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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
仮想の沙汰も金次第
216/218

できちゃったなぁ

「おいゼツヤ。これは一体何だ」

「……ログハウスだ」

「ゼツヤ君。私には城に見えるんだけど」

「……ログハウスだ」

「木材だけでできていますが、八階くらい有りますよね。大砲とかバリスタとかいろいろみえますし」

「……ログハウスだ」


 若干開拓された森の中。

 そこには、誰がどう見ても同じく『城?』と思うようなものがあった。

 当然、設計と建築はゼツヤである。


 そんな感じだが、『その軌道修正は無理あるだろ』という視線を三人分くらい受けながら、ゼツヤは同じ言葉を繰り返していた。


 最終的にはサターナが溜息を吐いた。


「……はぁ。まあいい。居住目的としては別に悪いわけじゃないからな」

「そうだろう」

「だが、明らかに目立つだろ。なんで森の中にこんなものを作るんだ」

「いやー……なんていうか、あとあと大きくなりそうだからさ。最初に大きくしておけばいいかなって思って」

「何でもかんでも大きくすればいいって訳じゃないだろ。アメリカかぶれかお前」

「いいだろ別に。国際化って言いながら欧米化しかしていない日本人なんだ。そう言う慣性で十分だろ」

「そう言うことは言っちゃだめでしょ……」


 まあ、ややメタい話はあるが、別に機能的に問題があるわけではない。

 ただ、あくまでも機能的に、と言う話であって、もうちょっとコンパクトにできなかったのか。ということである。

 ちなみに、それをサターナがゼツヤに追求したところ、『できるに決まってるだろ』というゼツヤのセリフと共にサターナの裏拳が襲撃したのは言うまでもない。


「で、これからどうするんだ?時間はかなり少ないというわけではないが。特別多いというわけでもないからな。さっさと進めないとひどいことになるぞ」

「素材収集なら安心しろ。すでにドローンを飛ばしていろいろと集めているところだ」

「途中で狙撃されるぞ!」

「俺がその可能性について考えていないと思ったか?手に入れた瞬間に俺のストレージに格納されるように作っているからノープロブレムだ」


 三人が白い目をゼツヤに向ける。


「……何だその目は」

「お前ってサバイバルに向かない思考回路だよな」

「いいだろ別に。だって迷惑をかける訳じゃないんだから……ドローンは反撃されたら装備を借りパクするようにプログラムしたけど」

「「「器ちいせぇ……」」」


 サターナ、ミズハ、チアキの三人……というより、ゼツヤを知るものからすれば、それ以外のアイテムの多くは有象無象である。

 わざわざパクるまでもない。

 というか、ゼツヤはドローンのようなものが帰ってこない可能性も想定しているのだ。

 おそらく、借りパクするだけでなく、そもそも破壊されたら大爆発を起こすような手段も搭載しているはずだ。というか爆発魔法のスクロールを調達すれば普通にできるわけだし。


「最終的に、どうするんだ?」

「さあ……ドローンはコインも回収するように作ってるから、別に俺達がモンスターを倒す意味なんて皆無なんだよなぁ」

「初心者に謝れ」


 サターナのツッコミは気にしない。

 とはいえ、このままだと一週間この城で暮らすことになってしまう。

 まあ、どこかのタイミングでばれるとは思うが。


「まあとりあえず、拠点は確保したんだ。そのあたりをぶらぶらしようぜ」

「……はぁ。ん?レイフォスから連絡だ……ゼツヤ。ダムアが草原にいろいろ持ちこんで、手に入れたアイテムの物々交換用の広場を作ったみたいだぞ」

「アイツ……ここでも稼ぐ気か……」

「コインが目的だと思うよ。今のところ、このサバイバルでしか手に入らないみたいだし」

「まあ、流通通貨を増やしても意味なんてないしな」


 ゲーム内で国がいくつか存在し、それらで競っているというのなら国の数だけ通貨もあるだろうが、NWOにはそんなシステムはない。

 さすがに、セリュアル王国にあったゲームそのものが派生である『NWOPCP』では他の通貨が存在したが、そう言った事情で無いのであれば、出来たとしてもクーポン券のようなレベルのものまでである。

 ただ、流通し始めたばかりのコインなので、そういったものしか使えない場合、レートがちょっとおかしくなるのだが……。


「元気な奴だ……」

「お前は何時も下異常運転だけどな。ゼツヤ」

「サターナ君。なんかいろいろ含んでるような言い方だね」

「ある意味納得はできるのですが……」


 どうしたものか。というのが本人たちの心境である。


「ひとまず、このあたりの情報を集めてからだな。下手にそう言うことを調べてないと下手に見て来るぞ」

「それもそれで嫌だな。というか、お前の知り合いってまともな奴がいないな」

「そのまともな奴がない人の中に。お前も入るけどな。サターナ」

「言ってくれるぜ……」


 それはそれとして、森のことを調べるために重い腰を上げる四人だった。

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