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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
強者たちの交響曲
26/218

NWO最大の単発攻撃力

 その頃、バスターは……。


「これが……NWOの『最高』のギルドなんですね」


 ガキのお守りをしていた。いや、バスターのリアルの年齢から言えば同じなのだが。


「ああ、あれがゼノン率いるギルド『アンフィニッシュドレギオン』だ。ギルド結成から5年くらいで、まあそれなりに歴史はある。ちなみに、運営はすべてゼノンが行っているんだ」

「え?あんなに大きなギルドなのに、たった1人のプレイヤーが決めているんですか?」


 ミラルドが聞いて来る。

 ダガー2本と言う点はエクストリームのユフィと同じだが、戦闘能力は天と地の差があるな。まあ、キャリアの問題もあるだろうが。


「ああ、ゼノンは賢いからな。因みに、さっき俺達ギルマスが集まった時も、その前に打ち合わせした時も、それは愚か、あいつがギルドでは無くパーティーを率いていた7年前から、そう言った会議ではずっとあいつが議長をしている」


 そう言えば、7年前と言えば、オラシオンシリーズが出始めて1年。さらに言うなら、ユフィがNWOを始めたころである。


「すごいですね。しかも、UFRって参加のギルドが結構あるって聞いたことがありますけど……」

「20と言っていたな。まあ、今回の戦闘の規模を見る限り、純戦闘ギルドはそのうち15と言ったものだったようだが……」


 だからと言っても多すぎだがな。ブリュゲールはその一つだけで5000人はいるらしいので、それと比べてもまあ……どうだろうな……。

 まあそもそも、NWOの総プレイヤー数は5億人に達すると言われている。

 今回集まっている人数は……大体総合計3万人くらいだ。全体数からすると少ないが、こうしてみると圧巻である。本当に。


 まあ、近年では、『オラシオンシリーズ』を所持しているか、していないかでかなりの戦力差になるので、それは大規模イベントでは貢献度に直結する。低評価をもらうくらいならいっそのこと。と言った感じなのだろう。


「そう言えば、バスターさんって、もともとはソロだったと思いますけど……このリトルブレイブスにはいる理由って聞いていませんでしたよね」

「ん?いや、理由が無いわけじゃないよ。1週間後にはわかるから」

「はぁ……まあ、分かりました」

「というか、こうして見ているのは、ある意味では見取り稽古だからな?」

「それは知っておりますが……ではなぜ、現在最強と言われている『エクストリーム』ではないのでしょうか」


 レミリアが聞いて来る。

 エクストリームねぇ……レイフォスの顔が思い浮かぶ。

 アイツには勝てなかったからな。何で斬撃が途中で曲がるのかさっぱりわからなかった。

 まあ、それは今はいいとして……。


「挫折するからだな」

「どこまで強いんですか?それ」


 そりゃ自分を倒せるような奴が率いていて、しかも極振りなんていう本来ネタビルドで最強になっている連中である。頭の中がそもそもおかしいのだ。ついていけない。


「では……北には『最強』である『エクストリーム』。南西には『最高』である『アンフィニッシュドレギオン』。南東には『最大』の『ブリュゲール』がいるのですが、これについてはどう思いますか?」

「今回のイベントは少々今までとは違う部分があるからな。戦力は分散しておかないと、圧倒いう間に攻め込まれるからな」


 ちなみに、ブリュゲールが負けて、『オブシディアン海賊団』や『旋律騎士団』で手に負えなくなったら『リトルブレイブス』は現場直行である。


「でも、なんか妙ですよね。今回」

「それは全員が思っていることだ」


 ゼノンの推測では、彼らNPCは『NWOに存在するもの達ではない』と言うことになっている。


 どうなのだろうかとバスターも思う。


 NWOはもともととてつもないほどのデータ量だ。それに、VRMMOと言うのは、『新しい仮想空間』と言うものを、いとも簡単に作りだせる。その世界と今いる世界がつながったとしても、別に不思議ではない。


 不思議ではないが、故意に行われたのなら、やはりそれはそれで連絡が来るはずである。


 NWO運営チーム以外のものが勝手に行った。と言う予測もできなくはない。だが、すぐに捨て去った。

 ここ100年。VR技術は最優先事項として進化しているといっても過言ではないが、それと同時に、『コンピュータウイルス対抗プログラム』『ハッカー撃退』と言ったものや『AI技術』も、進化し続けている。前者は情報の混乱や流出を防ぐため、後者は、様々な部分のアシスト、そして、自動化が目的である。

