トップたちは話し合う
ゼツヤに対しての質問から数週間が経過した。
「進展なしだな」
「ああ」
前と同じ喫茶店。そこにレイフォス。バスター。ゼノン。ルナードがいた。
「まさかあそこまで鈍感とはな」
「でも一応自覚はしているんだよね」
「ああ、もはやよくわからん」
「俺ちょっと前に家族全員でユニバースランドにいったけどさ。二人もいたぞ。あれはあれで絵になるな」
…………ん?
「ルナード。お前結婚していたのか?」
「しかも家族全員でって言うってことは、子供いるのか?」
「はじめて聞いたぞ」
「ああ、いるぜ。ちなみにだが、テラリアは俺の妻だ」
三人は『ある意味で同類項だな』とおもった。
「子供いたんだな」
「ああ、ていうか、バスター。お前のギルメンだぞ」
「え?まじで」
「ああ、ずいぶん前にサブマスターになったってはしゃいでたぞ」
「ミラルドってお前の娘!?」
ゼツヤ以上に衝撃の事実である。
「でも、年近すぎるんじゃないか?」
「ミラルドは孤児院出身だからな。テラリアが子猫拾う感覚である日いきなり連れてきた」
三人は『スゲェな』と思った。
「お前はどう思っているんだ?」
「かわいいと思ってるぞ。まあ、テラリアはもう子供を産めない体だからな。そもそも反対はなかった。幼い頃から発育よかったし」
「一回死ぬか?」
「お前ら俺には束になっても勝てねえだろ」
すべて事実だ。
「ミラルドが強いのは……」
「俺が教えたのは最低限度の護身術だけだ」
「自分の娘に護身術を教える親がいるのか?」
かなり長い沈黙が訪れた。
「話戻すか」
「お前が勝手にそらさない限りはな」
「るさいわ。まあいいとして、ゼツヤに鈍感さには参ったな」
「ああ、バスター。最近はどうなんだ?」
「小さくアタックはしているみたいだが、全くといって効果がないな」
ある意味で予測済みである。
「どうやって気づかせるべきかね……」
「ああ、まあミズハが『好きです』って言えばいいだけのことなんだが……」
それができれば苦労はないのはわかっている。
「というか、何でルナードはテラリアと結婚したんだ?」
「聞くか普通」
「参考程度に」
「はぁ、俺がテラリアと結婚した理由ねぇ。料理はうまいぞ」
「それはただの自慢であって理由じゃねえだろ」
というか、テラリアって料理できるんだな。
「う~ん。あれはあれでいい女だぜ?料理うまいし」
三人は『結局そこに行き着くんだな』と思った。
「ていうかよ。そもそも愛なんて言うのは『翼』か『鎖』でしかねえんだ。結婚しようがしまいが、関係によって起こる楽しさも嬉しさも悲しさも楽しさも、結局はその副産物にしか過ぎないもんだと俺は思うぜ」
三人は『はじめてこいつが大人に見えた』と思った。
「話を戻すか」
「ああ、これからどうする?」
「ゼツヤは鈍感以外は基本的に悪いところなんて無いしな」
人柄も実力もいいし、トラブルによく巻き込まれるミズハにとってはかなり必要になってくる瞬間的な対応力も高い。
「悪くはないよな」
「少なくともな」
「鈍感なのは本人は自覚していることなんだけどな」
何だろう。先程から同じことばかりいっている気がする。
「なにか他に情報ないのかな」
「アイツの母親にならあったことあるぞ」
「レイフォス。本当か?」
「ああ、あとシャリオもあったことあるけど。まあそれはいいとして、母親が言うには、元々恋愛系には全然関わりがないんだそうだ。フィクションとかでも無いものだから、そういった知識はかなり不足しているらしい」
「今までいってきたことを裏付けただけでなんの進展もないな」
「それを言われると辛いな」
レイフォスが苦笑した。
「ふむ、あとそもそもだが」
「何だ?」
「何で俺たちはここまで気になるんだろうな」
「そんなもん決まってる。ゼツヤが、ではなく、ミズハがこのままだと可愛そうだからだ」
ゼノンの疑問をルナードが即答する。
「ミズハ。大丈夫なのかな」
「アイドルなのに同じくらいの年の男と二人きりで遊園地にいくような性格だからな。まあメンタルは強いだろう」
集まっているメンバーはしらないことだが、ミズハの思考は『スキャンダル?来るなら来い!』という超ポジティブ思考である。そう簡単に終わるほど甘くはないだろう。
「罪深いもんだな」
レイフォスの呟きに全員がうなずくのだった。




