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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
強者たちの交響曲
29/218

万能と言うのは何時の時代も厄介である。

「何か4人来たな」


 レイフォスがぽつりと言った。


 そう、NPCが4人追加されたのだ。2人ずつ離れて。


「うーむ……ゼツヤ、お前で2人相手にしろ。俺も2人やるから」

「その間アルベシオンはどうするんだ?」

「残りに任せる。ユフィは端っこの方の奴らを倒してもらうとして、ほとんどはシャリオの殲滅力に任せよう」

「こういう時シャリオは頼りになるな」

「ギルメンの中ではいじられキャラだけどな」


 嫌いなわけではないよ。


「ま、そういうことなら、行ってくる」

「おう」


 ゼツヤはNPCのところに行った。


「さて、何で今更こんなに現れたのか知らないが、喧嘩なら買うぞ?」


 2人は武器を構えた。大剣に杖か……極端に分かりやすいな。


「さて、行くか」


 ゼツヤは大剣使いの方に向かっていく。

 大剣使いも当然構えて振って来るが、『先天性集中力過剰症』のスイッチが入っているゼツヤにとっては止まっているようにしか見えない。


 いや、そもそもの話だが、今の状態のゼツヤは、ユフィの最大速度すら反応・迎撃が可能なのだ。


「遅いぞ」


 大剣使いを一刀両断する。HPを削り切れなかったか。それなりに防御力あるな。

 ゼツヤの攻撃力はそこまで理不尽ではないのだ。レイフォスやバスターのようにそんな攻撃力に関する研究をとことんしているわけではないのである。

 ……低いわけではないが。


「ん?召喚か」


 出てきたのは、10メートルの石の巨人。かなり固そうに見える。

 確かに、純粋な攻撃力勝負ならゼツヤだって、苦戦はしないが、時間はものすごくかかるだろう。

 だが、ゼツヤは『万能型』なのだ。


「すまないな」


 そもそも、ゼツヤの実力と言うのは一体どれほどのものなのか。


 強さの判断材料と言うのは、基本的に『汎用性』と『対応力』である。力にも、速さにもいろいろ手段はあり、また、どんな武器を持っていようと、大概の状況なら切り抜けることはできる。


 ゼツヤの場合、10年と言うキャリアがあるため、その対応力はそもそも高い。さらに、様々なアイテムを生み出せるうえ、その中には、大量の『マジックスクロール』もある。汎用性の塊なのだ。


 それプラス。ゼツヤには『先天性集中力過剰症』がある。

 これは本来、精神疾患なのだが、コントロール可能なら大きなものになる。

 ゼツヤは今現在コントロール可能で、これによって生産の効率を格段に上げている。


 戦闘時であれば、相手の動作が止まって見える。最低でも、水の中に入ったかのような遅さに感じるのである。

 無論。自分が早くなったわけではないので、その分は考えなければいけないのだが、10年もやっていれば十分慣れる。


 ゼツヤの強さ。実は、運とかは関係なしに強いのだ。


 そもそもだが、年末のデュエルカップではゼツヤは3位。

 後々枠数16のトーナメント方式になるこの大会では、3位をとるためにはまずベスト4になり、負けてしまった後、3位決定戦で勝たなければならない。

 ゼノンが4位と言うことは、3位を得るためにはゼノンに勝ったということなのだ。

 ゼノンはこういった大会では手を抜かないし、ゼツヤ相手に手加減するとは考えにくい。

 実質、ゼツヤは強いのだ。

 ……レイフォスやバスターには勝てなかったのだが。これはセンスの問題である。


「俺はアタッカーじゃないと言うわけではないが、万能型だからな。全部できるんだよ」


 ゼツヤはアクセサリーでステータスを調節可能。これを応用して、他の武器だって本来うまく使用できる。さらに、マスターブレスレットによって様々な魔法を使用可能である。


 ゼツヤの強さの根本は、『先天性集中力過剰症』によって生産することが出来た多種多様で強力なアイテムだ。

 そこから生まれる戦闘力は、『未知数』である。


「『アブソリュート・ゼロ・オブ・二ヴルへイム』」


 巨人が、凍った。

 隠すことなくNPCは驚愕している。

 それはそうだろう。どんな存在であれ、ゼツヤクラスを相手に召喚するモンスターなのだ。弱いはずがない。

 だが、これはあまりにも非現実的だ。


 巨人。アルベシオン・ジャイアントを凍らせるということは、NWOプレイヤーでもそうできることではない。

 ゼツヤが使った『アブソリュート・ゼロ・オブ・二ヴルへイム』は、『マスターブレスレット』に寄るものなので、それはいい変えるなら、『アブソリュート・ゼロ・オブ・二ヴルへイム』が使用可能なプレイヤーなら、『アルベシオン・ジャイアント』は討伐可能と言うことになる。

