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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
初心者講座。相手はアイドル。
59/218

アイテムを揃えよう。あと正体ばれてた。

 月曜夕方、ゼツヤはややグロッキーな雰囲気をまといながらチャネルのワープエリアに転移してきた。


 さて、どうなっているのやら。


 案の定というかなんと言うか、ミズハは囲まれていた。

 ものすごく多くのプレイヤーに。


 何人いるんだろうな。


「548人だ」

「うわっ!シャリオ来てたの?」

「ああ、レイフォスに言われてな。暇だったし」


 あっそ。としか思えなかった。


「まあそれはいいとして、俺はもういくから」

「そうなのか?」

「長居するなと言われているからな」


 言うが早いか、さっさとワープしていった。


 さて、俺はこれをどうすればいいのだろうか。

 まあ、普通にいくしかないな。こう言うときは、正面突破が一番早い。


 ということなので、方針変更して襲いかかってくるプレイヤーたちを全員ぶちのめして、ミズハと合流。


「ふう、やっと収まったな」

「ありがとうございます」


 まあそれはいいので移動する。


「今日はどうするんですか?」

「調合器具を揃える。ミズハの弓には必要だからな」

「分かりました」


 移動中。


「そういえばゼツヤさん」

「なんだ?」

「あの、私の書き込みのところに、ゼツヤさんが私のクラスメイトだという情報があったんですけど。本当なんですか?」

「誰の情報だ?」

「本名ではなかったですよ。『ミスターD』となっていました」


 デュリオーーーーーーーーーーーーーー!!!!!


 あ、あいつ、やりおった。


「あの、本当なんです…いえ、すみません。一目瞭然でした」

「ちょっと待っててね」


 ちょっと離れてチャットを展開し、バスターに繋げる。


 繋がった。コール一回で。


『オイコラバスター!いったいどういうことだ!』

『いやー。こんなに早くばらすとはね。俺も予想外だよ』

『どうでもいいんだよそんなことは。何してるんだテメェ』

『別にいいじゃないか。減るもんじゃなし』

『お前本当にイタリア人か?』

『純血だよ。まあ、日本語の勉強中に覚えただけだしね』


 どんな脳みそをしているんだ?


『まあ、何はともあれ、ちゃんと伝わったようで何よりだ』

『ふざけんなゴルァ!』

『チャットなのに感情表現が豊かだね』

『サーガはすごいぞ。ってそうじゃない!』

『自分でそらしたんじゃないか。俺は種をまいただけだよ』

『やかましいわ!』

『まあまあいいじゃないか。現役アイドルに大きく繋がりを作るチャンスだよ。それにどのみちばれるって。遅いか早いかの違いだよ』

『早すぎるわ!』

『君って結構子供だね』

『お前に言われたくないわ!』

『紛れもなくその通りだ。まあ俺も、はっきりと誰なのかを言うつもりはないからさ』

『言ったら精神ぶっ壊れるまでHPを散らしてやるからな』

『本当にできそうな君が言うと少々怖いものがあるね。それじゃ、頑張ってね~』


 次の瞬間にブツッときれた。


 ミズハが心配そうな目でこちらを見ている。


「クラスメイトというのは事実だ。俺が誰なのかは言わないけどね」

「竜一くんだよね」


 なんか即答された!なんで!?


「なぜ分かった?」

「勘」


 素晴らしい。素晴らしいぞミズハ。俺はかなり悲しいぞ。


「はぁ、もういいや。そうだよ。俺は君のとなりの席に座っている糸瀬竜一だ」

「フフン。凄いでしょ。私の勘」

「嫌もう本当に。……ん?まさか。今まで命中率が高かったのって……」

「うん。私、残弾数以外はなにも考えていないからね」


 なにこれ。才能?


