もっとも短いプロローグ
NWOはジョブシステムが存在しないため、ステータスは全てレベルアップ時のポイントの振り分けによって決定される。職業のボーナスは発生しないからだ。
確かに、ステータスをあげるアクセサリーや装備は実際に存在するが、意図して操作しない限り、極端なことにはならない。
だが、しかし、
「やっと実装されたか。ジョブシステム」
「そうだね。まあ、ある意味は苦渋の選択だったと思うけど」
高校のテラスで竜一はデュリオと話していた。
「デュリオは何にするんだ?」
「選ぶとするなら……『破壊者』かな。STRが上がるし、デメリットとしてアバターの体重が増加するけど、僕にとってはメリットにしかならないし。途中で切り替えることもできるみたいだし、ひとまずはそれかな」
ちなみに、切り替えたとして育てた記録は残るので問題ない。
「竜一は?」
「生産職全部だ」
「うん。言うと思った」
こういったシステムには、上位のなにかがあるはずなのでそれを狙う予定である。
まあ、地道にやるしかないのだがな。結局の話。
「ちなみに明日から夏休みだね。課題多くない?この学校」
提出物が中心のため課題が多いのだ。
夏休みの補習とかはないけど。
「問題ない。すでに終わらせた」
「えっ?」
証拠に全て見せた。
デュリオが絶句した。
まあ、言うことはひとつ。レッツメイク!だ。
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一ヶ月後、
もうあと二週間で夏休みは終わりになる。
そしてその間ゼツヤは、本当の意味で、一歩も外にでなかった。
リアルでもゲーム内でも、一歩たりとも出ていない。
ついでに言うなら、一睡もしていない。
ちなみに、上位ジョブを手に入れるにはクエストを達成しなければならないが、いかんせん生産職なので、外に出る必要がなかったのである。
よって現在ベッドで爆睡中である。
メールの着信音でゼツヤは起きた。
『レイフォスか。どうかしたのか?』
『やっと繋がった。ゼツヤ、一応聞いておくが、今が何月何日か知っているか?』
『そんなものウィンドウに……八月十六日!?』
早すぎる。
『まあそれはいいんだ。ゼツヤって、今なんなんだ?』
ゼツヤのウィンドウには『創造神』と表示されていた。
『なんか『創造神』って表示されてる』
『現時点の最高の生産者だな』
文字からがはっきりとはわからないが、あきれているのは目に見えてわかる。
『ゼツヤ。ずっと生産していたのか?』
『いや、俺自信に記憶がないレベル』
少々長い沈黙が訪れた。
『まあいいけど。ああ、あとまた新しいアップデートがあったらしくて『工房武器』というものが実装されたらしいな。ま、ギルド武器の工房バーションだろ』
『フムフム。成る程、素材収集にいくか』
『手伝おうか?』
『いや、これは俺の問題だし、それに、NPCを三人まで出せるようになったから、そいつらとやりたいしな』
夏休み限定でややデメリットが軽くなるのだ。
『そうか。まあ、頑張れよ』
旅が始まる。
さて、どこにいかせようか。