 おそらく、と言う仮説もなく、シャリオなら使えるだろう。


 だが、『アブソリュート・ゼロ・オブ・二ヴルへイム』という魔法を使うためには、純粋な魔法職なら圧倒的な時間と実力が必要になる。


 この世界の魔法の取得方法は2種類。


 1つは熟練度の向上による取得。推測だが、90%はこの分類である。


 もうひとつは、『クエストリワード』で、分かりやすくいうなら、クエストの報酬である。


 『アブソリュート・ゼロ・オブ・二ヴルへイム』を取得するには、NWO最大の極寒ダンジョンを『氷属性魔法』のみで突破しなければならない。


 極寒ダンジョンなので、当然氷耐性は抜群である。

 NWOに『無効化』と言うシステムは存在するが、『スペルバーストフィールド』以外でそう多くの戦闘状況で実装されている訳ではないし(戦闘以外の状況ならあり得るということだが)、このクエストもそうだったが、用意されているモンスターの氷耐性は圧倒的だ。

 シャリオですら、もう行きたくないクエストになっている。


 ゼツヤは、そのクエストを受けたわけではない。『マスターブレスレット・アブソリュート・ゼロ・オブ・二ヴルへイム』の作成方法を発見したのだ。

 ……素材入手はかなり寒かったが。


 まあ、そんな実力や過去もあって、ゼツヤは強いのである。


「戦闘においては、『体力』『攻撃力』『防御力』『起動力』の4種類が基本的なステータスになる。俺はな。全部高いんだよ。反則だと思うなよ?これは理不尽なだけだ」


 補足すると、NWOにおいて、実現していることは全て『可能なこと』なのだ。


 実現していることに対して反則と言うだけなら可能だが、その先に踏み込んで否定することはできない。

 できない方が悪い。やれない方が悪い。到達していない方が悪い。

 圧倒的な『何か』の前には、努力も才能も財力も権力もすべて否定される。


『何でもできる』と言うのは夢のような話だが、それに到達するための道は、安くはない。


 否定されるわけではないが、だからと言って歓迎されるわけではないのだ。


 だからこそ、『理不尽』と言うことは認めても、『反則』と言われることは認めない。


 それは、この世界ではだれにでもあることなのだ。


「さあ、かかって来いよ」


 ゼツヤは不敵に笑う。


――――――――――――――――――――――――――――――――――

「上位4人は、こちらが想定しているありとあらゆるものを超えているな……」


 ダマスカスはかなり頭痛がしていた。


 時折、カプセルのようなものをかみ砕いている。

 ……説明する必要はないのだが、一応説明すると、このカプセルは『胃薬』である。


「私も少々気分がいいですな。『イデア』にも強者はおりますが、圧倒的なものとなるとそうそういませんのでな」


 グレイアの言い分はもっともだし、ダマスカス自身もそれに否定することはない。


「ところで、あの青とアイボリーの少年。どう思う?」

「多種多様なアイテムを所持しているように思えますな」

「フム……」

「気になるのですかな?」

「少々な。万能と言っても過言ではない。単純に強いのよりも、こういった存在の方が厄介だ」


 万能であることはいいのだが、それらすべてがすぐれていると厄介なのに変わりはない。イデアでは、万能を名乗ったものは、どのステータスも一般以上に優れている。と言った実力でしかなかったのだ。


「この少年。今後気を付けるべきだな」


 まあ、気にしなくてはならない存在はいっぱいいるのだが、それはそれである。


「いざとなれば、私が出ましょうかな?ダマスカス様」

「バカを言うな。グレイアが出たところで、どうにもならん。それはお前にもわかっているだろう」

「まあ、奇跡が起こっても無理でしょうな」


 身の程をわきまえている。と言ってもいいだろう。この状況では。


 地の文多い……。戦闘絵写が……。なんかコツとかあるんですかね?

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