 さて、そう言ったバリケードが分厚いため、外部の者が勝手に行ったという可能性は低い。


「NWOシステムそのものが新しい世界を構築して、この世界とつなげた……まあ、もともとそう言った生成プログラムを組みこんでいたのなら納得は可能だが、何故15年間起動しなかったのかが分からないな」


 まあ、今は考えることはやめにしよう。することが多い。


「ん?ゼノンか」


 メッセージが来た。


『NPCが4人も追加された。リトルブレイブスの指揮を誰かに任せて、バスターのみ出てくれ。誰を選択するかは君に任せる』


「こんなメッセージが届いたのは初めてだな」


 まあ、こういった状況は初めてだし、それに、今まではソロだったからな。


「ちょっと行ってくる。ソレイユ。指揮を任せる」

「分かったわ。行ってらっしゃい」

「え?何処に行くの?」

「NPCが4人も追加されたらしい。俺だけ来いとメッセージが来た」

「分かりました」


 俺だけが呼ばれてみんなが正直に従っているが、これはこれで一か月の間に痛い目に会っているからな。


 バスターは大剣を構えて、跳躍スキルを使って跳び続ける。

 数十秒でゼノンと合流。


「ゼノン。NPCはどこだ」


 ゼノンが左右を指さす。


「左右に2人ずつか」

「片方は任せる」

「別にいいが……、その間のUFRの指揮は大丈夫なのか?」

「何回も何回も同じ指揮をしている。そろそろみんなもわかっているころだ。何か異変があったら、支部長にメッセージを飛ばすだけだ」

「用意周到なもんだな。ま、行くぞ」

「ああ」


 バスターは飛び出して、2人のNPCのところに行った。


「どっちも同じ服装にしか見えないな」


 黒いフードをかぶっているので中身はよくわからない。タンク職には見えないが。

 すると、片方がレイピアを構えて、もう片方は杖を構えた。


「そう言うパーティーか」


 何故2人なのかはわからないが、前衛と後衛が両方いるのは悪い編成ではない。

 レイピアでついて来るが、軽く受け流した。


「ふう……さて、楽しませてくれよ」


 ちなみに、大剣使いであるバスターの基本的な速さ優先の移動方法は『跳躍』である。一気に距離を詰めるのにとても優秀だ。


「それ!」


 跳躍中に剣を光らせる。

 跳躍により速度が追加。そのまま剣を叩きこむ。

 NPCはレイピアを構えて防御しようとしたが、まあ、そんなものが通用するわけもない。そもそも、バスターの前では金属鎧でも紙装甲である。


 あっという間にHPを散らした。ただ、その表示されていた枠がNWOとは違っていた。


「分からないが……まあ別の世界から来たことに間違いはないな。ん?」


 魔法使いを見ようと思ったら、次の瞬間。バスターの反応よりも早く、蘇生魔法が繰り出された。

 杖から放たれた弾はフェンサーに直撃。そのままHPをフルに回復させる。


「魔法は同じのようだな……」


 ランク9魔法『リザレクション・コーラス』だろう。声は聞こえないのは仕様として、対象の死亡判定をなくしてHPをフル回復させる。なお、これでランク9である。ランク下は……まあ、HP回復量が違うのだ。


「なかなか対応が早いな」


 魔法使いはまた魔法を唱える。

 10メートルの巨人が出現した。しかも、全身岩である。


 フェンサーを見たが、笑っているような雰囲気がある。


「全く、俺相手に動きが鈍そうなモンスターを出すなんてな」


 それとも、力負けしない自信でもあるのだろうか。


「まあどうでもいいか。さて、さっさと決めるか。ゼノンもまだ終わってないみたいだが……それは俺が考えることではないか」


 大剣を構えなおして跳躍する。剣を光らせた。

 体を回転させて剣に遠心力を追加。さらに、様々なマジックアイテムで重くしている(本来はデメリット)アバターの全体重を剣に集中させ、貯まったエネルギーのすべてを巨人に叩きこむ。


 大剣単発アクションスキル『エンプティ・ダイアログ』


 NWO最大の単発攻撃力を持つバスターの、全てのブースト系システム外スキルを使用して放つ一撃である。


 巨人はその猛威を振るうことなく、一撃で倒れ去った。


 NPCを見る。フード越しですらその驚愕が伝わって来る。


「さあ、今度は何を出す気だ?何回でも相手になるぞ?」


 NWO公式デュエルカップ。2位。嘘偽りなく、バスターは強いのだ。


 脅威も頑丈さも、バスターの単純な力の前では全て『破壊可能な物』にすぎないのである。


 こいつもこいつで極端だな……。

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