「まあいいか。とにかく調合器具を揃えにいこう」

「ゼツヤ君は持ってないの?」

「持ってるに決まってんだろ」

「ちょっと機嫌悪そうだね」

「思いっきり斜めだ」


 まあそんなことも話ながら店に入る。


「まあ、『細工』スキルが高いのなら道具を自作した方が性能はいいんだけどな」

「そうなんですか?」

「ああ。まあ、どのみち地道にやるしかないんだけどな」


 ガラスケースの前にたつ。


 鉱石を加工するためのナイフがあった。


「えーと。……100レイク。初期だとこんなものなんですか?」

「俺だとこのナイフでもこれを作れる」


 そう言って首飾りを出した。


 鑑定スキルを持っていないのは明白なので、ウィンドウを可視化する。


【ブレイジングソウル

 製作者 ゼツヤ

・常時発動効果

『AGI強化(高)』】


「なんですかこれ」

「……作品だ。見た目重視の」


 確かにきれいだと思ったミズハである。


「まあスキルを鍛えればここまで行ける。因みに、なんの工夫もないプレイヤーだと、これが限界だ」


 なかなかシビアなのである。


「いいものが必要なのもたしかだが、道具はいちいち新調していたらキリがないからな」

「タイミングってどう見極めるんですか?」

「その辺りは完璧に本人次第だな。どのみち、いい道具を手に入れることに悪いことはない」


 ゼツヤの場合はいちいち取り替えていた。レイクが恐ろしいペースで減っていくし、かさばるおまけに売るにしてもたいした金額にはならず、本当に困ったのを覚えている。


「大丈夫ですか?そんな遠い目をして」

「まあ大丈夫だといっておこう」


 まあ、ホームボックスを購入したあとは、多くのプレイヤーが悩むストレージ云々をある程度改善出来たので、そこに限ってはいいのだが。


「ホームを手に入れることができれば楽ですよね。調合も」

「農家形式のホームを手に入れることができたのなら『栽培』が可能になるからな。『錬金』スキルを使って植物を種にして数を増やすと楽だぞ。回りが素材を取り合っているなか、自分は農場で誰にも盗られずに出来るからな。しかもいちいちフィールドにでなくていいし」


 これはある意味当然である。なお、農家形式のホームを購入しなければ農場は手に入らず、さらに、農場そのものも別料金である。ハードだ。


 ちなみに、ゼツヤにホームはどうなのか。

 ゼツヤや一般的なプレイヤーの視点から見れば『家』なのだが、システム上は『ただのフィールド』なのである。土だって自作だ。


「弓使いって苦労するんですね」

「バラエティー番組でも言ってただろ」

「見たの?」

「うん」


 なんか変な空気になった。


「まあそれはいいとして、ホームの入手は圧倒的に時間がかかるからな。しかも、多くの女性プレイヤーは内装にもこだわるから、その分金がさらにかかる。あと、一個しかもてないからな」


 ブリュゲールが多くのホームを持っている理由。恐ろしく簡単だ。ギルドボーナスである。以上。


「じゃあ、ゼツヤ君のホームはどうなっているの?」


 この質問にたいして、実はゼツヤには二つの答え方がある。


 まず、オラシオンだ。これや誰にでもわかるだろう。

 もうひとつは、『町で購入したホーム』だ。オラシオンは『工房』としてはシステム上存在するが、ホームとしては存在しないのである。こういう方法がある理由は、ダンジョンの安全エリア(モンスターは出てこないけど普通にHPは減る)で営業する物好きがいるためである。不便なことこの上ないと思うが。


 まあ、どちらを答えるかなんて決まっている。


「まあ、作ったものを記録する書庫みたいになっているかな。生産道具ももちろんあるけど」


 それなりに大きいホームなので、現在は弟子三人が使用中である。

 まあ、見られても問題ないものしかおいていないはずなので、あまりいくことはないが。


「どこにあるの?」

「トッププレイヤーがいくようなフィールドの抜けたところにある町だといっておこう」


 要するに難易度が高いのである。


「まあ今はレベル上げですね。手っ取り早くする方法ってないんですか?」

「パワーレベリングだね。断然」


 弱いプレイヤーが強い装備や仲間と一緒に適正以上の狩り場にいくことである。


「でもそれってシステム上できませんよね。オラシオンシリーズの『エクスライト・リング』があれば問題はないですけど。有るんですか?」

「今はないよ。ギルドに渡した」

「そうですか」


 そういえばすっかり忘れていたな。

 ギルドなら関係ないが、今現在のような状況下では重宝する。

 思えば、あの指輪の一番怖いところは、こうしたパワーレベリングを可能にするところか。

 使わずにいくことも可能だが、それでもあの指輪があった方は得なのは当然である。


 自分で作ったものではあるが。案外自分でも気づいていないものである。


 その後も色々揃えた。それだけで一日使うとは思ってもいなかったが。

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