適度にモンスターが出現……いや、倒されてるな。うん。
「おいゼツヤあ!」
ダムアがいきなり城に突入してきた。
「うおっ!何だ一体」
「今すぐドローンを止めろ」
「え、なんで?」
「お前のドローン。荒らし認定されてるぞ」
「あ、さすがにやりすぎたか。三百個作って飛ばしたけど」
「戦闘力が明らかにおかしいぞ。そんじゃそこらのボスモンスターなら簡単に倒しているじゃないか!」
あれ、そんなに強かったかな。
思えば、倒さなければ手に入らないのだから、それなりに強くしたのだった。
「……わかったわかった」
『魔導卓』と呼ばれるアイテムを操作して、ドローンを撤退させる。
素材はしっかり集まっているのだ。まあ、問題はないだろう。
撤退しているのを確認しながら、ゼツヤはダムアの方を向いた。
「で、何でダムアが来たんだ?」
「情報がかなり集まるからな」
なるほど、ドローンの被害が思ったより大きいという結論に達したわけか。
「モンスター弱くね?」
「お前のドローンが悪いんだよ。おかげでこっちは冒険もくそもないから何も面白くない」
そうだった。
今回のこれってサバイバルだった。
「……あ、イベント限定のアイテムがすごい数集まってた」
「そりゃそうだろうな。下手なクエストならほぼすべてにかかわってる。というわけでゼツヤ、市場に大解放だ。はらわた全部出せ」
「物騒な言い方……」
まあ、それはいいけどね。
だってほとんど要らないし、複製準備は万端だ。
コズミック・コインに関してはプロテクトがすさまじいのだが、後はそうでもないので簡単いコピーできるのである。
「それはいいが、俺はとにかく売りまくればいいのか?」
「そうなるな」
「だが、いきなりそれらを流したら大変なことになると思うが……」
「心配するな。者が多くなるのであれば、それに合わせて人を増やせばいい。まだまだ拡大できるというだけの話だからな」
人も物も金も、どれが一つだけが増えるのなら、『価値』と言う意味で混乱するだろう。
だが、数値化して、比例して増えるのなら、『需要』と『供給』に大した違いはない。
ただし、出回るものが多いということは、それゆえのデメリットもあるわけだが。
「それにしても、思った以上のアイテムがため込まれているな……ちょっとルート的に新しい広場を作る必要があるかもしれない」
「今あるものを拡大するだけなのはダメなのか?」
「当たり前だろ。区画整理がしっかりしているからな。確実に限界が来る」
広場でも市場でもなんでもいいが、抱えきれるものには限界がある。
だからこそ、開拓するのだ。
そして、そう言うのは得意なのだ。
無論、人事部としての『眼』もあるので、基本的に、役職を与える際に間違えることはない。
ダムアがいなくなった後に困りそうなものだが、まあ、それはそれとして。
「それにしても……サバイバルって言っても、たいしたものじゃないな」
「それをお前が言うのか……」
ダムアの目線は、少々つらいものだった。




