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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
強者たちの交響曲
22/218

化け物が化け物である理由

 温かい目でご鑑賞ください。いや本当に。ちょっと調子に乗りすぎてます。


 その後はかくかく準備を進めていたので、特に語ることはない。


 次の日、襲撃イベント開催時間数分前、エクストリームメンバー+ゼツヤは北エリアのあるブロックにいた。


「それにしても、襲撃イベントって考えてみれば久しぶりだよな」

「そうだね」


 ゼツヤの言葉にユフィが反応する。


「前回どれくらい出たんだったかな?」

「2年前のイベントでは、6時間で325671体だ」


 レイフォスの疑問にシャリオが答える。

 あとシャリオは、リアルでもそうだが目がいい。『よく見える』と言うより、『良く見分けることが出来る』ととらえた方がいいのだが、要するに『目算が外れない』のだ。


 魔法使いと言うのは、集団戦の場合はそう数がいても意味をなさないとされている。

 理由は、魔法と言うのは、確かに視認することによって魔法の発動地点や着弾地点を決定できるのだが、規模まで調節できるわけではなく、その火力はステータスに比例する。

 そうなると、集団戦で魔法を連発しようとすると、ほぼ確実にフレンドリーファイア(味方に直撃)するのだ。

 もともと魔法にはクーリングタイムがあるため、数人いて、必要なときに発動できるのがもっともいい。無論。ランクの高い魔法は杖を構えて、魔法名を言った瞬間から、実際に発動するまでタイムラグがあるので、その分も頭に入れておかなければならない。


 と言ったように、魔法使いと言う職はMPさえどうにかなれば問題ないと思われがちだが、実質はかなりシビアである。まして、『クーリングタイム短縮(極高)』があり、『MP14000』のシャリオならなおさらだ。


 だが、シャリオの見分け能力は世界一と言っても過言ではない。そのため、そのあたりの問題はすべて解決できる。


「シャリオの目は僕としても羨ましいな。僕は器用さはトップクラスだが、そもそも遠くのものがうまく認識できないと意味が無い……」

「まあ確かにそうだよね」


 サーガがうなって、クラリスが同意する。


「まあ、レイフォスの『パターンチェンジ』と、ゼツヤの『先天性集中力過剰症』も相当厄介だと思うのだがな……」

「それと言われるとつらいな」

「俺も」


 セルファが呟いた。


 レイフォスの『パターンチェンジ』は、簡単に言うなら、『脳の出力を瞬間的に変更できる』と言うものだ。

 通常、NWOで戦闘と言うのは、あらかじめいろんなことを予測して攻撃したり防御したりする。

 だが、レイフォスは別だ。『パターンチェンジ』ですべて切り替えることが出来るため、その時その時、全てにおいて最もいい行動をとることが出来る。


 実際、レイフォス相手にフェイントをかけても、かけようとして生まれる隙を突かれて斬撃を叩き込まれる。そうなると、STR極振りのレイフォス相手ではそれだけで詰んでしまうのである。


 ちなみに、『パターンチェンジ』の最も恐ろしいところは『斬撃が途中で曲がる』と言うことだ。

 思考を途中で切り替えることができるうえ、仮想世界の戦闘であり、現実のように関節から来る切り返しの反動を考える必要がないため、ぶっちゃけて言うなら『剣を振り切る必要がない』のだ。

振り切る前に『パターンチェンジ』を使い、いきなり手首や腕で刀を斬り返して、途中で斬撃の起動を変えることが出来る。


 この『斬撃軌道変更』があるため、攻撃をガードしようとして相手が構えても、それを無視して相手に攻撃できるのだ。しかも、切り返そうとする変更回数に、上限はない。


 この『パターンチェンジ』こそ、NWO最強プレイヤーになることが出来た最大の理由である。



 次に、ゼツヤの『先天性集中力過剰症』だが、簡単に言うなら、『一つの物事に対して圧倒的な集中力を発揮し、絶大な計算力を実現する』というものだ。


 先天性なので、これは生まれつきである。

 今ではコントロールが可能になっているが、コントロールがうまくできなかった時代は、一つの物事を始めたら途中でやめるということが全くできず、変な目で見られることが多くあった。

 例を挙げるなら、まあ実際には誰もやり始めないと思うが、国語辞典を最初から読み始めてもしはまった場合、三大欲求が発言するまで止まらないのだ。ページ数1500以上である。


 だが、一度スイッチが入ると、圧倒的な演算が可能である。NWOで生産する際に化け物のような性能の武器が作れる理由でもある。厳密には、『制作することを可能にする』理由であるが。


