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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
初心者講座。相手はアイドル。
62/218

ゼツヤからのバースデープレゼント

 さて、ゼツヤはミズハに教え続けていたわけだが、それももう必要ではなくなった。

 数日前から、ゼツヤのもとを去って、今やソロで鍛えているらしい。


「ゼツヤ、知っているか?明日、11月25日は、ミズハの誕生日なんだぞ」

「バスター。それって本当か?」

「本人のプロフィールにかかれていた。アイドルだからな。調べるのは簡単だった」


 ふむ、そうか。


「なんか用意するのか?」

「まあそうだな」


 まだレベルが100になっているわけではないが、まあいいとしよう。


「今できる最高の弓を作るか。サーガ怒らないかな」

「たぶん問題ないと思うぞ」

「何でわかるんだ?」

「サーガはもう軽く四年はあの弓を使っているし、今さらだと思うぞ」

「それもそうだな」


 さて、そうと決まれば、早速いくとしよう。工房に。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ゼツヤがワープしていった。


「ふむ、あとはどうしようか。ゼツヤのやつ。まだ気づいていないからな」


 鈍いことは本人もいっていたが、これはどうなのかと思う。


「とにかく誕生日プレゼントは用意させた。今はこれくらいで十分だろうな。明日は日曜日か」


 そう言えば、ミズハは最近はホームを購入している。それはゼツヤも知っているし、いったこともあるはずだ。しかも、ミズハは日曜日の朝はNWOないにいるため、目覚めるのはホームの自室だろう。NWOでも寝れないわけではないからな。

 そして、ゼツヤはそれを知っている。アイツのことだ。変なことをするに違いない。しかもあいつ。ミズハのホームの鍵を持っているからな。


「はぁ、どう考えても罪深いな。本当に」


 ユフィは三年前はメンタルが強くなかったからな。ある意味で玉砕しても仕方がないのかもしれないな。


 バスターは爺臭い思考の末、ため息を漏らした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「う、う~ん」


 ミズハは『ロミュナス』にあるホームで目覚めた。


「ん?なんだろう。あの箱」


 テーブルの上になにか箱があった。

 寝ぼけた顔でふらふらと近づいた。


【Happy Birthday!   by Zetsuya】


 一気に眠気がとんだ。

 箱の上にあるアイコンをタッチする。


【『スターゲイザー』を入手しました】


 装備欄を開いて、弓を装備している所をタップする。そして、『スターゲイザー』の名前を見つけて、鑑定した。


【スターゲイザー

 製作工房『オラシオン』

 ATK800

・常時発動効果


『DEX超絶強化(極高)』

『弓矢作成(MP不要)』

『リアルアロー飛翔速度強化(極高)』

『インパクトエンチャント自動付加』

『リアルアロー作成時、攻撃力増加補正(極高)』

『強奪不可』


・起動効果


『『ミリオンレイン』と発音しエネルギータイプで発射すると、大量の矢が自動生成され、発射される。クーリングタイム一分』


『『スーパーノヴァ』と発音しリアルアローで発射すると、威力超絶強化。クーリングタイム五分』】


 色々ぶっとんだ性能である。


「な、なにこれ」


 ミズハが驚いているのは、弓の性能ではない。確かに、今使っている弓もゼツヤから貰ったものだが、比べ物にならないほどの性能がある。

 だが、違った。


『製作工房 オラシオン』


 この一文に驚愕していたのである。


 ゼツヤは、オラシオンの従業員なのだ。


「ゼツヤ君。何で黙っていたんだろ」


 箱のアイコンを見ると。手紙が表示されていた。

 ためらいなくクリックする。


『誕生日おめでとう。まだレベル100にはなっていないと思うが、記念だから送るよ。それと、『オラシオン』に関しては黙っていてすまなかったな。実のところ、俺の生産能力は、まだプレイヤー本人の実力が低いうちは頼りにしてしまうんだ。これは経験則だからな。まあ弟子三人がそうだったんだけど。それは今はいいか。

 ミズハは最初から弱くはなかった。むしろ、ただレベルをあげているプレイヤーよりも断然強い。今ではもうベテランとほぼ同じレベルに達していると思う。でも、あえて言わなかった。オラシオンは、個人にたいしての助け船のためにある訳じゃないからな。それに、ミズハは自分の力でどんどんこの世界のことを知っていった。そして強くなった。俺がオラシオンだと言うことを知って、どうなってしまうのかが全然予想できなくてね。まあ、先送りにし続けていたと言うこともある。後悔はしていないよ。

 まあそんなことはもういい。ミズハの知らないことは、この世界にはたくさんあるよ。

 今よりも強くなって、トッププレイヤーなら誰もが持っている『自分にしかできない何か』を見つけて、それを磨いて、この弓を完全に使いこなしたら、俺からのレクチャーは完全終了だ。直接教えていないからってレクチャーが終わっているわけではないよ。

 その時は、おもいっきりデュエルをしよう。

 その時は、俺の誰にも見せていない本気を全部見せるよ。

 さて、文頭にも書いたが、誕生日おめでとう。


 この手紙を、挑戦状ととるか、祝いの手紙ととるか。あるいは両方か。それを決めるのは君自信だ』


「ゼツヤ君。私は、両方だよ」


 ミズハの瞳は闘志で満ちていた。

 誕生日という、ある意味一番の記念日。そんな日に挑戦状を送ってくる者など、古今東西どこにもいないだろう。ゼツヤを除いて。


「絶対負けない」


 ミズハは、夜空にように輝く弓を携えて、町を出ていった。










 PSを見落としていたことなど、本人がわかるはずもなかった。


『PS たぶん読んでいないと思うけど。一応書くぞ。寝顔。可愛かったよ。あと、ミズハのホームの冷蔵庫に、特製ケーキを入れているから、あとで食べてね。このPSを読むことで冷蔵庫に出現するようになっているからさ』


 ロミュナスのある一軒家での夜。少女が赤面し、形容しきれない表情のまま、『おいしい』と呟いた。

ゼツヤは手紙を書くタイプでは本来ありません。文章構成とかは考えずに、書きたいことだけ書きます。

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