当然だった。


 適当な家を見つけて、泥のように眠るのだった。

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