 戦闘時なら、スイッチが入っていた場合、圧倒的な集中力で周りを完璧に把握することが出来るので、砕いて言うなら、『周囲が止まって見える』のだ。


 圧倒的な性能の装備を生産ことができ、さらに周りが止まって見えるほどの集中力。


 かなりチートなのだが、レイフォスとバスターにはかなわなかった。


「それを言うセルファさんも、『フューチャーアイ』があるじゃないですか」

「それを言うユフィの動体視力も理不尽だとおもうぞ……」


 ユフィがからから笑いながら言って、セルファがくぐもった声を上げる。


 セルファの『フューチャーアイ』は、『自らの全状況把握能力と経験から、数秒先の未来までを理解する』というものだ。ある意味一番チートである。


 ちなみに、不確定な『予測』や『予想』ではなく、『理解』である。

 なぜこれが可能なのかは本人にもうまく分かっていないらしいが、ギルメンが見る限り、セルファの『五感』は一般人の数倍の情報量があるのだと予測している。


 まあ、特に『感覚神経から来る』反射神経はすごいのだがな。秒速2センチの風に0.044秒で反応しているくらいだ。ゴキブリ並みである。


 あと、セルファが『待て!』と叫んだ場合は、本当に待った方がいい。


 圧倒的な盾の防御はこれに由来するのかもしれない。



 次にユフィの動体視力だが、リアルでは『時速380キロ』と言う人間に不可能な剛速球を肉眼で視認し、打ち返すことが……いや、筋力が足りないので当てるだけだが、できるほどだ。

 この数字はゼツヤでも不可能である。うん。多分ね。


 NWOでは、『AGI』と言うのはあくまで『最大速度』を決定している。


 このステータスが高ければ、速く動くことが出来るのだが、これは単に早く動くことが出来るだけなのであって、『精神的な加速』まで行われるわけではない。

 分かりやすく言うなら、普通に歩いている人間(時速約4キロ)が、いきなり100キロのスピードで走っている車に乗せられたようなものである。VR技術が発展してこのような状況を体験できるのだが、周りのものを認識できないのだ。


 この動体視力があるため、圧倒的な加速を行っていても、通常通りの行動が可能なのだ。

 普通であれば、圧倒的なAGIは宝の持ち腐れになるのである。


 まあ、ユフィは反射神経もそれに比例してすごいのだがな。


「そういや、姉弟そろって『無限分割思考』だったっけ」

「そうだ」

「そうだね」


 分かりやすく言うなら、『常に多くの前提で見て、考えることが出来る』と言うことだろう。


 これがどういうことなのかと言うと、まあ具体例を言うなら……


『端末式の電話で話をしながら、思考通信で会話をして、さらに脳内入力で宿題すべてを同時進行させて、耳で『古文』『漢文』『国語の文法』『英単語』『英熟語』『英語の文法』『日本史(各時代をそれぞれ)』『世界史(各国の各時代をそれぞれ)』『化学』『物理』……ほか、全ての暗記科目を一度にリスニングしながら、今まで習ったことを思い出したりして、さらにゲーム機5台とPC3台を腕二本でほぼ同時に操作可能で、さらに右足と左足でそれぞれ5つずつのPCのマウスを操作可能』


 ……と言うことなのだ。しかも、暗記とかに関していうなら、それらすべて、しっかりと身のあるものにできる。


 うーん……意味わからん。


 まあ、そう言うことなのだ。


 弓であれば、『標的モンスター一体一体がどの位置にいるのか認識可能』である。

 ぶっちゃけて言うなら、1人が何十人を見ているのではなく、数万人が何十人を見ているのと同じである。


回復職なら、『10000人クラスの連合ギルドの全HP、全MP、全各ステータスアップ効果を認識しながら、周りの発生状況を全て知覚可能』と言うことになる。


なにこれ?


「しかし、俺らのポテンシャルは最高だからな」

「そう言ったポテンシャルなしで、レイフォス以外の俺ら全員に勝ってしまうバスターは……天才としか言いようがないな」

「ぶっちゃけバスターによって、決勝トーナメントの16枠が決まる前に、レイフォスとゼツヤ以外は全員倒されてしまったからな」


 そう言えば、もうそろそろ開戦か。


「さあ、雑談も終わったところで、いよいよ開戦だ。行くぞ!」

「「「「「おう!」」」」」


 うーん……。最低でも『無限分割思考』は僕も欲しいです。不可能ですが。


 あと、バッティングセンターで時速230キロをホームランする人がいるという指摘がありました。170キロ~380キロに変更しましたけど……少なくとも、中学二年生の女の子がすることではありませんね。

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