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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
初心者講座。相手はアイドル。
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弓で始めるときは色々考えよう

 レベル差が99と知ったときは、『本当に初心者なんだな』と思っただけだ。別に気にならない。


 まあそれはいいとして……。


「あの、ゼツヤさん。私、今回は矢を60本くらい持ってきたんですけど、足りますか?」

「どこまでいくかによるな。まあ問題はないけど」


 弓使いにとって、矢の所持数はかなり重要だ。サーガのように、エネルギー的な矢を生成し、さらに生成する際に代償が要らないというのなら、弓の耐久値を気にするだけでいいのだが、実物の矢を持つにしても、MPを使用するにしても、残弾数は気にするべきである。


 サーガがいっていたことだが、『実物の矢』の弓を使用する場合、自分で矢を作成できる程度のスキルと供給源が必要で、『エネルギー的な矢』の弓を使用する場合、無理してでもMP回復ポーションは高級の方がいい。とのこと。


 理由は、実物の矢はまず数が圧倒的に必要(矢はすべて使い捨て)であり、NPC経営の店であってもすべて在庫が設定されている。使いきったあとに在庫ゼロを宣告されると戦闘力はゼロになる。しかも、バスタードマーケットに商人プレイヤーが集中しているため、外部供給はかなり少ない。

 そもそもの話をすると、弓がメインでは、矢を作るための材料を集めるだけでも苦労する。岩石系に効きにくいし、木材だってそうだ。初心者がかなり苦労するのは当然らしい。

 サーガの場合は、強力なエンチャントを使用できるクラリスがいたことで消費量を少なくすることができたし、クラリスは回復職だが、エンチャントも棒術も使用可能であったため、なんとかしたらしい。


 次、エネルギー的な矢の弓を使用する場合、矢の生成はすべて『MP』で決まる。レイクを節約しようとすると、残弾数が全然足りないまま戦闘することになるため、モンスターを倒しきれない場合が出てくるので、引き際を間違えると、戦闘を行うことすら無謀になる。

 しかも、ポーションは一回使うとクーリングタイムが発生するため連続使用ができない。残弾数がすぐ切れる原因でもっとも大きいのはこれだ。しかも、一発一発の威力が実物の矢に劣るため、どうしても数が必要になるのだが、アクセサリーでMPを増加させない限り、苦しくなる。

 サーガの場合は、やっぱりクラリスのエンチャントである。それでも、サーガとクラリスの実力があっても赤字になることはあったようだ。


 サーガは珍しく遠くを見るような目で『今更だけど、優秀な生産職のプレイヤーとパイプを作っておけばよかったと思うよ』と言っていた。


 ……ん?優秀な生産職?


 弓使いのデメリットを理解しているのであれば、戦うのは弓使い本人のみになったとしても、ゼツヤと繋がりがあるのはあまりにも大きなステータスになる。

 別にどんなビルドであっても関係はないが、ゼツヤは普通に『MP全回復ポーション』を作ってしまうし、矢だって製作手順を蹴り飛ばして(剣の能力で)大量生産できる。


 成る程ね。まあ、別にいいか。冬香たちにだって、クラスメイトという理由だけで協力したのだから、別に問題はない。というか、どう動くかなんて、誰かに指図されるような立場ではない。


 何故って?ソロだからさ。


「矢なら俺も一応持っているよ。問題ない」

「ふう。分かりました」


 とかなんとかいっていると、モンスターが出現。

 狼だ。懐かしいな。何年ぶりだろう。まあいいかそんなことは。


 既にミズハは弓を構えて矢を引き絞っている。準備は早いな。


「ゼツヤさんは動かないんですか?」

「蹴飛ばせば勝てるレベルだからね」


 ミズハは苦い顔をしたが、そう言うものである。


「じゃあ、私だけでやります」

「いざとなったら防御だけするよ」


 ミズハは引き絞って放つ。ほう、いきなり命中か。フォームもいい。


 しかも、次を構えるのが早い。

 魔法使いにはない利点だが、当然、矢を放つのにクーリングタイムがあるはずがない。

 後は簡単なものでも近接戦闘ができれば早く成長するだろう。


 とかなんとかいっている間に倒しきっていた。しよう本数は6本。全弾命中させればこの使用数でいいのだ。プレイヤースキルが高いと得することがたくさんあるのはどんなゲームでも一緒である。


「どうでしたか?」

「全然いいよ。フォームもいいし、射った次に構えるのも早かった。プレイヤースキルは高いね」

「ありがとうございます」


 まあその後も狩り続けていた。


 いつのまにか深夜である。


「どうする?もう戻るか?」

「そうしましょう。あれ?なんか力が入りにくいです」

「……ああ、『空腹』だな」


 ウィンドウを開いてサンドイッチを何個か出した。


「これでも食べればいいよ」

「いいんですか?」

「ああ、材料はあり余っているからな」


 創造神になる過程で大量に使ったはずだが、集まるものは集まるのである。


「ありがとうございます」


 ものすごく笑顔でサンドイッチを頬張る。


「とても美味しいです」

「まあな」


 オラシオンだからな。料理もできるよ。リアルでもね。

 ちなみに、この世界は味を完全に再現しているといっても過言ではないので、NWOないでできるのならリアルでもできるのである。


 というか、エクストリームメンバーと一緒に料理会をしたことがあったが、思わず思い出してしまった。


 確かあのときは、『チャーハン』を作ったんだったな。


 ゼツヤ    絶品。

 レイフォス  味は悪くはないが具の切り方がおかしい。

 ユフィ    まあ普通だが、野菜の切り方がものすごく早かった。

 サーガ    教科書通り。的な感じ。

 セルファ   家庭的。

 シャリオ   具の色のバランスがいい。

 クラリス   情報規制(モザイク)がかかる。


 と言うものだった。なかなか個性的だった。クラリスの料理は食えたものではなかった。

 サーガ曰く『毎年の姉さん(クラリス)からの誕生日プレゼントは食中毒』とのこと。


「料理はできた方がいいよ。いろんな意味で」

「?分かりました」


 一瞬首をかしげていたが、まあそれはいいとしよう。


 その日は戻ってから明日も会うことにして解散になった。


「そう言えば、ここに来たのはバスターからの依頼だったな」


 思い出して早速戻ってアイテムを製作し、バスターに送っておいた。


 他にもやっておきたいことはあるので配達はでPCに任せておいて、工房にいく。


 そうして今日が終わった。

 明日は、レクチャー用にアイテムを色々持っていこう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふう。さて、これでどうなるのかね」


 遠くから見ていたバスターが呟く。

 実のところ、弓におけるデメリット云々はあらかじめバスターが攻略サイトに書き込んでいたものだ。

 実際には、様々な戦術におけるデメリットを記載していたのだが、どのみち、ゼツヤに繋げることに代わりはない。


 要するに、ゼツヤとミズハがであったのは偶然ではなく、バスターが仕組んだものだということである。

 深い理由はない。


「マスター。レベリングに付き合ってくれるって言う約束。本当ですよね」


 六人組が来た。あの不良プレイヤーを演じさせていた六人である。

 ちなみに、平均レベルは87だ。


「ああ、嘘ではないよ」

「明日にでもいきたいんですけど」

「そうするとしよう」

「ありがとうございます。しっかし、なんなんですかあの強さ。俺たち六人が一瞬で、しかも反応すらできないなんて。同じプレイヤーとは思えませんよ」


 そこはバスターも思う。彼らはレベルはカンストしていないが、演技も実力も低くはない。あの一瞬で倒すのは、何となく不自然な感じがした。


 まあ、オラシオンのマスターに『あり得ない』などと言う言葉はそもそも合わない。要するに、そう言うことなのだろう。


 NPCが目的のアイテム(必要だったのは嘘ではない)を持ってきたので、受け取った。

 あと、紙を渡してきた。


 NPCは何も言わずに去っていった。


 紙を開く。


【気づいているからな。不良を倒したとき、HPの減り方が遅かった。お前の差し金だろ。おまけに攻略サイトに、いくらなんでも仕込みすぎだ。バスターのことだから、多分『なんとなく』でやったんだろうが、まあせっかくの歯車だ。一応乗っておくよ】


 完璧にばれていた。HPの減少スピードとか誰が見るんだよ。


 思った以上に、『作戦』というものに敏感だな。これからは気を付けよう。

 そう思った。

 まあ、この章では、いろんな『経験話』も書く予定です。

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